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2012年5月 7日 (月)

■実践編vol.04 セリフでキャラクターを 立てよう!

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◇キャラクターを「立てる」セリフをつくろう!

セリフはキャラを立てる最大の武器!

エンタメ系の物語の本分は「キャラクターを魅力的に描く」ということに尽きます。ストーリーも設定も物語のすべての要素がキャラクターを魅力的にするためにあるのです。そしてセリフも同様です。キャラクターの人間性を描き出し、キャラクターを立てて存在感を出し、キャラクターを魅力的に感じさせ読者にキャラクターを好きになってもらう上で、セリフはとても強力な武器となります。
 ここではセリフを通してキャラクターを立てて魅力的に描いていく方法を見ていきましょう。

   

◇まず「そのシーンで言わなきゃいけないこと、描かなければいけないこと、お客さんに伝えなければいけないこと」を設定してからセリフを書こう!

      

「そのシーンで描くべき内容」が決まっていれば、キャラを立てることに専念できる!

 セリフを書くには、まず前準備が必要です。これは当たり前すぎて見過ごしにされがちですが、非常に重要なことです。その準備とは「そのシーン、場面において描かなければならない内容、キャラクターに言わせなければならない内容をしっかりと決めて把握しておく」ということです。これはイコール「お客さんに必ず伝えなければいけない情報・内容」です。たとえば「キャラクターは今、一銭もお金を持っていない」とか「具合が具合が悪い」などといった「このシーンでお客さんに対して伝えなければいけない情報や描くべき展開」です。まずはこれらをしっかりと設定します。
 その後で、その目的・内容伝える機能を保ったまま、セリフを自由にアレンジしていくのです。こうすれば無意味なやりとり、無駄なセリフ、内容のない会話などを書いてしまうことがなくなり、なおかつ豊かで個性的なキャラクターを立てるやり取りに専念することができます。
 物語のセリフには必ず意味・意図があります。物語上で意味・目的を持ったセリフを「キャラを立てるような豊かなセリフ」で言わせていくのです。 

     

◇セリフで「キャラを描き分け」よう!

    

セリフを読んだだけで「誰がしゃべっているかわかる」ようにしよう! 

 セリフで大事なことは、セリフを読んだだけで誰がしゃべっているのか判別できるように書くことです。
 ある脚本家は駆け出しの頃、シナリオの人物名を隠してセリフの部分だけを読んでみたとき、みんな同じようなセリフで誰がしゃべっているのかわからなくてあせったそうです。
 キャラクター同士の差異を利用してキャラを立てていくには、セリフもキャラによって違いや特徴をつけていくことが大切です。どのキャラクターも同じような話し方ではキャラクターは立ちませんし、物語の魅力も半減してしまいます。必ずセリフに差異・特徴を付けて、キャラクターごとに書き分けていくようにしましょう。
 さて、ここではセリフでキャラクターを描き分ける上での、基本的ですが重要な幾つかの方法を紹介していきます。

①キャラクターの「一人称」、「二人称」を書き分けよう。 

 まずは基本です。キャラクターの一人称(ぼく、私、俺などの自分を指す呼び方)を出来ればキャラごとに変えていきましょう。
 また、二人称(あなた、おまえ、キミなどの相手を指す呼び方)も各キャラで変えていきましょう。その際は以下のことを決めていきましょう。

 

・主人公が「各キャラ」をなんと呼ぶか。
 ・各キャラが「主人公」のことをなんと呼ぶか。
(キャラごとに主人公の呼び方を変える)

 こうすることで、誰がしゃべっているのか判別しやすくなります。また、互いをどう呼ぶかでその人物同士の距離感・親和度(親しさ)・立場関係を表すことができます。
 これらは初歩的なことですが、重要なことです。おろそかにしないようにしましょう。

②年齢・性別・職業(地位・社会的立場・身分)がセリフに影響を与える。

 キャラクターのセリフに影響を与えるものは、まず「年齢」と「性別」です。若い人と老人とでは同じ内容を言っても「言い方」が変わります。同様に男女でも当然言葉に違いが生じます。
 さらに「職業や立場、身分」などでも口調などが影響を受けていきます。王様は王様らしくしゃべり、乞食は乞食らしく(?)しゃべります。また、うまく身分を隠してもしゃべり方でバレてしまう、なんて展開のストーリーもあります。それだけセリフに影響があるのです。
 また、わざと人物像とかけ離れたセリフ回しをさせると、ギャップでキャラが立ちます。

③性格・考え方・価値観によってセリフの口調や内容が変わる。

 キャラクターの性格、キャラクターが持っている考え方や価値観によってもセリフの口調のみならず、セリフの内容も変わっていきます。せっかちな人とのんびり屋では時間や物事の予定に対して捉え方が違ってきます。その違いをセリフに込めていきます。
 とくに「何かを言われた時にその反応として出るセリフ」「何らかの出来事・事象に遭遇してその反応として出るセリフ」という何らかのリアクションのセリフにキャラごとの差異や特徴をつけることによって個々のキャラクターがどんな性格で、どんな考え方・価値観を持っているかを表現していくことができます。

④方言や地域独自の言い回しを使ってみる。語尾などに特徴を付けてみる。

 キャラのセリフを書き分ける上で「方言」を使うのは非常に有効です。住んでいる場所、育ってきた環境によってセリフは影響を受けます。土地土地で方言があり、それがキャラクターに特徴をつけてキャラを立てる上でとても役に立ちます。
 方言を使うときは、キャラクターのイメージとのギャップのある方言を設定してやるとキャラクターがより立ちます。
 また、方言ではないのですがセリフの語尾などに変なもの「~ざます」「~でごわす」「~にょろよ」「~にょ」「にゃん」などを付けると、キャラに特徴を与えることができます。

⑤口ぐせ、決めゼリフをつくってみる。

 そのキャラを特徴付けるような、またはそのキャラを象徴するような口ぐせ、決めゼリフを設定しておくとキャラを立てることができます。京極夏彦氏の小説「妖怪シリーズ」に登場する憑き物落としの陰陽師「京極堂(中善寺秋彦)」の口ぐせは「この世には不思議なことなど何もないのだよ」です。この一言で京極堂のキャラクターがグンと引き立ちます。

⑥言葉数(セリフの量)に差をつけよう。

 

言葉数(口数・しゃべるセリフの量)に差をつけてもキャラを描き分けられます。よくしゃべるキャラ、そんなにしゃべらないキャラ、ほとんど無口なキャラなど、言葉数をキャラごとに変えてみましょう。

⑦「突っ込むキャラ」か、「突っ込まれるキャラ」かを決めて書こう。

 人間には2種類の人がいます。「突っ込む人」か「突っ込まれる人」です。俗な表現をすれば「S」と「M」です。セリフは、この2つのどちらの内容に属するのかを考えて書くとキャラの描き分けがしやすいです。
 また、立場の違いによってもこの「突っ込む」「突っ込まれる」セリフが生じます。

     

◇セリフは「やりとり」が鍵

    

会話は何らかの意図のある「働きかけ・問いかけ」と、「反応・返答」の意思表示である

 二人のやりとりである会話、対話は2つの内容から成り立っています。それは一方の人物からの「働きかけ・問いかけ」と、それに対するもう一方の人物の「反応・返答」です。
 ポイントは相手から言われるセリフと、言われたことに対するセリフには「目的」があるという点です。すなわちセリフは「意味・意図」のある言葉の投げかけとなります。ですから「どういう意図で発せられたものなのか」をしっかりと把握して書くことが大切です。そのセリフは相手に対して「どういう影響を与えようと、及ぼそうと思って発せられたセリフなのか」を考えて、セリフを発した人物の意図や希望を常にとらえて書くようにしましょう。
 またセリフは「意思表示」です。意思を表す場合は相手からの発言に対してその返答・反応として何らかの意思表示をすることが多いです。また、意思表示の方法にもいろいろあります。なんでもズバズバ断る人もいれば、なかなか断れない人もいます。どう意思表示するのかという点でもキャラクターごとの個性を表現できます。
 相手への働きかけの意味を持つセリフには以下のようなものがあります。

質問、情報の伝達・説明、説得、確認、告白、挨拶、指示、叱責、威圧・威嚇、慰め、励まし、依頼、要求、褒める、などなど……。

 それに対して、返答・反応の意味を持つセリフには以下のようなものがあります。

返答、了解、了承、同意、説明、拒否・拒絶、抗議、反論、反抗、感想、感謝、弁解、謝罪、嘲笑、慰め、励まし、元気付ける、いいわけ、などなど……。

 で、さらにその返答が相手に影響を与えて、それに対して相手が反応が変わって……と、どんどんどんどん会話が続いていきます。
 会話でのポイントはセリフには相手に対する「目的」「意図がある」ということと、セリフを聞くことによって聞いたキャラクターが影響を受けるということです。何らかの変化がセリフで会話することによって生じるということです。
 意図を持たせる中で、キャラクターの独自性・意外性のあるセリフを書いていきましょう。

   

「対人感情」と「距離感」がセリフのやりとりを決める!

 セリフのやりとりの場合、話している相手に対して持っている「対人感情」がセリフに影響を与えます。対人感情とは、「相手をどう思っているか」ということです。恋人に話す時と会社の上司に話す時とでは、口調も内容も変わってきます。恋人に対しては好感情、恋愛感情、愛してるという気持ちで接していますが、上司には「気に食わない」とか「ムカつく」あるいは「恐怖」という気持ちがあるかもしれません。そういった「対人感情」が会話に影響を与えます。
 会話を書く際は、相手のことをどう思っているかということをセリフに込めながら、反映させながら書いていくと、いいやりとりが書けるかと思います。
 また、対人感情を表現するには人物同士の「距離感」も重要です。距離感とは相手との親和度、つまり「どれだけ親しいか」です。親しい者同士では気兼ねなく、なれなれしい言葉・気遣いの少ない話し方になりますし、初対面や年齢差がある、立場や地位に差がある(自分よりも偉い)場合、距離感のあるセリフ(敬語や礼儀正しい、あるいは事務的なやりとり、隙のない話し方)になります。
 友達同士でも敬語でしゃべり合っていてはなかなか親しくなるのが難しいですが、たとえ身分に差があっても礼儀を保ちながら親しみを込めて距離感を縮めた話し方をすると、会話につられて二人の関係も縮まり、親しくなっていくから不思議です。これもすべて人物同士の距離感がセリフに影響するということの表れなのです。

    

◇セリフのやりとりを豊かにするもの

     

ストレートに言わせない、返答させない

 

決まりきったやりとりではセリフは面白くなりません。役割のみを果たすような予定調和的な会話では、説明臭くなり、キャラクターの面白さもなかなか出ません。
 そこで、以下のような要素を会話にうまく絡めると、やりとりを豊かにしていくことができます。

 ・何かにたとえる
 ・皮肉を言う、いやみを言う
 ・言いづらいことを言わなければいけない(相手を怒らせないように、あるいは傷つけないように言おうとするときにおかしさが生まれる)
 ・言い換えて言う
 ・悪意のない悪意(天然、または子供が相手の一番触れられたくないことを言う、それに対してのアイテの反応のおかしさ、悪意がないので怒れないみたいな)
 ・都合が悪くなる、話をそらす
 ・場に合ってないセリフ、場違いなセリフ
 ・おちゃめなリアクション
 ・言い間違い
 ・聞き違い
 ・話をはぐらかす
 ・勘違い、思い違い
 ・裏目に出る
 ・言葉に詰まる
 ・慣用句を間違える
 ・名前を間違える
 ・ごまかす

     

本題とは関係ない話題でキャラを立てる

 三谷幸喜氏の傑作舞台「笑の大学」では、メインのセリフの流れである「劇の脚本の検閲でなんとかパスしようとする座付き作家となんとか阻止しようとする検閲官の攻防」というものの他にもう一つメインの本題とは関係ない「検閲官が飼っているカラスの話」というセリフのやりとりがあります。このカラスの話題は一見メインのストーリーとは関係無いように見えますが、検閲官の以外な一面が見えたり、二人の性格や考え方が表れたりと、二人のキャラクターを広げ、本編の丁々発止のやりとりだけでは描けない部分を描いて、キャラクターを立てていくのに役だっています。また、緊迫した状況の続く舞台のちょっとした息抜きにもなり、物語をより豊かなものにしてくれます。
 このように、本題とは関係無いようなもう一つの話題をつくると、さらに複雑で豊かなセリフを書いていくことができます。

     

シチュエーション、状況がいいセリフを生む

 セリフは言う内容も大事ですが、それ以上に大事なのがキャラクターの置かれている状況です。
キャラが困れば困るほど、気まずければ気まずいほど、ヤバければヤバイほどセリフは面白くなります。
良い会話が書けないと思ったらぜひ、状況、シチュエーションを気まずくしてみてください。

参考:第6章 セリフをつくろう!

■実践編vol.01 いいセリフとは、「短い」「話し言葉」である!

■実践編vol.02 「説明セリフ」を使わないで、お客さんに「説明」しよう!

■実践編vol.03 意外なこと、意外な言い方、「意外性」がセリフを面白くする!

■実践編vol.04 セリフでキャラクターを立てよう!

■実践編vol.05たったひとつでいい、「心に残るセリフ」をつくろう!

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