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2011年5月25日 (水)

■vol.19 お客さんが支持し、共感してくれるキャラをつくる3つの秘密「願望」「弱点」「変化」

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◇①魅力的なキャラクターは皆「願望」を持っている!

   

 「願望・欲求・目的」がキャラクターに命を与える!

 いろいろな人気作品に登場する「活き活きと輝いているキャラクター」たちには一つの共通している点があります。それは、『ハッキリした「願望(目標・目的)」を持っていて、その実現のためにがんばっているという点です。
ヒットする作品のキャラクターは皆、明確な願望を持っていて、それに向かって一生懸命になっています。それらのキャラクターはとても力強く、お客さんの目に魅力的に映ります。このことから、キャラクターを活き活きと輝かせて魅力的にし、どんどん動かしていくのはこの、キャラクターの持つ「願望」なのです。

        

キャラクターに「願望・欲求」を与え、その願望を通してキャラクターの「目標」を設定してみよう!

「願望」とはキャラクターが「得たい、達成したいと思っている事柄・物」のことです。「そうしたい、そうなりたい」と思っていることです。キャラクターが望んでいること、実現したいこと、キャラクターの夢です。キャラクターがそれをしなきゃいけないと思っていることです。
まずキャラクターに願望を与え、それと同時にキャラクターにその願望に関連した「目標」を設定してみましょう。
「目標」とは「願望を達成する上での指針となるもの」です。願望を達成するための「具体的なゴール・到達点」「そのための具体的な行動」です。そして、その目標を達成するときの状況、状態、環境を設定していきましょう。
具体例としては、「弟を学校に行かせたい」という願望があって、そこから「アルバイトで弟の学費を稼ぐ」という目標が生れます。その状況として「両親が事故で他界している」という設定が浮かんできます。
あるいは、

願望「あの娘と付き合いたい」

目標(行動目標)「一日一回は話しかける」

……というような感じです。

このように「願望・目標」を性格や人物設定に絡めて設定していきましょう。また「願望」は、「魅力的に見えるシーン」に関連したものにしていきましょう。

   

◇「願望」が、キャラをいきいきと動かすプログラムとなる!

   

 「願望」がないキャラは動かない!「願望」がないキャラクターは死んだキャラクター、もしくは、ただの人形

「願望」がキャラクターに命を与えます、命を吹き込みます。
「願望」を持たないとキャラクターは死んでしまいます。願望がないとキャラクターは「行動できない」のです。そして「行動しないとキャラクターは生きられない」のです。ただの操り人形となり、程なくして消えてしまいます。
ですから、キャラが弱いなあと思ったら明確な「願望・目標」を持たせるようにしましょう。
そして願望、望むものを得ようとキャラクターが動き出すときに、キャラクターは俄然、血が通い始め、活き活きと輝き出すのです。

   

◇キャラクターにはこうやって「願望」を持たせよう!

   

 1.「不足・欠乏・不満」が願望を生み出す!

キャラクターに願望を持たせる場合、キャラクターが欲していることを考えていかなければいけません。で、欲していることとは「キャラクターが持っていないもの、不足・欠乏しているもの、必要としているもの」のことです。または「不満に思っていること、こうしたいのに出来ないこと」です。
「無いから欲する」のです。
ですから、キャラクターに願望を設定するときはキャラクターに「不足・欠乏・不満」といった「満たされてない状態」を与えましょう。
あるいは、キャラクターが持っている大切なものを奪ってしまいましょう。「お金がない」とか「母と生き別れた」とか「所属する部活が廃部になる」といった感じにです。
そうすると、キャラクターはその欠乏や失ったものを得たい、取り戻したいという強い思いを心に抱き、そのために動き出します。その思いが「願望」となるのです。

   

 2.「キャラクターが欲しがるようなもの」をキャラクターの目の前に登場させよう!

キャラクターに願望を持たせるもう一つの方法は、「キャラクターが欲しがるようなものをキャラクターの前に登場させてみる」というものです。キャラクターが欲しがるようなものとは、たとえば「かわいい女の子」とか「スポーツの大会での優勝」とか「すごい宝物」とか「社長の座」といったものです。目の前に、自分が欲するような魅力的なものが現れたら、何としてでもそれを得ようとして、キャラクターは動き出します。

   

3.キャラクターに「使命や役割」を与えてみる!

 キャラクターに何らかの「使命・役割・役目・目的」を与えてみると、そこから「願望・目標」が生れます。使命・役割・任務を「果たす」ことがそのキャラの願望となるからです。
 使命や役割を与えるには一番手っ取り早い方法は何らかの「組織・団体に加入」させる、もしくは何らかの「職業・地位・立場に就かせる」ことです。会社・学校・部活・生徒会・委員会・サークルなど、なんでも構いません。または秘密結社や何らかの秘密機関、家元、財閥、流派など突飛なものでも面白いと思います。そうすると、その組織に所属する、その立場に身を置くことによる「責任」が生れます。組織には組織の目的があります。その遂行がキャラクターの「目標」となります。

    

◇強力なキャラクターのつくりかた!

    

 明るいタイプに「明確な願望」を持たせると、強力なキャラクターがつくれる!

 キャラクターは3種類、「明るい」か「暗い」か「普通」です。そして、気質の違いによって願望や考え方が変わってきます。それがキャラクターの「性格」となります。
具体的には性格とは、次の3つの要素からなります。

(1) 他人に対する接し方
(2) 物事に対する反応・態度・考え方
(3) 願望・目的達成のための方法・考え方

これらを行う際の方法・手段・考え方が「外に現れたもの」が性格です。
 これらはすべて「3タイプの気質・性格イメージ」と「願望」で決まってきます。
 ちなみに「ハルヒ」は明るいハイテンションタイプであり、また「明確な願望」を持っています。こうすると強力な強いキャラクターになります。
なかなか強力なキャラクターを作れないという人は「明るくハイテンションのキャラに強力で明確な願望を持たせて」みましょう。
 願望に関していうと、普通のテンションの「みくる」もローテンションの「長門」もそれぞれ明確な願望・目標を持っています。二人の場合は「役目・使命」といってもいいかもしれません。

    

◇願望を達成しようとがんばる姿をイメージしてみよう!

   

お客さんが共感できる「キャラクターが、がんばる理由」を考えよう!

 願望・目標が決まったら、そのキャラクターが目標を達成して願望を成就する姿をイメージしてみましょう。そして、なぜそんなにまでしてそれを得なければいけないのか、その理由をキャラクターの気持ちになって考えてみましょう。
また、理由はどこかの面で「お客さんの共感を得られるもの」であることが重要です。ターゲットとなるお客さん層が持っているであろう理由・動機をキャラクターにも付けてやりましょう。

    

◇お客さんの持つ願望をキャラクターにかなえさせよう!

   

 願望・動機はお客さんの共感の得られるものに

 キャラクターの願望や欲求・動機は、ターゲットのお客さんが持っている願望を付けてやるとお客さんの支持を得やすくなります。また、キャラクターの願望はお客さんにに認められるようなものでなければいけません。とくに主人公キャラはそうです。「人の道を外れたもの」や「自己本位的で他人がどうなってもいい、そのためには手段を選ばない」というような願望や動機、あるいは行動があるとお客さんは感情移入できなくなります。お客さんの価値観・道徳観と乖離してしまい、結果そのキャラクターは受け入れてもらえず、嫌われてしまいます。
 逆に、「命が危険な状況から何としても脱出する」や「他者を助けるために懸命になって努力する」など、どんな年齢・性別層のお客さんでも共感し認めてくれるような目的や動機があれば、お客さんはそのキャラクターの目的の達成を応援してくれるでしょう。

    

 人間の行動原理

心理学では、人間が何かの行動をするときの理由は、大きく分けて2つあるといわれてます。

 ①「喜びを味わいたい」
 ②「苦痛を避けたい」

です。
しかし物語を考える上では、人間にはもう一つの行動原理があります。それは、

③「他者のために」

というものです。これは「愛の精神」とも呼べるかもしれません。
人は、大切な誰かのために、自分の喜びを犠牲にしても、自分が苦痛を受けることになろうとも行動するときがあります。
実際にあった話なのですが、ある小さな女の子が大きな病気かかり輸血が必要になりました。しかしその女の子の血液型は非情に珍しいもので、輸血できる人が見つかりませんでした。でもピッタリ血液型が合う人が見つかりました。それはその子の兄でした。さっそく輸血しようということになり、まだ小さかった兄は少し悩みましたが輸血に協力する事にしました。ベッドに寝かされた幼い兄はお医者さんに一言だけ尋ねました。「先生、ぼくって死ぬんだよね」「え、何で死ぬんだい? キミは死なないよ」医師は答えました。「だって血を抜いちゃうんでしょ」兄はいいました。「いや、血を全部抜くわけではないんだよ」まだ小さかった兄は自分の血液をすべて妹にあげるのだと思っていたのです。その兄は自分は死ぬ事を覚悟して、それでも妹の命を助けるために躊躇せずにベッドに上がったのです。
親が子のため、夫婦が互いの伴侶のため、兄弟のため、家族のため、かけがえのない親友のため、誰も頼るもののない弱者を助けるため、あるいは正しいことを成し遂げるために、人は行動します。こういった動機を付けてやるとキャラクターの魅力が増し、またお客さんに受け入れてもらえ、共感・応援してもらえるキャラクターになります。

    

キャラクターの願望の数はあまり多くしない

 多くの読者の願いをかなえようとして、一人のキャラクターにあまりにもたくさんの願望を持たせてしまうと、個々の目的と動機が散漫になってしまい、願望を達成しようとするキャラクターが何の願望に向かって努力すればいいのかわからなくなってしまいます。また、どれもこれもと努力をすると、一つひとつの努力が弱くなってしまいます。
 キャラクターに持たせる願望の数は「3つまでが限度」と言われています。
以下のように設定してやるとよいでしょう。

1 .キャラクターがはじめに(もともと)持っている願望(「夢」や「人生の目標」と言い換えても良いでしょう)
2 .物語上で起こる「問題」を解決したいという願望(起こった問題を解決したいという動機のもとに発生する願望。劇的欲求)
3 .趣味や嗜好についての小さな願望

    

 強力な動機・理由を付けてやろう

キャラクターの願望を決めるときは、以下のことを考えてみましょう。

・どうなりたいのか
・何をやりたいのか
・なぜやりたいのか、やらなきゃいけないのか
・どうやってやりたいのか

キャラクターに願望から生まれる強力な動機をつけてやりましょう。

   

◇②キャラクターに「弱点」を与えて、お客さんに応援してもらおう!

   

「弱点・隙」がキャラクターに対する親近感をもたらし、応援したくなる!

 キャラクターを考えていく際に、必ず「弱点」を付けていきましょう。そして、できればその弱点が露見するシーンを物語中に入れていきましょう。弱点は、そのキャラクターの「ベースの要素」とかけ離れた「ギャップ」のあるものにしていきましょう。この「意外な弱点」によって、キャラクターの人間性が深まり、面白みが増し、お客さんの親近感がわいてきます。そして、お客さんはキャラクターを身近に感じ、愛着がわき、キャラクターの味方になってくれて、キャラクターの行動・目的の達成・問題の解決を「応援」してくれるようになるのです。

    

 弱点や悩みがキャラクターに人間味を与える!

古くは「寅さん」、最近では「電車男」など、お客さんに愛されるキャラクターには、人間味があり、親しみやすく、共感でき、応援したくなってしまいます。これらのキャラクターの魅力は「読者層と近い等身大のキャラ」であるという点です。これらのキャラクターには長所ばかりではなく、短所や弱点、悩み、うまくいかないこと、といった要素が必ず付け加えられています。人は、そういった誰もが持つ「弱さ」や「悩み」などを見ることで、そのキャラクターを身近に感じ、愛着がわきます。「寅さん」には『不器用な生き様』『作中のヒロインを好きになるがその恋は絶対に実らない』という弱点・悩み要素が付けられています。「電車男」には『オタク』という弱点が付け加えられており、その弱点によって巻き起こされるエピソードの面白さと、ネットの住人の反応・共感・応援する様が作品の醍醐味になっています。
 完全無欠のキャラほどつまらないものはありません。めちゃくちゃ強い「ウルトラマン」にも「地球上では3分間しか戦えない」という弱点があります。
人間としての不完全さや弱点、悩みが等身大のキャラクターを生むのです。
キャラクターの人間味を出し、お客さんに親近感をもってもらうには、キャラクターに弱点をつけ、不完全さを持ちながらもがんばるところを描いてやるのです。

     

 「判官(ほうがん)びいき」でお客さんを味方に付けよう!

 人には「判官びいき」といって「弱い者に味方をしてしまう」という心理状態があります。
 たとえば、高校野球などで自分の出身県や応援している高校以外の試合を観ている時など、なぜか負けている方のチームを応援してしまうことがあるかと思います。負けている方のチーム、明らかに弱い方のチームが逆転したり、勝ったりするとすごく痛快な気持ちを感じます。日本人特有のものかどうかは分かりませんが、私たちは「負けている方」「弱い方」に味方をしてしまいやすい傾向を持っています。
 ですから、キャラクターに弱点をつけ、その弱点や欠点、悩みやうまくいかないことが表れるシーンを描くことで、キャラクターを弱いもの・負けているものとしてお客さんが捉え、「判官びいき」の心理によってそのキャラクターを応援し、味方になってもらいましょう。そうすることでキャラクターの人気を得ることができるでしょう。 

    

 さまざまな弱点要素

 弱点といっても、いわゆるマイナス要素を指すものだけではありません。弱点にはいろいろな種類・側面があります。
まず性格的・人格的な問題点、人間性の欠如部分などのいわゆる「欠点」です。
次に「隙」、これは「玉に傷」の部分、唯一のウイークポイントのことです。たとえば、忠実でタフな完全な軍人キャラなんだけど、唯一犬が苦手だとか、優しくて美人で申し分ない女性なんだけど料理が破壊的なほど下手だとか、そのキャラクターの唯一の残念な部分というか人間的な部分というか、それが「隙」となります。
「苦手なもの・嫌いなもの」も弱点です。特定の虫や動物、辛いもの苦いものなどの食べ物、女性が苦手、男性恐怖症などの人間関係から、高所・閉所などの空間・場所、熱い寒い、音、におい、触覚など、いわゆる五感に関係するもののほとんどが「苦手なもの・嫌いなもの」として設定できます。
「特定のことができない」というのもこの苦手なものに入るかと思います。例えば、泳げないとか、漢字を見ると頭痛がするとか、自転車に乗れないとか、ボールを投げられないとか、そういった大多数の人が難なくこなしていることができないということも、当てはまります。
また「うまくいかない事」「人から隠したいこと」などの要素も弱点として考えていくことができます。例えば「意中の異性に全然相手にされない」とか「仕事や家庭や学校で問題を抱えている」といった事、「オタクであることを隠している」「おしとやかなお嬢様だけど実はデスメタルロックバンドをやっている」などの周りに知られるとまずいもの、何かしらの不利益を被るために隠している事などがこれにあたります。

     

 弱点は、やはりギャップである!

弱点を作る際は、ギャップを考えて作ります。そのキャラクターのベースのイメージからかけ離れていればいるほど面白い「弱点」をつくることができます。その際は、必ずキャラクターの「ベース」とのギャップとなるように設定していきましょう。

   

◇弱点は「強調」して、「コミカルに描写」していこう!

   

 弱点は極端に!

 弱点を設定したら、その弱点を強調、誇張していきましょう。ちょっとぐらい苦手だ、我慢すれば耐えられるという程度の弱点は弱点とはいいません。これでは弱点がないのと同じです。半端な描写ではせっかくの弱点が引き立たなくなります。弱点の設定・描写はちょっと行き過ぎているかなというくらいでちょうどいいのです。なぜなら意外な弱点が極端であるほど、ギャップもまた大きくなりキャラクターの面白さへと繋がるからです。弱点も立派なギャップ要素なのです。

   

◇弱点に出会ったときの「キャラの反応・リアクション」を面白くしていこう!

    

 弱点に対する反応・リアクションが表れるシーンがキャラクターを膨らませ、性格を形作る

意外だとは思いますが、弱点とはその人の本質をある意味、表している大切な要素です。弱点はその人の個性を表し、考え方、価値観を表すのに非常に有効な手段になります。ですから、まずはキャラクターの性格・内面を考えていく段階では、まずこの意外な弱点考えていきましょう。そして、その弱点を強調して突出させていきます。そして、その弱点が現れるシーンを考えていきましょう。そのシーンが、実はキャラクター造形の肝の部分なのです。

     

 弱点と遭遇した際のリアクションを面白おかしく、変わった、特殊なものにしていこう!

 弱点が表れるシーンで大切な事は、その弱点にキャラクターが遭遇して、ある反応、リアクションが表れるという点です。お化けが苦手なキャラクターがいたとします。で、お化けに遭遇した際に反応として「ガクガク震えてしまう」や「失神してしまう」といったリアクションがキャラクター側に表れます。このリアクションが弱点を描く上で最も大切なポイントになります。
 この弱点に遭遇した時のリアクションがどのようなものかでキャラクターの個性や面白さを表すことができます。例えば、お化けに会った時には「恐怖のあまりなぜかスキップでしか歩けなくなってしまう」とか「髪の毛の色が変わってしまう」とか、ある種、特殊な反応を描いてやるとキャラクターの面白さに繋がります。ポイントは、オーバーに、極端に、なおかつ変わった、普通とは違う反応、変な反応、コミカルな反応を取らせてやるとうまくいきます。
傑作マンガ『ああっ女神様』に登場する女神の一人「ウルド」は『演歌を聞くと寝てしまう』という「意外な弱点」と「その弱点に出会ったときの反応」が描かれています。また、同じ作品に登場する魔族のキャラクター「マーラー」は、『ロック音楽をきくとつい踊り出してしまう』というユニークな弱点とその反応が付けられています。このように弱点を考えるときは「意外な弱点」のほかに「弱点に遭遇した時の面白い反応を示すシーン」も合わせて考えていくようにしましょう。この弱点に対する反応を描いたシーンこそがキャラクターを膨らませていく重要な働きをするのです。

    

◇③キャラクターが「変わる」とき、お客さんは感動する!

    

キャラクターは「変化」する!

物語の中でストーリー、キャラクター両面において非常に重要な要素がひとつあります。それは「変化」です。変化を描写したものが物語となります。そして、その中で絶対に外せないのがキャラクターの変化です。

   

キャラクターの変化とは「内面の変化」である。お客さんはキャラの心の変化に感動する!

変化とは、「内面の変化」です。つまり心・気持ちの変化、精神的な変化、感情的な変化です。この内面的な変化を別の言葉で言うと「成長」です。そして、お客さんはキャラクターの内面の変化・成長に感動します。外面的な変化(肉体的な成長とか、新たな能力に目覚めるとか会得するとか、より高い地位を得るとか)では、お客さんは感動してくれません。

外面的な変化というのは、内面的な変化・成長に付属して起こるオマケみたいなものです。成長とは「心が変わること」なのです。何か問題に立ち向かうときに勇気を出したり、自分のトラウマを克服したり、新たな価値観に気づいたり、欠点や弱点を克服したりするシーンをつくることで、キャラクターの成長を描くことができます。

     

◇「変化のパターン」と「変化のための準備」

    

 キャラが変化する「2つのパターン」

キャラクターの成長・変化には2つのパターンがあります。

1.「主人公が変化する」パターン
2.「主人公は変化せず」、他の誰か(他キャラ)に影響を与えて、その「他キャラが変化する」パターン

1は、これまで説明した通り、主人公が何らかの出来事を経験して変化するパターンです。
2は、主人公自体は変化せず、変わらない・変えないことで、それによって他のキャラクターに影響を与えて、他のキャラクター(シリーズものや連作短編であればゲストキャラクターなど)が変化していきます。このパターンは例えば、大勢が金銭のために悪事に手を染めてしまうという変化をする中、主人公だけは善を貫き通し変わらない、というパターンです。この場合は、何があっても善を貫く主人公を見て、己を恥じ悪事を捨てて善に立ち返るその他大勢の変化を描くことになります。
また、主人公ではなく、その他の誰かが変わらないのを見て主人公が影響を受けるというパターンもあります。人間は誰かと出会い、多かれ少なかれその誰かから影響を受けるものなのです。良い出会いは、良い成長に繋がります。キャラクターにも、良い出会いをさせてあげましょう。
 要は「誰が変化するか」の違いだけです。

    

 成長させたいキャラは「未熟な状態」で登場させよ!

 さて、成長を描く上で大切なことが一つだけあります。それは、「成長するキャラは成長するために成長していない未熟な状態で登場しなければならないということです。はじめから「成長済みの完成した状態」で登場してしまうと、それ以上成長することができません。完成しているので成長しようがないからです。成長をさせるには、伸びしろのある、未完成の未熟な状態で登場し、成長をすることで完成するように描いていきます。
 強いものがそれ以上強くなっても面白くありません。できるものが、さらにできるようになってもあまり感動しません。弱いものががんばって強くなるから面白いのです。できないものが努力してできるようになるから感動するのです。

    

◇変化したことを描くには「行動を変化」させよう!

    

 心が変われば「行動」が変わる

キャラクターの内面(心・気持ち)の変化をさせる場合、なかなか心が変化したことを作品の中で描いていくことは難しいです。そんなときは心が変化したことを表すために「行動を変化」させてみましょう。
キャラクターの気持ちが変わると、キャラクターの行動が変わります。行動が変わったことを描いていくことで、心が変化したことを表現することができます。
 傑作バスケマンガ『SLAM DUNK』では、チームメイト同士である主人公の桜木花道と流川楓の二人は互いに反発していて、それを表すようにこの二人は試合中ほとんどパスを出すことはありませんでした。でも最終回、最も大事な場面でこの反発する二人が「パスを出し」そのパスからシュートが決まり逆転して勝ちます。これなども、反発していた二人が変わったことを行動の変化で表した好例です。

  

参考:第2章キャラクターをつくろう! の記事

■vol.13 「こうなりたい!」「こうありたい!」が愛されるキャラクターをつくる

■vol.14 キャラクターの性格の基礎は「3種類」しかない!

■vol.15 「外面的性格イメージ」と「ギャップ要素」が魅力的なキャラをつくる!

■vol.16 「セリフ」がキャラクターをつくる!

■vol.17 キャラクターは反対の性格を持つキャラ同士の、「ペア」か「3人組」でつくろう!

■vol.18 ぶっちゃけます、キャラをつくるホントに有効な方法「好きなキャラクターを下敷きにしてつくる!」

■vol.19 お客さんが支持し、共感してくれるキャラをつくる3つの秘密「願望」「弱点」「変化」

■vol.20キャラクターを「掘り下げ」て深みを出そう!


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