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2011年5月28日 (土)

■vol.40 いちばん大切な事、「とにかくキャラクターを立てよう!」

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◇エピソードを用いてキャラクターを立てる!
 
 
「キャラクターを立てる」とは?

プロの世界ではよく「キャラクターが立つ」と言う事をいいます。キャラクターが立つとは,キャラクターの魅力や特徴,面白さが存分に描かれ,目立ち,輝き,存在感が増していくとことを言います。

 キャラクターというのは造っても,立てていかなければ魅力が出ません。「キャラを立てる」ためにはテクニック,つまり作戦と策略が必要です。手を変え品を変え,様々な方法・状況を駆使してキャラクターを魅力的に見せていきましょう。

さて,立てるべきキャラクターとは誰でしょうか?

 いちばん優先されるのは「主人公」です。そして,その主人公とペアになるキャラです。

キャラクターは一人では立ちません。必ず相手役のキャラ,もしくはその他大勢のキャラを一緒に登場させ,その差異を描いていく事で,キャラクターを立てていくようにしましょう。
   
 
「誰が主人公なのか」を早い段階で明確にしておく

 主人公は早い段階(少なくとも第1幕中)で登場させておきましょう。ただし,一番最初に登場させればいいかというと,必ずしもそうとは限りません。(それに関しては後に説明していきます)

 エンターテインメント系の作品では「わかりやすさ」が重要になってきます。お客さんが早い段階で,特定の主人公に感情移入できるように「主人公が誰なのか」という事をしっかりと明確に描くようにしましょう。

主人公と,それ以外の周りのキャラクターでは,同じように描いてはいけません。主人公は特別扱いしなければいけません。登場シーンやその他のシーンで,必ず描写に差をつけて,主人公だという事をしっかりアピールしていきましょう。

     

◇物語の序盤でキャラクターを立てる方法
 
 
~主人公は遅れて登場する~

 立てたいキャラクター(主人公)は,一人遅れて登場させましょう。遅れて登場する事でお客さんの注目を受け,キャラクターを立たせることができます。
 
 
~主人公は印象的な登場のさせ方をする~

 印象的な初登場のさせ方をすれば,キャラクターは立っていきます。印象的な登場の仕方というのにも,いろいろ方法があります。基本的には目立つ,忘れられない,強烈な,といったものであるべきです。キャラの特徴が強調されるような登場にし方,ギャップが強調されるような登場にし方をする。独自性,特異性を前面に出した登場,特異な状況での登場,登場時の行動(パフォーマンスと呼んでもいい),などが,お客さんの印象に残るキャラクターの登場の仕方です。いろいろな作品のキャラクターの初登場シーンを見てみましょう。
 
 
~周囲の登場人物に,「立てたいキャラクター」について話をするシーンをつくる~

 キャラクターが登場する前,もしくは登場した後に周囲の人物に「立てたいキャラクター」についての話をさせるとキャラが立ちます。たとえば,前者の場合は,キャラを登場させる前に周囲の人の噂話でキャライメージをお客さんに植え付けておいて,いざ登場したキャラはまったく逆のイメージのキャラだった,というギャップを活かすシーンがつくれます。後者の場合なら,わざと平凡な感じで登場させておいて,あとで周囲の人たちが「あの人実は,すごい人なんだよ……」という話をさせる事で,やはりそのギャップによってキャラクターを立てる事ができます。
 
 
~キャラの特殊性・独自性(みんなとちがうところ)が現れるエピソードを描く~

キャラクターには特徴付けた独自性・特殊性があります。要は,みんなと違う部分です。その違いを,周囲のキャラクターと比較しながら描いてやるのです。その際に,みんながやらないことをさせ,みんなが言わない事を言わせ,みんなと違うリアクションを取らせましょう。
 
  
~設定したギャップが現れるエピソードを描く~

   キャラが登場して早い段階で,キャラが持っているギャップ要素を描いていきましょう。意外な一面とか,意外な願望とか,意外な弱点とかをわかりやすい形で見せられるようなエピソードを描きましょう。
  
 
~一点を強調したキャラ要素が現れるエピソードを描く~

設定した一点強調のキャラ要素に基づく行動や言動,反応を示すシーンを描きましょう。
  
 
~キャラの願望を出しておく~

   キャラの願望は,早い段階で提示しておきましょう。願望を欲しているキャラ,その心情や行動を描く事でキャラクターを立てる事ができます。
  
  
~キャラの特徴を描く~

   なんと言っても,まずはキャラの特徴を描いていく事が重要です。いちばん見せたい要素に焦点を当てて描いていきましょう。
 
 
~副主人公(主人公の相手役)と対立(意見の相違や掛けあい)をさせる~

意見や考え方の異なる,対立するキャラとの掛け合いをさせることで,キャラを立てる事ができます。
   
 
~独自のしぐさをさせよう~

そのキャラクター独特のしぐさを決めておきましょう。そして,そのしぐさをさせるときにキャラクターを立てる事ができます。たとえば,メガネをクイッと上げるとか,髪を掻き上げるとか。なんでもいいです,しぐさを取らせてみましょう。似つかないようなしぐさを取らせてギャップを狙っても面白いです。
  

キャラを立てるシーンとキャラに対する説明

 キャラを立てていく上で,当然キャラに対する説明をしていく事にもなります。ただ,キャラを立てるという事は説明以上のものです。

 ここでやるべきことは,そのキャラがどんなやつか,いかに魅力的か,どんな特徴があるかをエピソード(短い出来事)を使って見せていくことです。

 キャラのギャップが現れる,キャラ同士(例えばペアとなるキャラ同士など)の関係性などの説明も,エピソードを使って説明していきます。
 
 
キャラ立てと状況設定を同時にこなす『彼氏彼女の事情』TVアニメ第1話に見られる優れた状況設定シーン

 TVアニメ『彼氏彼女の事情』では,非常に巧みな状況設定とキャラ立ての見本を見る事ができます。

主人公宮沢雪野は学校では非の打ち所の無い優等生のお嬢様,でもその裏は(家では)普通の庶民的な女の子,ぐーたら,の優等生を演じる〝見栄王〟という二面性のギャップが,キャラクターの面白さになっています。また,勉強もできて人望もある本物の優等生に有馬聡一郎に〝成績一番〟の座を奪われまいと対立し,ライバル心を燃やします。

そのようなギャップと人間関係を,のっけにお客さんに分からせなければいけません。

そのギャップを説明するために学校でみんなから慕われているエピソード,その直後に家でジャージでくつろぐエピソード,家族との会話でギャグを交えながらの説明エピソード,雪野の学校でのエピソードを語る家族,有馬との対決シーン,有馬に勉強で勝とうとして猛勉強するシーン,有馬に勝って有馬の没落を妄想するエピソードなど,状況説明をしながら,キャラクターも立てて,なおかつストーリーも進んでしまうという,状況説明を,お客さんをまったく退屈させずに面白おかしく,やってしまっているところが,非常に参考になります。
  
 
『涼宮ハルヒの憂鬱』に見るキャラの立て方

 ここで,名作『涼宮ハルヒの憂鬱』のハルヒの登場シーンからの,ハルヒのキャラの立て方を見ていきましょう。
 
●印象的な初登場シーン

かの有名なハルヒのぶっ飛んだ自己紹介のシーン。

「ただの人間に興味はありません。この中に宇宙人,未来人,異世界人,超能力者がいたら,あたしのところに来なさい。以上」

普通の女子高生と思いきや,かなりの変人だったというギャップや特異性が強調されています。また,キャラが持つ願望もこの時点で強烈にアピールされています。

●立てたいキャラについて周囲の人物が話す

国木田と谷口がハルヒの中学生時代の変人ぶりを示すエピソードを語る。
 
●キャラの特徴・ギャップを描き出すエピソード

曜日ごとに髪形を変えるシーン。その理由。

男子がいるのに平気で着替えるエピソード。

すべての部活に仮入部し,運動部から熱心な誘いを受けるがすべて断るシーン。

●ペアになるキャラとの価値観・意見の対立

常識的な価値観を持つキョンと奇人変人のハルヒの価値観,考え方のかなりの開き,ズレが描かれるエピソード。

●反対の属性を持つキャラとの対比

朝倉涼子との比較,対比。

……と,序盤だけ見ても「涼宮ハルヒ」というキャラクターの面白さ・特異性を描いてキャラクターを立てるために,ふさわしいエピソードや手法が,てんこ盛りに詰め込まれています。また,ハルヒの変人振りをを描けば描くほど,正反対の性質のキョンも同時に対比でキャラが立って行くという構造になっているのです。
では,今回も本講の最後に演習をやってみましょう。
 
演習 

自分の好きな物語作品(マンガ,アニメ,小説,映画,ドラマ等)を一つ選び,どのようにキャラを立てているか,そのエピソードと手法を書き出してみましょう。

 参考:第4章「構成」を組み立てよう!

■vol.34 3幕構成(4区分)でプロットをつくろう!

■vol.35 物語は「エピソード」で出来ている!

■vol.36 キャラクターの「気持ち(内面)」を描かずして、何が物語か!

■vol.37 面白い物語は始まりから面白い! 「ファーストシーン」(ツカミのつくり方)

■vol.38 「ネタ振り」が物語の出だしを盛り上げ、作品の方向性を決定する!

■vol.39 状況設定は「エピソード」を使って行おう!

■vol.40 いちばん大切な事、「とにかくキャラクターを立てよう!」

■vol.41 「事件」が“物語の本当の始まり”になる!

■vol.42 物語の本問題の発生と解決の主要な流れ、「メインプロット」

■vol.43 中盤部の面白さは、「サブプロット」にあり!

■vol.44 「ミッドポイント」――物語の真ん中では何が起こっているか!

■vol.45 「3つの流れ」を描こう!

■vol.46 物語の「山場」を盛り上げよう!

■vol.47 12の要素を当てはめてラストをつくろう!

■特別付録「物語あらすじ制作シート」

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