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2011年4月30日 (土)

■vol.3 『面白い物語をつくる方法』

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◇物語のコンセプト,いちばん大切な事はなにか

物語は何のためにある?

物語の目的,コンセプトとは,

「キャラクターを魅力的に描くこと」です。

そして,キャラクターを魅力的に見せるには,

「キャラクターが魅力的に見えるシーン」があれば必ず魅力的になります。

そのキャラが活躍したり,目立ったり,輝いたり,素敵だな,感動するな,イイやつだな,こんな一面があったんだな,とお客さんが思えるようなシーン,イメージカット,キービジュアル,エピソードが絶対に必要です。

そのシーンがあれば,キャラクターを魅力的に描くことができるのです。

つまり,キャラクターが魅力的に見えるシーンがあって,そういうキャラクターを作り,そのシーンが組み込めるストーリー,そして設定と考えていけば,キャラクターが魅力的に見える物語が出来上がるのです。

だから物語は,「キャラクターが魅力的に見えるシーン」から発想していくのです。

◇あかほりさとる氏曰く,「キャラクターが魅力的に見えるシーンを一番最初に考えよう!」

何から始めればいいのか?

物語を作る上でいちばん最初にすべきことはズバリ,
「キャラクターが魅力的に見えるシーンやイメージカット」を思い浮かべることです。

これは多くのプロ作家が用いている方法論です。
いわゆる「シーンからつくる」というやつです。
そして,それ以降の作 業はすべてこの「キャラクターが魅力的に見えるシーン」を基にしてキャラクターもストーリーも作り,そのシーンを活かしていくような形で進めていきます。 実は,私もまったく同じ方法論で物語を作ってきました。私は,この方法が一番良い方法だと感じています。そのことについては,後に詳しく触れていきます。

この「キャラクターが魅力的に見えるシーン」「おいしいシーン」と呼びたいと思います。

キャラクターの魅力,よさ,面白さ,かっこよさ,かわいさなどがあらわれるまさに「おいしい」シーンだからです。

◇「おいしいシーン」の重要性

この「キャラが魅力的に見えるシーン」から作ることについて,プロの方は次のように言っています。

前述にもある,メディアミックスの立役者であり著作の総発行部数が2200万部を誇る元祖ライトノベル作家,名作ゲーム『サクラ対戦』の脚本などでも有名なアニメ・マンガ原作者のあかほりさとる氏は,著書『オタク成金』の中でこう言っています。

「キャラに愛があって,“この子のこういう感動的なシーンを見せてあげたい”“こういう素敵なシーンを見せてあげたい”っていう部分を重ねていけば,それは勝手に可愛くなるんだよ。例えば,男のために自分を犠牲にして頑張ってるこの女の子って感動的だろ,とかさ。
……結局,エンタメとしてのアニメや小説や漫画っていうのは,あくまで,このキャラってこんな子なんだよ,っていうのを見せるために作ってるわけで。
……全編を通して,そのキャラがいかに魅力的かを示しているだけなんだよ」

また,日本では知らぬ人はいないほどの,世界的にも有名なスタジオジブリのアニメーション映画監督である宮崎駿氏は映画を作るときに,まず映画のワンシーンを描いた画「イメージボード」を作るところから始めています。そして,そのイメージボードを壁に貼り,それを眺めながらストーリーの展開を模索していくそうです。
多くの人はそれを見て「宮崎駿はもともと天才的なアニメーターだから絵から発想しているのだ」と言います。それは間違いではないと思うのですが,そのイメージボードの内容は必ず「キャラクターが魅力的に見える場面,印象的に見える場面,キャラの特徴を描いた場面」であるはずです。
設 定画も多く描かれますが,それはとりもなおさずキャラクターがどんなセットの中で,どう動けば魅力的に見えるかを模索するために描かれたものにほかならな いと思います。宮崎駿氏は,そういったシーンが描かれたイメージボードから,ストーリーの展開を考えていっているのです。

コミックスの総発行部数が1億冊を越え,『MONSTER』『20世紀少年』『PLUTO』などの大ヒット作品を次々と発表している国民的人気を誇る漫画家の浦沢直樹氏 は,作品を作るときにまず「〝映画の予告編〟のような映像が頭の中に浮かんでくるのだ」といいます。予告編とは,とりもなおさず「印象的なカット」「キャ ラが引き立つカット」などのおいしいシーンで構成されたものです。そして氏は,そのシーンに到達するようにストーリーを進めていくそうです。
これなどはまさに「キャラクターが魅力的に見える場面,印象的に見える場面」から発想しているということだと思います。

◇お客さんの心に残るもの

お客さんの心に残るのは結局「おいしいシーン」である

面白いと思う作品は何かしらの形で人の心に残ります。見終わったあとには余韻を残し,その後は「ああ,面白かった」という感想が残ります。さて,こ こでもう少し突っ込んで考えてみると,作品を観終わった後もいつまでもストーリーを詳細に覚えている人は,ほとんどいません。なぜならば,ストーリーは忘 れてしまうからです。ストーリーはキャラクターのためにある道具だからです。
では,見終わったあとも,いつまでも心に残るものは何かというと「シーン」です。ある一場面,そのイメージがお客さんの心に残ります。このシーンはどんなシーンなのかといえば,それが「おいしいシーン」なのです。

◇「おいしいシーン」からすべての物語の要素を作り上げる!

「おいしいシーン」が,その他の物語の要素を生み出す

この最も大切な「おいしいシーン」を使って,キャラクター・ストーリー・設定をつくる方法を学んでいきたいと思います。物語の3つの要素はそれぞれ独立しているのではなく,「おいしいシーン」を中心につながっているのです。

◇面白い物語を作っていくための手順

これが面白い物語(=キャラクターが魅力的に見える物語)をつくるための手順です。

ステップ1 まず,キャラクターが魅力的に見えるシーンやカット,エピソードなどを思い浮かべる。
(いくつ思い浮かべても良い)
(ここで,大まかなキャラクター像,世界観などがおぼろげに浮かんできます)

        ↓
ステップ2 そのシーンを実現する(できる)ようなキャラクターを考える。
        ↓
ステップ3 そのシーンを組み込めるようなストーリーを考える。
        ↓
ステップ4 最後に,そのシーンの実現に適した(実現しやすい,実現するための,そのシーンを活かすための)世界観,設定,仕掛けを考える。

多くのプロの方々がそうしているように,面白い物語を作るには,まずキャラクターが魅力的に見える「おいしいシーン」を一番最初に考えるようにしましょう。
そして,そのシーンからキャラクターの人物像やストーリー,世界観や設定を発想していくようにします。

 

では,そのほかの方法ではどうなのか

~ストーリーから考えると~

ストーリー展開は確かに重要です。ストーリーから考えれば良い物語ができそうな気がします。しかし,ストーリーはキャラクターの行動の足跡を追ったものであることを忘れてはなりません。
ス トーリーから発想して物語を作ることは十分可能です。しかし,ストーリーの展開を追いすぎてストーリーのつじつまを合わせるためにキャラクターを駒として 扱いがちになりやすく,キャラクターの気持ちや思いよりも,ストーリーの進行や整合性の方が気になり,そちらを優先してしまう恐れがあります。そうなる と,キャラクターの魅力を十分に描けないストーリーを作ってしまい,結果的につまらない物語になってしまいます。
ストーリーのためにキャラクターがいるのではなく,キャラクターのためにストーリーがあるのです。ストーリーは,キャラクターの魅力・素敵さを描く道具(器)なのです。

   

~設定や仕掛けから考えると~

 最初に設定や仕掛けから考える人は実際多いですが,多くの場合うまくいきません。なぜでしょうか。
設定や世界観を考えるのは楽しいです。 また,しっかりした設定や世界観は作品に説得力を与えます。しかし,ここから発想をスタートさせると設定や世界観作りに熱中してしまい,肝心のキャラク ターやストーリーがおざなりになりやすく,キャラクターが設定を実現させるためのただの人形になってしまう恐れがあります。キャラクターが設定に左右され てはいけません。キャラクターが設定を左右するのです。
また,過剰な設定,重厚すぎる世界観だけではキャラクターの魅力を描くことはできませんし,キャラクターが重過ぎる設定に流されてしまうおそれがあります。
 設定が面白くても,キャラクターが活き活きとしていなければ,お客さんは見てくれません。
設定はキャラクターを魅力的に見せるための飾りでありオマケなのです。

   

~キャラクターから考えると~

 多くの指南書には「キャラ作りをはじめに行い,キャラを作りこんだ段階で物語を,次いで設定を作れ」と書かれています。これはある意味真理です。最も大切なのはキャラクターですから,キャラクターをまず最初に作るのは理にかなっているように思えます。
しかし,わたしの経験上この方法はうまくいかないことがほとんどです。
  なぜかというと,まずキャラクターを作るのはとても難しいのです。何より,キャラクターは作った後に“立てていくもの”だからです。つまり,キャラクター は作ったときに完全・完璧に完成して面白くなるのではなく,ある状況・物語の中に置いて思考・行動させ,そのキャラ独自の思考・行動・感じ方・要素を物語 の中で描いてやることによって,キャラが完成して存在感が増していくのです。それが,キャラが立つということなのです。
 キャラだけ作ってもダメなのです。ストーリーとキャラが分離してしまうことが多いのです。うまくストーリーに乗らないことが多いのです。また,キャラクターから発想しても,ストーリーが思い浮かばないことが多いのです。
いくら高性能な電車があっても,線路がなければ走れません。いくら立派な線路があっても,その上を走る電車がないと意味がありません。大切なのは,「線路の上を走っている電車の良さを描写すること」なのです。
「ストーリー」から発想しても,「設定」から発想しても,「キャラクター」から発想しても,実際はなかなかうまくいきません。キャラクターが魅力的に見える物語を作るには,「キャラクターが魅力的に見えるシーン」から作っていくことが一番有効なのです。


では,本講の最後に演習をやってみましょう。

演習

自分の好きな物語作品(マンガ,アニメ,小説,映画,ドラマ等)を一つ選び,「おいしいシーン」をさがして,どんなシーンか書き出してみましょう。
(あなたは,どんなシーンでそのキャラを好きになりましたか。どんなシチュエーションで,どんな行動や言動をとったときでしたか。)

参考:序章 面白い物語をつくろう! の記事

■vol.1 面白い物語をつくるために必要なもの

■vol.2 「キャラクター」「ストーリー」「設定」の関係性

■vol.3 面白い物語をつくる方法

■vol.4 あなたはどんな作品をつくりたいのか?

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