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2011年5月26日 (木)

■vol.23 「はじまり」と「おわり」をつくろう!

 

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◇「はじまり」と「おわり」が決まれば,お話が作れる!


ストーリーとは『状態の変化と,その過程を描いたもの』である

この世のすべての物語が持っている構造があります。それは「はじまり」から始まって,「おわり」で終わるという構造です。なにを当たり前のことを,とお思いかもしれませんが,物語は「はじまり」の状態から「おわり」の状態への「状態の変化」,そして「その過程(どのように変化していくか)」を描いたものなのです。


はじまりとは「悪い状態」,おわりとは「良い状態」である

物語とは,「はじまり」から「おわり」までの「状況の変化」を描いたものです。A→B,AだったものがBになるということです。では,その「状況の変化」というのはどのような変化なのでしょうか。それは「何らかの悪い状況が,良い状態に回復する」という変化です。悪い状況が良い状況になる,これが物語の持つ変化です。

ということは,その状況の変化を物語の「はじまり」と「おわり」に当てはめると,「はじまり」とは「悪い状況」となり,「おわり」は「その悪い状況が回復した良い状態」となります。

悪い状況が物語のはじまりであり,回復した良い状態が物語のおわりなのです。


◇「悪い状況」が、解決しなければいけない「本問題」となる


また,「悪い状況」とは「解決しなければいけないメインの本問題(最大の問題・物語上の目的)」となります。本稿では解決すべき悪い状況であるメインの最大の問題を「本問題」と呼びたいと思います。

この悪い状況という「本問題」の解決を妨げる「障害」を克服・解消し,最期に「最大の障害」を克服して「本問題」解決し,悪い状況が良い状態に変化することが物語の基本的な流れとなります。

◇「悪い状況」と「回復された良い状態」をつくろう!



「悪い状況」と「回復された良い状態」がどんなものかを具体的に決めていく

ストーリー作りで最初にやることは,まず物語のスタートである「悪い状況」がどんな状況か設定してやり,次にゴールであるそれが回復した「良い状態」がどんな状況かを決めていきます。

「悪い状況」とは,何かが欠如,欠落,悪化,もしくは破綻している「欠落事項」のことです。例えば「お金がない」とか,「好きな異性がふり向いてくれない」とか,「想いが伝えられない」という状況です。あるいは「逆上がりができない」とか,「敵の攻撃で平和が脅かされている」とか,「夫婦が喧嘩して口を利かなくなった」といった,「平和・平穏な,満たされた日常の状態から何らかの欠如・欠落・悪化・破綻が生じてしまった状況」のことです。「悪い状況」には様々な規模と種類があります。「世界の平和が脅かされている」といったものから「靴下の片方が見つからない」といった小さな種類のものまであります。「悪い状況」が大きければいいというものではありません。ストーリーの長さに合った「悪い状況」を決めていくことが大切です。また,小さい「悪い状況」でも描き方によって大きな感動を呼ぶことができます。

ですから,「悪い状況」=「欠乏・欠落事項」が何なのか,何が欠落し,何が破綻し,どんな状況なのか,これをまず決めていきます。

そして,この「欠落事項」が決まると,ゴールである「回復・解決された状態」も自動的に決まっていきます。前述の例からだと,「お金を得られた」「好きな異性と両想いになれた」「逆上がりができるようになった」「敵を倒し平和が訪れた」「夫婦が仲直りした」という状態がゴール,すなわち「欠如・破綻・問題が回復・解決された状態」になります。


ゴールから設定しても良い

ゴールである「回復された状態」から先に設定しても構いません。ゴールから先に浮かぶ事も多いです。「逆上がりができるようになる」というゴールを決めたら,自動的に「逆上がりができない状態」というのがスタートになります。「彼氏と仲直りする」というゴールを決めたら「彼氏とケンカしている」というのがスタートの状態ということになります。


いくつもの「はじまり」と「おわり」

物語では(とくに長編でなどで)「はじまり」と「おわり」,つまり「悪い状況とそれが解決された良い状態」は複数個設定されている事があります。これはあとでくわしく学びますが,長編などでは「状況の変化」が一つだけだと非常に単純な物語になってしまいます。ですから,物語を膨らませて豊かにしていくために複数の様々な「悪い状況とその解決の状況の変化」を設定していくのです。

複数の「状況の変化」がある場合は,まず一番中心となるメインの「悪い状況とそれが解決された良い状態」を1個つくります。そして,その脇にそれに関連する小・中規模の「悪い状況とそれが解決された良い状態」をいくつか設定しています。これらはメインの悪い状況解決のための行動を妨げる要素「障害」となります。

ここで注目すべきは,それらの「状況の変化」がすべて繋がっているという点です。脇に配置された小さな問題の解決に従って,メインの問題の解決が進行していき,最後にメインの問題が良い状態へと変化していくのです。

(これらについては,後に詳しく学びますので,お楽しみに)


「はじまり」と「おわり」をつなげてお話の「芯」を作ってみよう!

「はじまり」と「おわり」をどんなものにするか決まったら,その二つをつなげると一つの短い文章になります。例えば,前述の例からだと,「彼氏とケンカしていたが,仲直りする」「逆上がりができなかったが,できるようになる」という感じです。

これは,作ろうとしているストーリーがどういうお話なのか,何についてのお話なのかを一言で表したものになります。

そして,この短い文章こそが,ストーリーの「芯」になるのです。ストーリーは,この芯に肉付けしていって膨らませていくとできあがります。

これが,物語制作のスタート地点です。

「はじまり」と「おわり」を最初につくる利点

ところで,なぜ「はじまり」と「おわり」を最初につくるのでしょうか。これでは「はじまりはじまりぃ~,めでたしめでたし」という感じであっという間に終わってしまい面白くもなんともありません。でもいいのです。この段階で面白い必要はありません。ここは物語のスタートとゴールを作ったに過ぎないのです。物語の面白さというのははじまりとおわりの「間(中間部)」にあります。どんな過程を経てはじまりからおわりまで進んでいくのか,どんな人物が出てきて,どんな事が起こるのか,その過程がおもしろいのです。大切なのはこの「間」の部分に何があるかです。

さて,はじめの質問にもどりますが,「はじまり」と「おわり」を最初につくる利点とは「道を見失わないようにするため」です。「おわり」を作らないで物語を作ると,作っている途中で一体どこへ向かっているのかわからなくなることがあります。どこへ向かえばいいのか,見失ってしまうのです。その結果,尻切れトンボになったり,支離滅裂な物語になったりします。それを防ぐためには,はじめに明確に「はじまり」と「おわり」,つまりスタートとゴールを作っておかなければいけません。そうすれば,決して物語を見失う事はないのです。物語とは構造です。全体でどうなるかを常に計算しながら部分を作っていくのです。


では,今回も本講の最後に演習をやってみましょう。

演習

自分の好きな物語作品(マンガ,アニメ,小説,映画,ドラマ等)を一つ選び,その作品の「はじまり(悪い状況)」と「おわり(良い状態)」を書き出してみましょう。それを繋げて「どんなお話なのか」を表す短い文をつくってみましょう。

 

参考:第3章ストーリーをつくろう! の記事

■vol.21 「ストーリー」のつくりかた
■vol.22 物語に必要な「12の要素」
■vol.23 「はじまり」と「おわり」をつくろう!
■vol.24 「事件」が「悪い状況」を引き起こす!
■vol.25 「誰が」「何を」するのか!
■vol.26 「動機」を描こう!
■vol.27 「3つの障害」をつくって、メインの問題の解決をジャマしよう!
■vol.28 登場人物の「心が動く瞬間」を描こう!
■vol.29 「テーマ」とは、なんぞや?
■vol.30 「テーマ」はクライマックスに組み込もう!
■vol.31 クライマックスで主人公を谷底に突き落とそう!
■vol.32 「解決方法」の3つのパターン
■vol.33 12の要素をまとめて、ラストで解決する問題を決めていこう!

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