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2011年5月21日 (土)

■vol.13 「こうなりたい!」「こうありたい!」が愛されるキャラクターをつくる!

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◇「人の希望・思い・願い」がキャラクターをつくる!

   

「こうありたい」という思いと、その場面・シーンからキャラをつくろう!

 キャラクター作りの最初も「シーン」を思い浮かべることからはじめます。
 では、どんなシーンを思い浮かべればいいのかということなんですが、それは「みなさんが思う自分は『こうありたい!』というシーン」です。
「自分がどんなふうな人間になりたいか」「どんなふうな人間でありたいか」「どんなことをしたいか」ということをまず自由に、思い浮かべます。たとえば「どんな逆境にも負けないように強くなりたい」「戦場で、僅かな軍隊で大群に勝てるような知略が思い浮かぶぐらい頭が良くなりたい」「いつでも、どんな人にも優しくありたい」など、私たちは誰しもそんな「こうありたい」「こうしたい」という希望や願いを持っています。その「こうありたい」「こうしたい」という事柄を実際に行なっている「シーン」を思い浮かべるのです。
 そして、そこからそういう人物はどんな思想・考え方・価値観・性格なのか、どんな生活をしているのかといった人物像を発想していくのです。『マンガ編集者が語る 面白さの作り方』の中で著者の八窪頼明氏はこう述べています。
 (以下太字部分『マンガ編集者が語る 面白さの作り方』P57引用)

『キャラクターはこうありたいという人間の心がつくったもの』

 キャラクターは私たち人間の希望や願い、思いが生み出した存在であるということです。私たちの持つ「こうありたい」「こうしたい」「こうなりたい」「こんな人物でいたい」という思い、願い、心が込められてキャラクターが生まれるのです。
 そして、作者やお客さんのそういった思いや願いが込められていれば、そのキャラクターは必ず魅力的なキャラクターになります。

    

◇魅力的な「主人公」のつくりかた

 「主人公」とはどんなキャラクターか

 物語の中で最も重要なキャラは「主人公」です。
この「主人公」を魅力的に描くために物語があるのです。また、その他のキャラは主人公が引き立つためにいるのです。物語ではこの主人公キャラクターが魅力的に描けるかどうかで、作品の面白さが決まります。

ということで、キャラクターを考える場合は通常まずこの主人公を最初に考えていきます。そして、主人公の人物像と照らし合わせて他のキャラクターをつくるようにしましょう。
 では、主人公とはどんなキャラクターなのでしょうか。主人公には、以下のような特徴があります。

・お客さんが中心的に「感情移入」する。お客さんは主人公に「なりきる」。
・お客さんの「欲求や願望」を、作品世界の中でお客さんの「代わりにかなえる」。
・物語の中で、作者が「一番描きたい対象」となるキャラ。通常、「一番描写の量が多い」。
・通常、主人公が「物語を進め」、「事件や問題を解決するために行動」する。
・物語を通してお客さんが「興味を持ち、憧れる。惹かれる。好きになる。共感する。応援する」。

    

◇あなたの作品の主人公は、お客さんが「共感」する要素を持っているか

    

主人公にとって最も大事なことは、お客さんが「共感」してくれることである! !

 お客さんが作品の中で主人公を気に入ってくれたり、身近に思ってくれてたり、応援したくなったり、好きになったり、憧れたりしてくれるためには、お客さんが作品の主人公に「共感する」ということが必要不可欠な大きなポイントになります。つまり、主人公をつくる上で大切なことは「主人公に、お客さんが共感しちゃうような要素を持たせること」なのです。

    

 「残念な部分」を持たせよう! 

  お客さんが共感する「ウイークポイント(弱点、不幸、マイナス要素)」

 「強い」とか「かっこいい」などのお客さんの憧れるようなキャラクターはとても重要ですが、それだけだとあまりに恵まれすぎていて、お客さんからねたみ、うらやみ、時には反感を買ってしまいかねません。また反感まで行かなくとも、お客さんがキャラクターとの間に距離感や溝を感じてしまい、キャラクターに親近感を感じなくなり、結果共感することができなくなります。
 かっこ良くて頭も良くて、さらに超かわいい女の子と恋が実るなんていう展開だと、ねたみはしても愛着や感情移入は出てきませんよね。(えっ、ただのひがみかな……?)
 では、どうすれば読者がキャラクターに親近感をいだき、共感してくれるようになるかというと、「ウイークポイント」を持たせてやるのです。
すなわち「弱点や弱み、悩みや苦しみ、残念な部分、不幸な部分」をキャラクターに与えるのです。すると不思議と読者はその「残念さ」に親近感を覚え、共感してくれるのです。そして、そのキャラを応援してくれるようになるのです。
 たとえば「文武両道才色兼備、だけど男性恐怖症で男性と付き合ったことがない」といった感じで、どこか同情したくなるような残念な、不幸な部分があると人は愛着がわくものなのです。おそらくそれは、人間が持つ「優しさ」という感情に訴えかけるからなのだと思います。人間は他人の「弱さ」を見ると警戒心を解きます。弱さを見ることで安心するのです。そしてその人を受け入れ、身近に感じ、助けたくなります。キャラクターも同じなのです。
 このキャラクターに持たせる弱さ・不幸はどんなものでも構いません。深刻な悩みや苦しみでもいいですし、方向音痴や超がつくほどの料理下手、眼つきが恐ろしく悪いといった身体的特徴などのコミカルなものでも構いません。ポイントは、そのウィークポイントを早い段階で(出来ればはじまってすぐ位)で見せていくということです。

    

■ ライトノベル小説「残念系作品」の人気の秘密

 近年のライトノベル小説の中では俗に「残念系」と呼ばれる作品が人気を博しています。
 容姿やスタイル、生活環境などは恵まれているのにどこか残念な部分があるキャラクターが登場する作品です。たとえば致命的な欠点があるとか、友達がいないとか。それも、やはり「残念な部分」に読者が共感していることが人気の秘密なのではないかと思います。ただし、この残念系はさじ加減が大切で、あまりに残念すぎたり不幸すぎると痛々しくなってしまい共感どころではなくなり、また逆に残念な女の子と仲良くなりすぎると単なる「リア充」になってしまい、それこそ読者から妬まれてしまいます。うま~くコミカルさを出しながら、共感できる残念さをキャラに付与していくことがポイントです。
 そんな残念系作品のなかでも、渡航著のライトノベル小説『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は、とても完成された残念系のお手本となるような作品です。容姿も良く勉強もそこそこできるのに友達が全くいない「ぼっち」の主人公 比企谷八幡(通称:ヒッキー)と、才色兼備で非の打ち所がない美少女であるにもかかわらず、あまりに完璧すぎて周りの女子から反感を買い、いつも一人孤独なヒロイン雪ノ下雪乃の二人が、奉仕部という部活を通して人助け(?)の活動をしていく物語です。この作品なんかも主人公の残念さを表す逸話が所々に挿入され、主人公の一人称の地の文を読んでいるだけで思わず吹き出してしまいます。と同時に、とっても共感し、親近感が湧いてきます。特に第一巻が秀逸で、最後のピンチの場面では心から主人公たち二人を応援し、読み終わったときには二人を大好きになってしまっていました。
 二人が取り組んでいることが「人助け」という奉仕活動ということも、二人に共感してしまう大きなポイントになっていると思います。

       

「人も羨む高い能力を持つキャラ」や「作中で誰もが憧れるような幸せを手に入れるキャラ」には、お客さんに妬まれないために必ず「不幸な要素」をつけろ!!

 すごい能力を持ったスーパーキャラクターをつくる場合は、どこか一つマイナスの要素、弱点とか、貧乏とか、運が異様に悪い、みんなからバカにされている、すごさに誰も気付いてくれない、必ず誰かにおいしいところを持っていかれてしまうなどの、かわいそうな残念な、同情しちゃうところ、何かしらの不幸な要素を必ず入れて、そういうシーンを描きましょう。
超名作マンガ『ツヨシしっかりしなさい』の主人公ツヨシはスポーツでも料理でも何をやらせても人並み外れた腕前で軽々とやってのけるスーパーキャラクターですが、唯一「やったことが報われない、認められない」という欠点、残念さをもっています。作中で誰も解決できなかった問題をツヨシが鮮やかに解決するのですが、誰もツヨシがやったことに気づかない、ツヨシがやったと信じない、挙げ句の果てには毎回必ず家族に誤解されて、怒られたり叩かれたり……。だからこそ、ツヨシの万能さを持ちながらも嫌味なところがないキャラクターになっているのです。また、ツヨシに関してはもう一つ、性格的にとても「いい奴」という点があります。優しくて、子どもやお年寄り、弱い立場の人に対して優しいのが、ツヨシの大きな魅力になっています。このことについてはさらに詳しく考えてみたいと思います。

     

 「主人公」の資質と「それを表すシーン」に、お客さんは共感する!

 主人公となるキャラクターには、一種の主人公たる条件、資質、素養というものが備わっている必要があります。
 八窪頼明著『マンガ編集者が語る 面白さの作り方』の中では「読者に受ける主人公の条件」(『マンガ編集者が語る 面白さの作り方』P58~66)というものが定義されています。
 また、ディーン・R・クーンツ著『ベストセラー小説の書き方』の中には「主人公に要求される5つの資質」(『ベストセラー小説の書き方』P192~201)が載っています。

 これらはお客さんに受け入れられ、好かれ、惹きつけ、お客さんが共感するような主人公をつくるうえで非常に示唆に富んだ役立つものです。

 では、どうすればこういう資質を主人公に備えさせられるのでしょうか。その方法はこれらに挙げられた条件が表れているシーンを作ってしまえばいいということになります。
 以下は、私自身でこの2つの条件を基にして、どんなシーを作れば魅力的な主人公がつくれるのかをまとめたものです。

   

《お客さんが共感するシーン》

①「主人公が読者層と近い等身大の存在である、強さもあるが弱さも持っている」シーンを描く
主人公は常に読者の味方であり、身近な存在である。読者と同じような喜び・悩み・境遇・悲しみ・努力・願望・目標・弱点を持っている。そうすると、読者が共感する。読者の価値観、夢や希望を打ち砕くような言動・行動はしない。ある種の孤独さを持っている。読者と近く、読者の代わりに行動する。

②「正義の人、善人であり、やさしさを持ち人の痛みが分かる」シーンを描く
 主人公は信じられる人物であり、正しい価値観のもとに行動する。正義の味方。善悪の区別があり、道徳・人の道を明確に把握していて、それに反した行いはしない。常に善と正義の側につく。弱者を助ける。権力に屈しない。一見悪そうでも、心の奥や根本の部分では善を選び、ぬくもりや優しさを持っている。

③「読者が同情してしまうような面、あるいは残念な面を持っている」シーンを描く
主人公は同情するような境遇にある。貧乏とか、いじめられているとか、異性にモテないとか、うまくいかないことや悩みを抱えているとか。(人間は弱いものに味方してしまう心理があります。「判官びいき」といいます。)応援したくなる。

④「他人のために自分を犠牲にする」シーンを描く 
 他人のために自分の物や財産、地位、名誉などを犠牲にする。危険な目に遭おうとも他人(友など)を助けるために行動する。

⑤「有能であり、高い能力で大活躍している」シーンを描く
主人公は、他キャラとくらべて優れている部分がある。一番強い、一番頭いい、一番人徳がある、一番優しいとか。特殊な能力があったり、王家の血筋だったり、勇者の血を引いていたり、サイヤ人だったり。

⑥「勇気を持っていて、勇気を発揮する」シーンを描く
お客さんは、勇気を発揮して自分より強いものに立ち向かっている人物に共感する。臆病で逃げてばかりいる人物には共感しない。
 はじめは勇気を持っていなくても、最後には勇気を発揮して困難や問題を打破していく。真の意味での強さがある。

⑦「不完全さを持ち、親しみやすく好感の持てる人物である」シーンを描く
 主人公は完全無欠ではなく、どこかに不完全さ、弱点や欠点を持っている人間味のある人物。夢もあり、欲もある。頭にくることもあれば、落ち込みもする。失敗してしまうこともある。親しみやすい人物。

⑧「どんなことがあっても決してブレない」シーンを描く
周りや環境、他人の意見がどうあろうとも、たとえ馬鹿にされたり苦難に陥ることになろうとも決してブレず、信じるものや価値観を守り通す強さがある。

⑨「積極的であり、能動的である」シーンを描く
なんといっても主人公となるキャラクターは、積極的に行動する人物であるべきである。消極的で、ウジウジしている主人公では読者にあきれられるし、第一物語を作る上で非常にマイナスで、作る上で多大な困難を作者にもたらす恐れがある。(私は一回、この手の性格の主人公を設定してヒドい目にあいました。結局その物語は完成できませんでした。本当に避けた方がいいです)
主人公が動かないと問題が解決に向かわない。主人公が行動に向かうには、目的と動機を明確にする必要がある。
消極的なキャラは、それを「どうしてもやらなければいけないという状況」が必要になる。それでも消極的なキャラクターは行動してくれない。(行動させるとウソになる、キャラが変わってしまうという状況に陥る)

主人公を作る場合、全部とはいいませんがこれらの条件のうちの幾つかは兼ね備えている必要があります。こういう一面が表れるようなシーンをまず思い浮かべ、そこからキャラクターをつくっていけば必ずお客さんに受け入れられる魅力的な主人公を作り出すことができます。

   

◇キャラクターを愛そう!

    

 キャラクターには必ず「作者の好みの要素」を与えて、シーンを考えよう!

 キャラクターを作る上であまりにも当たり前のことで重要視されていないのですが、非常に大切なポイントがあります。それは「キャラクターを愛する」ということです。キャラクターを魅力的に見せるには、作者がそのキャラをまず愛して、その愛するに足る魅力が見えるシーンを考えていくようにしましょう。
さて、作者がキャラクターを愛するというのは非常に大切な、キャラクター作成上最重要の工程です。これは冗談や抽象的な意味でいっているのではありません。文字通りキャラクターを愛するのです。この工程を決して軽視したり、おろそかにしてはいけません。そしてキャラクターを愛するためには、「作者が愛しやすいキャラクター」を作らなければいけません。なぜなら、ウケ狙いで商品としてキャラクターをつくったり、作中で扱っているとスグにお客さんにそのことがバレて、お客さんが興冷めしてしまうからです。
作者が愛しやすいキャラクターをつくるには「作者の好みの要素をキャラクターに付けていく」ようにしましょう。作者の好みの要素をキャラクターが備えていれば、必然的に作者の好みのキャラクターができあがります。そうすればそのキャラクターに愛着がわき、容易に愛することができます。そうすると、このキャラクターのこういうところが好き、こういういいところがあるんだ、こんなおちゃめな一面もあるんだ、それをお客さんに伝えたい! という欲求が必ず生まれます。この欲求がない場合はまだ愛せていないのかもしれません。前述の主人公の資質なども含めてもう一度、作者が愛せるキャラクターを作っていきましょう。
「愛する」ということは、いわゆる「恋愛感情」ではなく、それもあるかもしれませんが、それもこれもひっくるめて「キャラクターに興味がわく、気に入る、いとおしく思う、まるでそのキャラクターが生きているかのように現実に存在しているかのように大切に思う、愛する」ということなのです。そして、キャラクターを愛することがまずキャラクターを作って、動かしていく上での第一歩になります。
また、キャラクターを愛することができなければ、物語を作る上ですべての面において「弊害」が出てきます。キャラクターを愛せなければセリフも浮かびませんし、魅力的に描くこともできません。これは作ってみるとわかります。
ですから、忘れないでください。繰り返しますが、この「キャラクターを愛する」という工程を決しておろそかにしないでください。皆さんの愛情をたっぷりとキャラクターに注ぎ込んでください。たっぷりと愛情を注ぎ込めるようなキャラクターを作ってください。お客さんに愛していただくには、まず作者がキャラクターを愛してあげましょう。

   

◇あると便利な「お客さんがキャラクターを好きになる7つのシーン」

    

 お客さんがキャラクターが好きになるようなシーンから考えよう

 物語の中で、以下のようなシーンから発想していくことで、お客さんにそのキャラクターを好きにさせることができます。(一部、魅力的な主人公をつくるためのシーンと重複しています)
 以下のシーンのどれかを思い浮かべて、キャラクターをつくるきっかけとしてみてください。

《キャラクターを好きになる7つのシーンとその理由》

    

1.「意外な一面」が見えるシーン
  (ギャップで好きになってもらえる)
2.「弱点・悩み」によって人間味・等身大の人物像を感じられるようなシーン
(共感し、応援したくなる)
3.「一点を極端に強調」して描写したシーン
  (特徴が明確になる、面白さが出る)
4.「願望(劇的欲求)」を叶えるために頑張るシーン
  (血が通い活き活きしてくる、応援したくなる)
5.「成長・心の変化」するシーン
  (感動する)
6.「良いところ・素敵さ・可愛げ」が見えるシーン
(キャラの人間的な良さが見え、好きになってもらえる)
7.「活躍(能力などを発揮)」するシーン
(憧れを感じ、引きつけられる)
では、お客さんがキャラクターを好きになり、憧れや親近感を感じさせるような「7つのシーン」を具体的に考えていきましょう。

1.キャラクターの、普段は見せない「秘められた意外な一面」が見えるシーンをつくろう!

《いろいろな要素での意外な一面》

まず性格・外見・年齢・職業などの「キャラクターの持つイメージ」を裏切る「ギャップ(意外な一面)」をつくり、そのギャップを「強調」していきましょう。
そして、そのギャップが表れるシーンを考えてみましょう。

・意外な性格的一面(キャライメージ)
・意外な趣味、
・意外な、似つかない願望、
・意外な言動
・意外な言葉使い(語尾・方言・人称・口調・口癖・決めゼリフなど)、
・意外な特技・才能・知性・知識・特殊能力
・意外なリアクション 
・身分・社会的地位  

   

2.「意外な弱点」弱点に遭遇したキャラの反応を極端に描こう!

  弱点が見えるシーンを使って、人間味のある等身大のキャラクターを描こう!

 意外な弱点と、その弱点に遭遇したキャラクターを強調・誇張して極端にコミカルに描くことで、キャラクターの面白さにアクセントを与えることができます。「意外な弱点」に怯えるシーンやエピソードを描くことで「ギャップ」の面白さによってキャラクターを引き立てていくことができます。「熱血バカ・ポジティブタイプ」のキャラでも「いざ落ち込むと、とことんまで落ち込んでしまう」という弱点を付けたとしたら、「落ち込みよう」は「極端」にしていくとギャップが強調されて面白さが増していきます。例えば、落ち込むと「自分ダメな人間ですから」としかいわなくなってしまうとか、メチャメチャネガティブになってしまうとか、「三歩進んで二歩下がる」というようにしか歩けなくなってしまうとか……。弱点に遭遇したときのキャラクターの反応を「普通の反応」ではなく、特異に、強調して面白くしてやれば、そのシーンを描けばキャラクターに面白さを加えることができます。

    

3.キャライメージの「一点を誇張」して、それが見えるシーンを描こう!
人気の出ているキャラクターを観ていると、キャラクター設定の中の一つの要素が誇張されて極端に描写されていることが多くあります。こうすることで、そのキャラクターの特徴を引き立てることができます。
一番強調したいキャラクターの特徴を極端に突出させて誇張されたところを描写できるシーンを作ること、これが特徴のあるキャラを作る有効な手段の一つなのです。
赤塚不二夫の『天才バカボン』の登場するおまわりさんが強調して極端に描写している分かりやすい例です。バカボンのおまわりさんは「タイホするー!」と連呼しながら拳銃を乱射するというキャラクターとして描かれています。つまり「拳銃を携帯している」「逮捕する」という警察官のイメージが極端に誇張されて描かれています。
『のだめカンタービレ』の「のだめ」というキャラクターは、音大生の女の子という設定に“変態”という要素が加わっています。しかも、並みの変態ではなく“かなりの変態”なのです。住んでる部屋はゴミだらけで虫がわき、食器にはカビた食べ残しが……といった具合に、女子大生・年頃の女性というイメージとかけ離れた要素が極端に付けられています。
この他にも『ああっ女神様っ』の藤見千尋は女の子なのにかなりのバイク好き、長谷川空は恐ろしいほどに料理が下手くそである、といった具合です。

 ・極端にする要素は、性格以外にも趣味や弱点など、どんな要素でもいいです。
 ・極端にする場合は、ギャップとうまく絡めていくと特徴的なキャラクターが作りやすくなります。

それらの誇張したい要素が見えるために一番効果的なシチュエーション・状況を考え、それらが面白く見えるシーンを考えていきましょう。

     

4.お客さんの「願望」をキャラクターがかなえるシーンを描こう!
 お客さんと願望について以前学んだかと思います。ここではキャラクターの願望について考えます。キャラクターには願望(劇的欲求)を持たせることが大切です。願望は欲求を生み出し、欲求は動機を生み出し、動機は望み・目標・目的を生み出し、その目標を達成するためにキャラクターは必死になって行動し、努力します。そうすると、とたんにキャラクターが活き活きしてきます。~したい! ~のために! という願望はキャラクターの行動の強力なモチベーションになるのです。
 お客さんができないことをキャラクターがやってくれるのを見るとき、お客さんの目にそのキャラクターは魅力的に映るはずです

     

5.キャラクターが「成長・変化」するシーンを描こう!
魅力的なキャラクターは、物語が終わるときに変化・成長していきます。
私たちは誰しも「もっと良い人間になりたい」という気持ちを持っています。人間は何も知らない、何もできない赤ちゃんの状態で生まれ、少しずつ年齢を重ねながら人生で起こる様々な出来事を経験し、様々なことを学び、才能・能力を伸ばし、人格を高め、成長していきます。人間の人生は階段を登るように人が成長していけるようにできています。実は、キャラクターも同じなのです。キャラクターも成長・変化するのです。
キャラクターの変化は「内面(心・気持ち)の変化」です。
ある出来事が起こり、そのことによってキャラクターが成長・変化するそのキャラクターの長い人生の一場面を切り取って見せたものが物語なのです。キャラクターが変わろうとするとき、変わるとき、お客さんはそのキャラクターに魅力を感じるでしょう。

     

6.キャラクターの良いところ・素敵さ・可愛げのあるところを描いて、お客さんに好きになってもらおう!
どんな人間にも、どんなダメなヤツにも、どんな嫌なヤツにも、どこか一つは“良いところ”や“尊敬できる、見習えるところ、おちゃめなところ”があります。人間性、人間的に良い部分です。キャラクターも同じで、どんなキャラクターでも、どこかには「良いところ」があります。やさしいとか、謙遜とか、明るいとか、情け深いとか、子供の面倒見がいいとか、いろいろな良い所があります。それは、キャラクターの「ベース」と「ギャップ」になっているパターンが多いです。その良いところがひょんなことから明らかになる、垣間見える、などのシーンを描いていきましょう。
憎たらしい敵役や上司などのキャラクターにも「可愛げのあるところ・憎めないところ」があるものです。そういった意外な一面(これもギャップ)を描いていくことによって、キャラクターの人間性を豊かにしていくことが出来るようになります。「こいつ意外にイイヤツだな、面白いところあるんだな」と思うことによって、お客さんはそのキャラクターに惹かれていくのです。

    

7.キャラクターが活躍するところを描いて、お客さんに好きになってもらおう!
 ギャップを生かしたキャラの典型的パターンである「能あるタカは爪を隠す」パターンのキャラは、この方法でキャラの能力が最大現に発揮されて鮮やかに問題を解決したり、敵を倒したりするシーンを描いていきましょう。ポイントは初登場時のシーンと、本当の能力が発揮されるシーンの二つを考えるという点です。初登場時は優れた能力とは正反対のイメージでなければいけません。実は武道の達人だったというキャラであれば、初登場時は「弱い、情けない」状態で、武道の達人であることなど微塵も感じさせないように登場させましょう。
 「能あるタカ~」のタイプではないキャラクターでも、キャラクターが目立ち、活躍するシーンを描くこと、キャラクター独自の能力を発揮させることでキャラクターを魅力的に描くことができます。このシーンはキャラクターの有能さをお客さんに見せ付けるシーンとなります。
 ただし、キャラクターは有能であるだけではダメです。有能なだけの描写では嫌味になってしまいます。やはり弱点や抱えている過去、高い能力を普段明かさない理由なども考えていくことで、深みのあるキャラクターを描くことができます。このシーンを描くときは、そういった要素も合わせて考えていくようにしましょう。

     

これらの7つのシーンがあれば、お客さんはキャラクターを好きになってくれます。
また、必ずしもすべてのシーンを作品中で描くことはありませんが、うまく入れ込めれば効果が上がります。二つ同時に、なんていうことも可能です。

「シーン」を思い浮かべる事で、その「シーン」や「エピソード」がキャラクターをどんどん膨らませてくれたのではないでしょうか。これが「キャラクターが立つ」という事なのです。

 

参考:第2章キャラクターをつくろう! の記事

■vol.13 「こうなりたい!」「こうありたい!」が愛されるキャラクターをつくる

■vol.14 キャラクターの性格の基礎は「3種類」しかない!

■vol.15 「外面的性格イメージ」と「ギャップ要素」が魅力的なキャラをつくる!

■vol.16 「セリフ」がキャラクターをつくる!

■vol.17 キャラクターは反対の性格を持つキャラ同士の、「ペア」か「3人組」でつくろう!

■vol.18 ぶっちゃけます、キャラをつくるホントに有効な方法「好きなキャラクターを下敷きにしてつくる!」

■vol.19 お客さんが支持し、共感してくれるキャラをつくる3つの秘密「願望」「弱点」「変化」

■vol.20キャラクターを「掘り下げ」て深みを出そう!

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