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2011年7月 1日 (金)

■vol.49 『物語のもう一つの流れ、「謎の解明」』

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◇「謎」,「秘密」要素を作って,作中で少しずつ解明していってみよう!

   

「謎の解明」を描く

 物語は変化を描くものです。物語のはじめと終わりとで状況が変化します。変化とその過程を描いたものが物語です。

 しかし,物語には「もう一つの流れ」と呼べるような流れが存在します。それは「不明な要素(謎)が解明していく」という流れです。不明な要素,不可解な要素がまずあり,それが物語の進行とともにだんだん明らかになっていくというものです。推理ものや冒険ものの作品に多い要素です。日常ものにも,4コママンガにもあります。例えば「ある人物が,急いで走っている,何で走っているのか,実はトイレに行きたくて走ってトイレを探していた」という感じです。

 とくに推理ものは「謎の解明」が物語のメインプロットになります。冒頭で「不可能状況・不可能犯罪」が提示され,それがどのようにしてどうやって行われたか,誰が行ったか,なぜ行ったかなどの謎を解明していきます。

  

謎の解明を障害や問題の解決に絡めていこう

冒険ものなどの作品はこの「謎の解明」を物語中の障害や問題の解決に絡めていきましょう。謎が解明したおかげで問題が解決するとか,問題が解決して謎が解明するなどです。

映画『天空の城ラピュタ』でいえば「諜報員と一緒にいる謎の少女」「襲ってくる空中海賊」「宙に浮く少女」「飛行石と呼ばれる謎のペンダントとその力」などです。これは物語冒頭で出てきますが,説明らしい説明もされずに物語は進んでいき,物語が進むにつれてその「謎的な不明要素」が少しずつ明らかになっていきます。視聴者はその謎の解明にどんどん引き込まれていきます。

『エヴァンゲリオン』も「敵の正体」「味方のロボットの秘密」「敵と戦う組織とその目的」「人類補完計画」など「説明されない解明されない要素」がいくつも設定されています。「襲いくる敵とロボットで戦う」というメインのストーリーに加えて,放映話数が進むにつれてだんだんと不明だった謎の要素が解明され「意外な衝撃の真相」が発覚していくのです。

   

◇「謎」や「秘密」の要素を設定してみる 

  

「謎」や「秘密」をつくるには「不明な要素」を設定していこう

 「謎」や「秘密」をつくって作中で解明していくためには,まず謎となる「解明前の不明な要素」を設定していきます。

 まず「ある状況」を考えます。これはできれば「シーン」「キービジュアル」であることが望ましいです。例えば「ここ一ヶ月,早朝にメイド服を着た若い女性たちが大型バイク・ハーレーダビットソンに乗って爆走している」という状況があったとします。なぜなのか,常識で考えても分からない,おかしい。これが「謎」になります。

この「謎」が決まったら次はその「意外な,驚くべき真相(理由)」を考えていきます。真相には次のような要素が含まれます。

・ 理由(真相・問題解決上重要な手がかり)
・ 動機
・ 目的
・ 正体
・ 隠された過去        

……などです。

具体的には,

■ 何で(どうして)~なのか(理由)
■ その人物は「何者」なのか(人物の正体)
■ なぜ,なんのために~をしたのか(目的・動機)

前述の「ハーレーダビットソンで爆走するメイド服の女性たち」の場合は,何でそんな事をしているのか,なぜメイド服なのか,と言う理由,真相を考えていきます。例えば「近々メイド限定の大型バイクのレースが開催されるのでそのトレーニングをしている」といったような理由になります。さらに,なんでそのレースに出場しなければならないのかという謎があり,その真相は「傾きかけたメイド喫茶のお店を立て直すための資金をそのレースの賞金で補うため」とか「レースの賞金で難病にかかって膨大な治療費がかかる友人を救うため」とか,いろいろと考えられます。

ポイントは「驚くべき真相」「意外な理由」という点です。普通の常識的な理由や真相ではなく,予想もつかないような意外な理由が描けれていれば,その設定の面白さに繋がるでしょう。

 さて,ここで注意すべき点は,何度も繰り返しているように「設定」や「謎」が作品を面白くするのではないということです。この例でも「メイド姿の女の子たちがハーレーで爆走する理由」が作品を面白くするのではありません。作品の面白さは少女たちのキャラクターの面白さや,気持ちの描写,本番のレースの展開,クライマックスがストーリーを面白くしていくのです。ですから,設定はただの裏付けであるべきもので,やはりキャラやストーリーをしっかり作っていかなければ作品は面白くならないのです。

 それを踏まえた上で,続けていきましょう。

  

◇他人に知られてはいけない真相が「秘密」となる

 
「秘密」を作ってキャラを引き立てよう

驚くべき真相の中で,何らかの事情があって人からそれを隠さなければいけない場合があります。それが「秘密」の要素になります。秘密は隠さなければいけない要素であり,同時に,作中で必ず「暴露」されなければいけない要素でもあります。

物語の鉄則として,「秘密は必ずバレる」のです。

なぜなら,そうじゃないと面白くないからです。また,「秘密」がバレるか,バレないかといったやりとりがキャラクターやストーリーに面白さを加えていくこともあります。

  

「秘密」と「隠さなければいけない理由」を考えよう

「秘密」を描く場合は,「秘密」とそれを「隠さなければいけない理由」の2つを決めておきましょう。

 また秘密,隠さなければいけない事柄という面では人物の他にも対人関係,恋人関係,親子・家族関係でもあります。親しげに接しているが実は憎んでいるとか,不倫・二股,仇,本当の親じゃない・子じゃないなどの血のつながりなど,敵だと思っていたら実は兄弟だったとか親子だったとか(スターウォーズなど),特殊なものとしては親を殺した犯人にそれとは知らずに育てられたとか,いろいろ考えられます。実は男だったとか女だったとか,別人だったとか,地球人じゃなかったとか,人間じゃなかったとか,いろいろな秘密を設定してシーンやキャラクターやストーリーを引き立たせていきましょう。

 「実は~だった」という秘密を設定する際は,それを匂わせる証拠をさりげなく提示しておきましょう。例えば,乞食が実は王家の末裔だったとしたら,王家の人間しか持っていない指輪とか首飾りを持っているなど,さりげない伏線を張っておきましょう。

   

組織の秘密,「裏の目的」を考えよう

会社・国家・軍隊など,色々な組織の中では「隠されている事柄」というものがあります。会社の実情とか,資金の流れとか,過去に事故死した社員の事とか,社長の本当の目的とか,いろいろな真相があります。組織というものは「なにかの目的があって」作られているものです。しかも「隠さなければいけない要素」というのはたいてい「悪い事」です。悪いから,社会的に反することだから隠さなければいけないわけです。正義の,正しい,まっとうな組織だと思っていたら実は裏でとんでもない悪事をたくらんでいたという「真相」が明らかになるのです。ですから組織の「秘密」を設定していく際は「何をしようとしているのか「何のために行うのか」「それよってどんな利益があるのか」を考えていきましょう。それが「秘密」や「隠す理由」に繋がっていきます。

   

◇「個人的事情」を設定しよう

   

個人的な秘密・事情をキャラクターに与えよう

 キャラクターを面白くする要素として「個人的事情」があります。これは「個人的」な「何らかの事情のある事柄」です。何らかの事柄とは,人から隠さなくてはいけない秘密,人にいえない過去,バレると困る事柄,偽っている(ウソをついている)事,家庭の事情,人と違う点などがこれに当てはまります。これは外見と本当の人物像のギャップをつける事で設定することができます。

 たとえば,お金持ちのふりをしているけど本当は家が貧乏だとか,お嬢様の振りしているけど本当はまったくの庶民だとか,人には言えない意外な趣味を持っているとか,意外な秘密を持っているとか,意外なバイトをしているとか。

 「個人的な事情」は特殊であればあるほど,意外であればあるほど,外見とのギャップが大きければ大きいほど面白い物になります。

また「個人的事情」はあるキャラクターにばれる事になります。そのキャラクターとは「秘密を共有する仲」になります。この二人は特別な関係になります。また「個人の秘密」を知ってしまったキャラクターがどんな態度をとるのか,どんな対応をするのか,秘密をバラすのか,秘密をネタにゆするのか,それとも……。その秘密を知られたキャラクターがどんなことをするかで,そのキャラクターを描いていくことができます。また,秘密を共有するもの同士に発生するドラマというものも,描いていくことができます。

    

◇謎や秘密を描く場合は「説明しない,しすぎない」ようにしよう!

  

謎や秘密を描く場合は「全部説明」してはいけない

 謎や秘密を描く場合は,不用意に全部説明して真相が明らかにならないように注意しましょう。なぜなら,お客さんはその秘密・謎がどんなものなのか,どんな真相があるのかといったことを知りたくて作品を読んだり観たりするところがあるからです。

 第1幕のツカミのシーンのあとは人物や状況などの説明の場面です。ここで,謎や秘密として引っ張りたい要素は意図的に説明しない,しすぎないようにしましょう。謎や秘密は,ちょっとずつちょっとずつ明らかにしていきましょう。いきなり全部明らかにするのではなく,チラチラと真相を覗かせながら,でも肝心な真相は見えない,といった形で描いていきましょう。

説明は「多少説明不足かな」と思えるくらいでちょうどいいのです。『劇場版起動戦艦ナデシコ』では冒頭で,ほとんど説明のないまま怒濤のようにドラマが展開していきます。謎の黒いロボットのパイロットや不気味な暗殺部隊など,登場人物も説明のないままどんどんドラマに登場していきます。ここは謎をばら撒くシーンです。そして最後に正体不明のロボットが確認され,「あのロボットは一体? その目的は? 誰が乗っているのか?」という大きな謎が提示されて物語がはじまります。その後は真相を解明するために主人公たちの行動し,少しずつ謎が明らかになっていきながらストーリーが進みます。そしてロボットやパイロットの正体が分かったところで「更なるもう一つの衝撃の驚くべき真相」が明らかになります。衝撃の真相だと思ったらもっと大きな驚愕の真相が隠れていた,というわけです。最初から全部説明されてしまったり,逆にまったく説明しなかったりすると,お客さんの興味は失われていってしまうのです。ここでビックリできるのは,説明を最小限に押さえ,謎を残し,ちょっとずつ解明していき,それをストーリー(問題の解決)にうまく絡めていったからビックリできたのです。これが「うまい説明の仕方」なのです。

   

◇どこでバラすか? 謎を解明する「絶好のタイミング」と「方法」を考えよう

   

衝撃の真相は「一番びっくりするタイミング」で,「一番びっくりする方法」で明らかにしよう!

謎や秘密の衝撃の真相はその謎の真相の驚愕度の高さもさることながら,それを明らかにする(解明する)タイミングが重要となります。これらの謎要素はストーリー(問題解決の過程)に絡めて描いていき,ここぞというタイミングで真相を明らかにしましょう。それはどのタイミングかというと「お客さんが一番びっくりするタイミング」です。たとえば前述の『スターウォーズ』では師オビワンの仇であり宿敵ダース・ベイダーが,実は自分の父親だったという衝撃の事実,真相が明らかになります。それが明らかになるのが劇場二作目のラスト,主人公とダース・ベイダーが一騎打ちで戦い,手を切り落とされて絶体絶命の状況に主人公が陥ったときです。確かにこれはびっくりしますよね。お客さんも「まさか,えぇ~っ!?」という状況だったのではないでしょうか。

「一番びっくりするタイミング」で,「一番びっくりする方法」で真相を明らかにすることで,真相の持つインパクトが何倍にも強くなるのです。

   

バラさない謎や秘密は作っても意味がない

 前述しましたが,作中で語られる謎や秘密は作中で必ず白日の元にさらされることが前提になっています。明らかにならない謎ならば作らない方がいいのかもしれません。明らかにならない場合があるとすれば,それは続編などが作られる予定がある場合です。または,サブキャラクターなどの主要人物にかんする情報ならば,解明されない事もあるかと思います。

 しかし,通常は必ずバレます。なぜなら,バレることでキャラクターがより引き立ったり,広がったり,魅力が増したりするからです。

 すべてはシーンやキャラクターのためにあるのですね。

 ただ、制作者サイドでキャラクターに対する理解を深める目的で「裏設定」や「秘密」「意外な過去」を決めることはあります。しかし、それもメインではないサブキャラがおもで、メインキャラクターで、しかもウェイトの高い重要な「秘密」はバラした方がキャラクターが面白くなります。

参考:第5章 設定をつくろう!

■vol.48 「設定」は、「キャラが魅力的に見えるシーン」のためにある!

■vol.49 物語のもう一つの流れ、「謎の解明」

■vol.50 「同人誌」をつくろう!

■vol.51 主人公には「いちばんの才能」を持たせよう!

■vol.52 「特殊能力」の面白さは「制限要素の面白さ」である!

■vol.53 キャラクターの「目的」「目標」「動機」を設定しよう!

■vol.54 キャラクターが一番引き立つ「世界観」を設定しよう!

■vol.55 「組織」「職業」「部活」「家族」――人は何かに所属している

■vol.56 敵には敵の「都合」がある!

■vol.57 キャラクターや物語を引き立てる「道具・アイテム」をつくろう!

■vol.58 「制限」があったほうが物語を作りやすいって、ホント?

■vol.59 物語に「仕掛け」を施して、お客さんをアッといわせよう!

■vol.60 物語を盛り上げる方法と、キャラクターが勝手に動いてくれる設定

■vol.61 長編・短編のつくりかた どんな長さの作品でもお客さんを満足させる方法

    

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