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2011年5月27日 (金)

■vol.32 『「解決方法」の3つのパターン』

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◇「解決方法」によって「最大の障害・絶体絶命のピンチ」が解決する!


「最大の障害」が解決するための「解決方法」を用意する

 問題が解決するには「理由」が必要です。何らかの解決の要素があって,問題が解決に至ります。物語では,その具体的な要素・方法を用意する事が重要です。そして,その方法は,前述のテーマからもたらされる行動と結果に関連した,なんらかの関係性を持った内容になるということです。

まず心の問題が解決し,その後の選択・行動によって,それに関連して本問題が解決していきます。その行動をとったからこういう結果になり,それによって本問題が解決に至るわけです。

◇問題の解決は,いつだって9回裏ツーアウトからの逆転サヨナラ満塁ホームラン!

「大逆転」させよう!

主人公は問題解決の前には「もうだめだ」というような絶望的状況に一度落ち込みます。そして,そこから一気に大逆転して「最大の障害」が克服され,本問題が解決するのです。これが基本的であり,絶対に外せない問題解決の流れです。この「地獄の底まで落とされた後に,天の高みまで昇る」という鮮やかな大逆転劇が,お客さんに最高のカタルシスを与えるのです。

 しかし,ただ単に問題は解決しません。絶体絶命のピンチにまで追い込まれているのですから,そこから逆転するにはそれだけの「解決の要素(理由)」が必要になります。

それが「解決方法」となるわけなのです。

では,この「解決方法」にはどんなものがあるか,どんな解決方法が良いのかを検証してみましょう。

◇「解決方法」を考えよう!

「解決方法」の3つのパターン

 さて,この最後の「最大の障害」を解決させる「解決方法」には,大きく分けて3つのパターンがあります。

1.テーマの「結果」の部分がそのまま障害・問題解決に直結するパターン
2.主人公が戦略的に障害・問題を解決するパターン
3.隠していた本当の力を出して障害・問題を解決するパターン

他にもあるかもしれませんが,一応問題の解決方法はこれら3つの枠内に収まってきます。

それでは,それぞれのパターンにおいて,具体例を交えながら見ていきたいと思います。

◇パターン1「テーマの結果の報いとして問題が解決する」

「テーマの結果部分」が問題を解決するパターン

 1のパターンは,テーマと解決方法が密接に関わるパターンです。テーマの行動部分の結果として問題が解決するというパターンです。具体例として「笠地蔵」を使って説明します。

 「笠地蔵」の物語のテーマは「他人に情け深い行いをすれば,巡り巡って良い報いとなって自分に情け深い行いが返ってくる」というものです。

ストーリーは「お金と食料が底をつくという悪い状況があり,それを解決しようとおじいさんが町に売りに行った笠が一個も売れないという事件が起こり,問題が深刻化します。帰り道,吹雪の中で雪にさらされている7体の地蔵を見て哀れに思い,その地蔵に売れなかった笠と自分の手ぬぐいをかぶせてやるという「情け深い行い」をします。家に帰ってくるおじいさん,食べるものもなく,おばあさんとともに床につくと,しばらくして外から大きな物音が。びっくりして戸を開けてみると,驚いたことにそこには野菜や米,モチなどの食べ物と財宝が置いてあります。ふと見ると,遠くに笠をかぶった6体の地蔵とおじいさんの手ぬぐいをかぶった1体の計7体の地蔵が歩いていく姿がみえます。おじいさんはそこで地蔵が恩返しにきてくれたのだと知ります」というものです。

「情け深い行い」の結果として,テーマにある通りに良い報いがあります。すなわち地蔵が「食料と財宝」を持ってきます。その食料と財宝によって「お金と食料がなく年も越せないという悪い状況」が解決します。

この物語の「解決方法」はもちろん「地蔵が食料と財宝を持ってくる」というものです。でも,これはテーマである「情け深い行動のもたらした結果」でもあるわけです。両者はイコールなのです。

また,このパターンのポイントは「おじいさんは食料と財宝を得るために地蔵に笠をかぶせたのではない」ということです。ただ,吹雪にさらされている地蔵を哀れに思ったから笠をかぶせただけなのです。しかし,その情け深い行いによって地蔵の恩返しという展開を呼び込んだ,ということです。つまり,このパターンを用いる場合はテーマのもたらす行動は「問題の解決とは関係ない行動」にしなくてはなりません。少なくとも「直接的には問題解決に関係のない行動」にする必要があります。

これが「テーマの結果が問題を解決する」というパターンです。

1のパターンの特徴

このパターンの特徴は,自分の行ったことに対する結果として,外から何らかの解決方法がもたらされるという「外的な要因」によって問題が解決するというところです。心が変わり,行いも変わったことに対する報い(ご褒美)として問題が解決するのです。心と行動が変わることによって結果も変わるということです。

このパターンでは,問題解決の要素として行いが変わったことによってもたらされる「偶然」「奇跡」「思わぬ展開」「運命的な展開」「他社の行動」「他者の心の変化」などの要素が問題解決に関わってきます。それがきっかけとなって問題が解決するのです。

◇パターン2 「主人公が戦略的に問題を解決する」

主人公たちが自発的に戦略的に問題を解決するパターン

2のパターンは,主人公が自発的な方法で戦略的に問題を解決します。1のように外部からもたらされるのではなく,「主人公が自らの手で解決する」のがこのパターン2です。

このパターンの特徴は「テーマの行動とその結果は問題解決には直接的には関わらない」というところです。ただし,きっかけになったり,間接的に関わったりする場合はあります。

もう一つの特徴は「問題が解決した後に,さらに大きい「最大の問題」が現れる」という点です。テーマの行動と結果によって,いったんは問題が解決します。いや,解決したかに見えます。しかし,じつは解決してなかった,解決したように見えただけで,あるいは一部が解決しただけで,その後からもっと大きな問題である最後の最大の障害が姿を現します。もしくは,新しく発生します。

また,このパターンでは,テーマによる解決がない場合もあります。

そして,最後に現れた最大最悪の問題を解決するのが,この主人公が用いる自発的な,戦略的な解決方法です。

土壇場でひらめく機知に富んだ解決方法

この方法の一番の特徴は,用いられる解決方法は「それまでに誰も考えつかなかった一発逆転の秘策」であるという点です。しかも,それがクライマックスの絶体絶命の大ピンチの土壇場の場面でしか考えつかない(用いられない)という点です。

このパターン2の解決方法は,主人公が思いつく場合もあれば,その他のキャラが思いつく場合もあります。いずれにしても「人為的に」解決方法を自分たちで行っていきます。

ですから,作者はこの「解決方法」を頭をひねって考えなければなりません。アイディアが必要です。

では,このパターンも昔話「三枚のお札」を具体例にとって,見ていきましょう。

三枚のお札のストーリー

「ある村の寺に和尚と小僧が住んでいた。ある日,小僧が山へ栗拾いに行きたいと駄々をこね,和尚は仕方なく許可をした。暗くなる前に帰るようにと言いつけ,何かあったときのためにと3枚のお札小僧に持たせた。

小僧が栗拾いに夢中になっている内に日が暮れ,暗い山道を戻れずに,一軒の老婆の家に泊めてもらうことにする。夜にふと目覚めた小僧は,老婆がじつは恐ろしい山姥で,小僧を食べるために包丁を研いでいるのを目撃する。

ついに捕まってしまう小僧。小僧は山姥に便所に行きたいといって便所に行き,1枚目のお札を便所の柱に括り,「札さま,何かあったらオラになってけろ」と頼んで窓から逃げた。山姥が「もういいか」と尋ねると,小僧に化けた札が「もうちょっと」と繰り返す。山姥が我慢できず便所をぶち破ると,小僧は跡形もなく消えていて,破れた札があるだけだった。

だまされたと知った山姥は小僧を追いかける。追い付かれそうになった小僧が「大きな川,出ろ」と念じてて2枚目のお札を投げると,大きな川になって山姥の行く手を遮る。だが,山姥はその川の水をぐびぐびと飲み干した。次は「火の海,出ろ」と念じてて最後の札を投げると,火の海が出た。しかし山姥はさっき飲んだ川の水を吐いて吹き消した。

なんとか寺に逃げ帰った小僧は和尚に助けを求め,壺に入って隠れた。

やがて山姥が寺に入って来た。「小僧を出せ」

「その前にわしと術比べをしよう。山ほどに大きくなれるか」と和尚が言う。

「ああ,出来るとも」といって山のように巨大化する山姥。

そこで,和尚がわざと挑発する。「そうか。だが,さすがのおまえでも『豆のように小さくなること』はできまい」

「ふん,そんなのは簡単なことだ」といって山姥は豆粒ほどに小さくなった。その瞬間,和尚は食べていた“もち”で山姥を挟んで食べてしまった。こうして,小僧は山姥から逃れることができた。」

 さて,この話の「悪い状況」は「小僧が山姥に食べられそうになる」という命の危険です。それが起こる「事件」というのが「小僧が山に栗拾いに行き,日が暮れて帰れなくなる」というものです。「不思議なお札を使って逃げる」が解決行動で,山姥が「それをことごとく破っていく」という「障害」が配置され,「寺の中に追い詰められる」という「最大の障害」が小僧を襲います。和尚は山姥を超えるような法力は持っていません。しかし,和尚は機転を利かせて知恵を使って山姥を退治します。「挑発して小さくならせたところをモチで挟んで食べてしまう」というのが,パターン2の解決方法,「戦略的に解決する」なのです。

頭を使って,一発逆転,というのがこの方法の展開なのです。

西遊記の金角銀角の話でもこのパターンで問題が解決します。

「天竺へ旅をする三蔵法師一行を襲う金角と銀角。二人が持つ『返事をした相手を吸い込んでしまうというヒョウタン』を使って孫悟空以外が仕込まれてしまう。孫悟空も吸い込まれるが,小さな虫に変身してヒョウタンから脱出し,部下に化けてヒョウタンをすり替えることに成功し逆に敵の名前を呼んで返事をさせてヒョウタンに吸い込んで敵を倒す」

解決方法の様々なパターン

 さて,このパターンは「敵と戦っている」とか「命の危険が迫っている」などのシチュエーションで用いられることが多いパターンです。

この解決方法は機知やひらめきなどが解決方法をもたらします。「こんな手があったのか」というやつです。ですから,その方法を考える作者のアイディアが勝負です。

手がかりとして,いくつかのパターンがありますので紹介します。

① 意外な使用方法
② 障害(相手の武器,力,状況)を逆に利用する
③ 切り札
④ 伏線を利用する
⑤ 意外な弱点

……とこんな感じです。

つぎの作品は,パターン2のいかした解決方法が見られるオススメ作品です。ぜひ,ご覧になってください。

『ロボコップ』(1作目)
『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』

◇パターン3「隠していた本当の力を出して問題を解決する」

能ある鷹は爪を隠すパターン

 これは,俗に「能ある鷹は爪を隠すパターン」といわれているものです。その言葉の通り「本当の実力を隠していて,いざって時にその力を発揮して問題を解決する」というパターンの「解決方法」です。じつは強かった,じつは何らかの達人だったといったかんじで,じつは何かの分野のエキスパートでその圧倒的に高い能力で問題を一気に解決するというところが,このパターンの特徴です。

これは,キャラクターのギャップと関係してきます。(※以前のギャップの項目を参照してください)

このパターンで注意することは,クライマックスまで本当の実力を出さないという展開になるわけですが「なぜはじめからその力を使わないのか」という突っ込みに対するもっともらしい理由をつけなければいけない,というところです。はじめからその力を使わない,使えないという「枷」のような条件を設定しておかなければいけません。

また,もう一つは「該当のキャラクターは,はじめはそんな実力を持っているなどとは全く感じさせないような状態」で登場することです。たとえば,武術の達人ならば弱々しい,トロい感じで登場させる,といった具合です。強そうなやつがやっぱり強かったというよりも,弱そうなやつがじつは強かったという方がギャップによる驚きと面白さがあります。

この隠していた本当の実力というのは何も能力だけではありません。「正体・地位」いう意味でもこの解決方法は使えます。ただのおじいちゃんだと思っていたらじつは徳川の副将軍だったとか,用務員さんだと思ってたらじつは校長先生だったとか,ダメ税務職員だと思っていたら,影の凄腕税務調査官だったとか。真の姿(正体)が判明することで,権力や立場の影響力で問題を解決していくこともあります。

◇問題解決シーンは「キャラを魅力的に見えるシーン」の一つである

問題解決シーンは「キャラが魅力的に見えるシーン」として最初に考えておこう

 解決方法は「キャラが魅力的に見えるシーン」の一つとしてかなり早い段階で決めておく必要があります。変な話ですが,解決方法は「問題」よりも先に決めておくと良いかと思います。問題を作ってどうやって解決しようかなと考えるのではなく,解決方法を先に考え,それに合わせて「その解決方法を使って解決するにはどんな問題にすればいいか」と考えた方が,解決方法を十二分に活かせる問題解決シーンをつくることができます。

ですから,問題解決のシーンはキャラの特性やギャップを活かせるような,キャラ設定と密接に関わるように考えるようにしましょう。とくにパターン3はそうです。

では,本講の最後に演習をやってみましょう。

演習

自分の好きな物語作品(マンガ,アニメ,小説,映画,ドラマ等)をいくつか選び,その「解決方法」を調べて書き出してみましょう。

 

参考:第3章ストーリーをつくろう! の記事

■vol.21 「ストーリー」のつくりかた
■vol.22 物語に必要な「12の要素」
■vol.23 「はじまり」と「おわり」をつくろう!
■vol.24 「事件」が「悪い状況」を引き起こす!
■vol.25 「誰が」「何を」するのか!
■vol.26 「動機」を描こう!
■vol.27 「3つの障害」をつくって、メインの問題の解決をジャマしよう!
■vol.28 登場人物の「心が動く瞬間」を描こう!
■vol.29 「テーマ」とは、なんぞや?
■vol.30 「テーマ」はクライマックスに組み込もう!
■vol.31 クライマックスで主人公を谷底に突き落とそう!
■vol.32 「解決方法」の3つのパターン
■vol.33 12の要素をまとめて、ラストで解決する問題を決めていこう!

 


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