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2011年8月13日 (土)

■vol.59 物語に「仕掛け」を施して、お客さんをアッといわせよう!

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◇物語の「仕掛け」のつくり方

   

「物語の仕掛け」とは?

 「物語の仕掛け」という言葉を耳にしたことはありませんか。物語では「お客さんに対して何かを仕掛ける」ことが往々にしてあります。では何を仕掛けるのでしょうか。「物語の仕掛け」一体とは何でしょうか。

   

物語の仕掛けとは「お客さんに対して伏せて(隠して)おいた情報を明らかにしてビックリさせること」である!

 「物語の仕掛け」とは何かを一言でいうならば「お客さんをビックリさせること」です。別な言葉でいうならば「大どんでん返し」です。どんでん返しとは「それまでの常識や価値観、流れ、方向性などが逆転してひっくり返ること」です。

 ではどうやってお客さんをビックリさせるかというと、「意外な事実」を描けばそれができます。ポイントは「○○だと思ったら、実は××だった!」とお客さんが思うように物語を進めるという点です。具体的な方法は次の通りです。

① 物語上の重要な項目をわざと伏せた(隠した)まま、物語を進めていく。

② お客さんを真相(隠していること)とは反対の方向に誘導し、しかるべきタイミングで真相を明らかにする。

 まず物語の「ポイントとなる重要な項目」を選び、それを隠します。お客さんはもちろん、場合によっては作中の人物たちからもそのことを隠すこともあります。そして、事の真相とは反対方向へお客さんを誘導します。そして、読者が「○○だと思った」ころを見計らって、「実は××だった」という真相を明らかにするのです。そうすると読者は自分が思っていたこと(そう思うように誘導されるのですが)と、真相がまったく「逆」だったことを知ってアッと驚くのです。これが物語の「仕掛け」です。

    

「実は~だった!」の具体例

 物語の仕掛けの作り方がわかったところで、具体的にどんな風に物語に仕掛けを施していけばいいかを、例を使って見ていきましょう。

 一番わかりやすいのがTVの2時間サスペンスドラマなどでおなじみの「意外な犯人」です。何か事件が起こって、容疑者が何人か浮かび上がります。で、その中でも一番怪しいやつが犯人じゃないかと視聴者が思うようにストーリーが進んでいき、あるタイミングで「実は一番怪しくない(無関係そうな)あの人物が犯人だった!」ということがわかります。そこで視聴者は「まさかあの人が犯人だったの!?」と驚くのです。そして、その犯人の「意外な動機」が語られるのです。

    

推理ものの注意点

ただ、ここで一つ注意点があります。ミステリやサスペンスなどの「推理もの」の作品を作る場合には、基本的に読者が犯人や真相を「推理しながら物語を楽しめるように作る」必要があります。つまり、推理ものでは、まったく何の手がかりもないまま重要項目だけ伏せておいて後で明らかにしてもダメだということです。お客さんを誤った方向にミスリードすることは大切ですが、真相にたどり着ける「最低限の手がかり」は物語のどこかで(こっそりと)提示しなければいけないということです。それが伏線となります。(伏線については後の課でじっくりと解説していきます)

推理ものは「作者とお客さんとの知恵比べの勝負」という側面があります。ですから、勝負の条件は「フェア」にということが求められるのです。

   

「叙述トリック」とは

 近年の本格推理小説では「叙述トリック」というトリックが多く使われています。通常、推理もののトリックといえば「物理トリック」です。色々な物理的手段を使って不可能状況・不可能犯罪をやってのける、それが物理トリックです。これは犯人が警察に向かって仕掛けるトリックです。読者は、その不可能犯罪や不可能状況ガがどんな手段で行われたかを推理しながら作品を楽しみます。そして、そのトリックの意外な方法が読者を驚かせます。

それに対し叙述トリックとは「作者が読者に対して仕掛けるトリック」で、まさに物語の仕掛けそのものなのです。事件の真相にたどり着くための重要な項目を(わざと)隠しておき、しかるべきタイミングで明かします。そうすると、それまでの物語の構造が完全に逆転するのです。

   

「意外な事実」を物語に取り入れてみよう!

推理ものでなくても「意外な事実」を描くことはできます。例えば「男だと思ったら女だった」「死んだと思っていたら生きていた」「別人かと思ったら同一人物だった」「息子だと思ったら父親だった」「赤の他人だと思っていたら、母親だった」「悪いヤツだと思ったらいいモンだった」「宿敵が実は父親だった」「一番の親友がいじめの張本人だった」「仲間の中に裏切り者がいる、で一番信頼の置けるヤツが実は裏切っていた」「乞食だと思っていたら王様だった」「さびた剣だと思っていたら伝説の剣だった」「実は最初から全部お見通しだった」「今までのことは全部、恋人の真意を知るために打った芝居だった」「自分は実はすでに死んでいた」などなど……、パターンはいろいろと考えられます。「ドッキリカメラ」など、まさにこの「物語の仕掛け」です。しかも、ドッキリを仕掛けていると思ったら逆に仕掛けられていたという「二重ドッキリ」なんてものもあります。最近ではちょっとのことではお客さんは驚かなくなってきていますので、いい意味でお客さんの裏をかく必要があります。また、お客さんを一回「どんでん返し」でひっくり返して、さらにもう一回ひっくり返す、なんてのも有効な手段なのではないかと思います。

   

「逆転」させよう!

 さて、物語の仕掛けを作る際のコツは「物事が逆転する」ということです。例えば「就職の面接に行く途中、駅で困っている人を助け、面接する会社に到着して面接室に入ったら今朝助けた人がその会社の社長だった」なんていうことです。設定や人間関係、身分や敵対関係、感情、意図、実力・能力などが180度逆転することがポイントです。どのような要素でも構いませんので、ある一つの要素を「逆転」させてみましょう。

 今まで学んできた「能あるタカは爪を隠す」のパターンも、この「物語の仕掛け」に入るかと思います。要はなんらかの要素が逆転して、結果お客さんが「ビックリする」ことができればいいのです。

参考:第5章 設定をつくろう!

■vol.48 「設定」は、「キャラが魅力的に見えるシーン」のためにある!

■vol.49 物語のもう一つの流れ、「謎の解明」

■vol.50 「同人誌」をつくろう!

■vol.51 主人公には「いちばんの才能」を持たせよう!

■vol.52 「特殊能力」の面白さは「制限要素の面白さ」である!

■vol.53 キャラクターの「目的」「目標」「動機」を設定しよう!

■vol.54 キャラクターが一番引き立つ「世界観」を設定しよう!

■vol.55 「組織」「職業」「部活」「家族」――人は何かに所属している

■vol.56 敵には敵の「都合」がある!

■vol.57 キャラクターや物語を引き立てる「道具・アイテム」をつくろう!

■vol.58 「制限」があったほうが物語を作りやすいって、ホント?

■vol.59 物語に「仕掛け」を施して、お客さんをアッといわせよう!

■vol.60 物語を盛り上げる方法と、キャラクターが勝手に動いてくれる設定

■vol.61 長編・短編のつくりかた どんな長さの作品でもお客さんを満足させる方法

     

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