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2011年6月 3日 (金)

■vol.46 物語の「山場」を盛り上げよう!

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◇「山場」をつくって物語を盛り上げよう!

「山場」とはなにか?

 何の出来事も起こらず,何の事件も,何の問題も起こらない「平坦な物語」ほど退屈でつまらないものはありません。何かが起こって,それを解決しようと登場人物が右往左往するからドラマが面白くなるのです。では,平坦な物語ではなく「起伏に富んだ物語」をつくるにはどうすればいいのでしょうか。

 それは物語に「山場」をつくることで、起伏に富んだ「面白い物語」を作ることができます。

   
   

◇山場とは「問題と解決」のことである!

  

山場を作りたい箇所に「事件・問題発生と解決までの一連の流れ」を描いていこう

 「山場」とは「事件~解決の流れ」のこと,あるいは「解決の瞬間」のことです。

物語に起伏を与えるにはまず「問題を起こす事」です。そして,その問題を解決させることで物語を盛り上げることができます。問題や展開や状況の変化がなければ山場にはなりません。

また,山場には「ピンチ」,つまり危機的状況が欠かせません。問題が起こり,問題の解決が失敗するんじゃないかとお客さんが思うことによって山場を作ることができます。または主人公の命や重要な事柄が失われるんじゃないかという「この先どうなっちゃうんだろう?」という問題と解決に伴う「先が気になる展開」が「山場」を作っていくのです。

   

◇山場を「盛り上げ」よう!

   

様々な手を使って山場を盛り上げよう!

 さて,山場を作ったら,その山場を盛り上げていきましょう。

 盛り上げるためには,そのシーンに様々なものを盛り込んでいきます。たとえば,戦うというシーンならば舞台に凝ることができます。普通の道ばたで殺陣をするよりも,深い谷にかかる橋の上や,走っている列車の屋上とかで戦った方が盛り上がります。また,規模を大きくしたり,派手にしたり,リスクを大きくしたりすることでシーンを盛り上げることができます。

 アクションや追っかけなどの活劇シーンを盛り込むのも良く取られる手法です。戦闘シーン,爆破シーンなど見栄えがし,変化に富んだシーンを盛り込んでいくと盛り上がります。

 日常的な物語でも引ったくりに遭うとか事故に遭うとかいろいろな手を使って(それこそアクションシーンなどを盛り込むなどして)盛り上げていきましょう。必ずしもアクションシーンだけが盛り上がりをもたらすわけではありません。物を無くして探すとか,時間に間に合うかどうか遅刻しちゃわないかどうかというタイムサスペンス的要素などの「先が気になる要素」を使って山場となるシーンを盛り上げていきましょう。

  

最大の山場「物語のクライマックス」を盛り上げよう!

 物語の中で最も盛り上がる「最大の山場」はラスト手前からはじまる「クライマックス」部分です。

これは物語の「メインプロット」の問題と解決,「最大の障害」「絶体絶命の大ピンチ」からの解決方法による「大逆転の問題解決」になります。3部構成中の中盤部の最後の「最大の障害」から~結末部の「問題解決」までが,この「クライマックス」部分に当たります。ここは12の要素を当てはめていきます。

 このクライマックスを盛り上げるコツは「最大の障害」「絶体絶命の大ピンチ」で主人公をとことん追い詰めることです。絶望を与え,主人公が追い込まれれば追い込まれるほど「クライマックス」は盛り上がります。そして,「解決方法」による大逆転でのあざやかな問題解決があればさらに盛り上がり,お客さんに「カタルシス(解放感や満足感)」を感じさせることができます。絶望的な状況であればあるほど,そこから一気に逆転した時の爽快さは大きくなります。この「主人公が追い込まれた状況」と「問題解決」の落差が,「クライマックス」を盛り上げる鍵となります。また,舞台を派手にし,規模を大きくし,状況を最悪にし,危機感をあおり,問題解決の失敗のリスクを増していくことでクライマックスを盛り上げることができます。

    

◇「サブプロットの問題と結末」が物語を盛り上げる山場となる!

   

クライマックスにいくまでにいくつかの山場(サブプロット)をつくろう!

物語の「最大の山場」は,「クライマックス」部分ですが,少し長い短編や中編や長編の作品では,そこに至るまでの「中盤部」で何の盛り上がりもないと,お客さんが退屈して見るのをやめてしまいます。

 それを防ぐためには,物語の途中に「中盤部の山場」である盛り上がりを作っていきましょう。

具体的には,「サブプロットの問題と解決」をこの中盤に配置します。長編などの作品の長さが長い場合は,二つ,三つの「サブプロットの問題と解決」を配置していきます。(↓クリックすると拡大します)

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◇サブプロットを解決する上で起こる「小さな問題」で物語を盛り上げる

   

「小さな問題」を描こう!

 物語の主要な問題と解決のメインプロットは最大の山場,「大」の山場ということができるかと思います。そして,そのメインプロットの問題解決の過程で起こる,解決を妨げる障害(事件・問題)がサブプロットであり,規模からいって「中くらい」の山場ということができます。さらに,そのサブプロットの問題解決の途中で解決を妨げる「小さな問題」が発生してきます。その問題も解決していきます。それらの小さな問題と解決が「小さな」山場となります。

 物語中では,クライマックスを経てラストの問題解決に至るまでに中・小さまざまな問題と解決(物語の起伏)が起こらなければいけません。それらの中小の山場がお客さんの興味を繋ぎとめ,作品を観てくれる原動力になっていきます。これらの要素はある意味「連続する変化」だということができます。

  

◇『天空の城ラピュタ』に学ぶ途中に配置されている山場の盛り上げかた

  

『天空の城ラピュタ』を例に説明します。

メインプロット
「ラピュタを見つけてる」→後に「ラピュタを悪者の手から守る」です。

登場人物たちの行動の目的
・主人公のパズーの目的は「ラピュタを発見して父親の汚名を払拭する,父親の正しさを証明する」です。
この目的を達成しようと行動します。悪い状況は「父親がウソつきの汚名を着せられ死んでいる」です。
・同じく主人公のシータの目的は「自分と飛行石のことを解明したい」です。
・海賊たちの目的は「飛行石を奪いたい」→後に「ラピュタの財宝を得たい」です。
・ムスカの機関・軍隊の目的は「ラピュタの発見と軍事利用です」
・ムスカ個人の本当の目的は「ラピュタを我が物にし,その科学力で国を,世界を征服する」です。

これらの様々な人物たちが様々な思惑から『ラピュタ』を見つけたいという同じ目標を達成しようと行動するところに,この作品の面白さになります。

  

~構成の流れ~

ツカミ:物語は山場(?)からはじまります。少女シータの乗った飛行船が海賊に襲撃され,空中に落ちてしまう,そのとき飛行石が輝き空に浮かびます。そして少年パズーと出会います。

【山場①】

事件:パズーの家に海賊たちがシータ(飛行石を持っている)を狙って,乗り込んでくる。 

悪い状況:シータの命が海賊に狙われる。命の危機でラピュタを見つけるどころではなくなる。

解決のための行動:追ってくる海賊から逃げる

状況の悪化:軍隊からもシータが狙われる

最大の障害とピンチ:崩れかける高架線路に追い詰められ,腕一本でぶら下がり落ちそうになり,落ちる!

解決方法:飛行石の力が発動し,二人の身体が宙に浮く

解決した良い状況:そのまま鉱山の構内へ逃れる。命の危機から逃れ,またラピュタを探す行動ができるようになる。

   

【小さな山場】

・ パズーの家に海賊たちが来て,変装して出かけるところでシータが転んで正体がバレる。
・ 鉱夫や親方と海賊の力比べ,殴り合い,乱闘。
・ 機関車で逃げるシータを海賊の自動車が追ってくる。貨車のブレーキで海賊をまく。
・ 軍隊(装甲列車)が登場,黒服がシータを捕まえようとする。

★ この後,鉱山の中でトムじいさんと出会います。そこでラピュタや飛行石についての情報が判明していきます。ここもある意味「盛り上がり」の部分になります。前の部分の追っかけの活劇シーンが「動」のシーンだとしたら,この鉱山内のシーンは「静」のシーンとなります。お客さんはあまりアクションばっかりだと,刺激になれてしまいあまり驚かなくなってしまいます。ですから,アクションの小休止としてこのシーンが入っているのです。

また,この二つのシーンは互いに互いを引き立て合う「対比関係」となっています。

   

【山場②】

事件:パズー,鉱山を出たところで軍隊に襲われ,シータが捕らえられてしまう。 

悪い状況:シータと離れ離れ。「ラピュタから手を引いて」と言われ,ラピュタ探索が滞る。

解決のための行動:海賊たちと手を組み,シータの捕らわれている要塞へ行く。

状況の悪化:ロボットの復活,暴走。

最大の障害とピンチ:ロボットの暴走,軍隊の出動,はげしい戦闘,弾幕。ドーラが飛んできた岩に当たり気絶。

解決方法:塔のてっぺんでシータを空中でキャッチ。

解決したよい状況:シータの安全の確保,またラピュタを探す行動ができるようになる。

   

【小さな山場】

・ 投獄されるパズー,説得されるシータ。
・ シータとの別れ。帰宅。
・ パズーの覚悟の決意,敵だった海賊たちに加わる,シータ奪還に旅立つ。
・ ロボットの覚醒,暴走,火の海になる要塞。

  

【山場③ラスト前の盛り上がり】

飛行船でラピュタを目指す海賊とパズーとシータ。
もう一歩で見つかるってところで,敵巨大戦艦と遭遇。
攻撃を受け,パズーとシータが乗った見張り艇のワイヤーが切れて操縦不能に。
そのまま,巨大な低気圧の中へ突入。

   

【クライマックス(最大の山場)】

ラピュタに到着する二人。
しかし,海賊が軍隊に捕らえられ,シータの捕まりパズーも命を狙われる。
飛行石がムスカの手に渡り,ラピュタの軍事力を掌握する。(世界平和の危機)
パズー,落下しそうになりながらラピュタの城内を進んで行く。
物語はクライマックスへ。
ラピュタの砲台から放たれる強大な弾丸、爆発がクライマックスを盛り上げます。

そして、物語は意外な結末を迎えます。

……この先はぜひ、ご覧になって確かめてください。

さて、どうだったでしょうか。ラピュタを見つけて悪者からラピュタを守るというメインの問題、シータの命が狙われたり、捕らわれたシータを救出したりというサブプロットの障害の他に、そのサブプロットの解決の過程で発生する様々な小さな問題・障害・展開が物語をより豊かに多様にし、それらが山場となってお客さんの興味を繋ぎとめる働きをしていることがわかります。これが「構成」の持つ力なのです。

では,今回も本講の最後に演習をやってみましょう。

演習 

自分の好きな物語作品(マンガ,アニメ,小説,映画,ドラマ等)を一つ選び,クライマックスを書き出し,また中盤部の山場がある作品を選び,その山場を書き出してみましょう。


 参考:第4章「構成」を組み立てよう!

■vol.34 3幕構成(4区分)でプロットをつくろう!

■vol.35 物語は「エピソード」で出来ている!

■vol.36 キャラクターの「気持ち(内面)」を描かずして、何が物語か!

■vol.37 面白い物語は始まりから面白い! 「ファーストシーン」(ツカミのつくり方)

■vol.38 「ネタ振り」が物語の出だしを盛り上げ、作品の方向性を決定する!

■vol.39 状況設定は「エピソード」を使って行おう!

■vol.40 いちばん大切な事、「とにかくキャラクターを立てよう!」

■vol.41 「事件」が“物語の本当の始まり”になる!

■vol.42 物語の本問題の発生と解決の主要な流れ、「メインプロット」

■vol.43 中盤部の面白さは、「サブプロット」にあり!

■vol.44 「ミッドポイント」――物語の真ん中では何が起こっているか!

■vol.45 「3つの流れ」を描こう!

■vol.46 物語の「山場」を盛り上げよう!

■vol.47 12の要素を当てはめてラストをつくろう!

■特別付録「物語あらすじ制作シート」

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