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2014年1月30日 (木)

■恋愛編vol.01 作品を面白くするには、「恋愛要素」を加えよう!

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すべての物語は、「ラブストーリー」である!

 ライトノベルやマンガ、映画などの「エンタメ系作品」を書く上で、欠かすことのできない非常に重要な要素があります。
 それは「恋愛」です。
 アクション、ファンタジー、推理もの、SF、スポーツもの、日常ものなど、あらゆるジャンルのストーリー作品を面白く魅力的にしていく方法、それは「作品に恋愛要素を加えていく」というものです。
 ストーリーに男女の恋愛の要素が加わるだけで、読者は「この二人の関係は最後どうなるのか」という興味を持ち、それが知りたくて物語の最後まで読んでくれるようになります。
 映画などでサブストーリーとして、作品に恋愛要素が盛り込まれているのはそのためです。
 とくに若い読者層を想定した作品では、ほぼすべての作品に「恋愛の要素」が含まれています。たとえば映画『スターウォーズ』、アニメ映画『もののけ姫』、ライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』、アニメーション『ほしのこえ』など、多くの作品で恋愛要素がストーリーを支える中心の柱として描かれています。他にも、様々な作品を「恋愛もの」という観点で見ていくと、色々なことが見えてきます。
 また、読者は物語の中で年頃の男女が登場すると、「もしかしたら、この二人には恋が芽生えるかも」という期待を持ちながら作品を読んでいきます。だから、物語において恋愛要素は、ストーリーを彩る非常に重要な要素であり、読者の「物語における最大の関心事の一つ」となる不可欠な要素なのです。
 その意味では、「すべての物語は、ラブストーリーである」と言えるのです。

 

 

恋愛は、どんな国の人でも、どんな年代でも理解できる万国共通の要素である

 恋愛は、万人が理解できるものです。
 男女が互いに惹かれ合い、愛し合う過程で感じる異性を想う気持ち、片想いの苦しさ、恋のドキドキ、不安、時には嫉妬、そして「この大切な人とずっと一緒にいたい」という想いは、国や文化、年齢、教養のレベルに関係なく、誰でも共感することのできるものです。
 エンタメ系作品の多くの読者は、物語に「恋愛要素」を求めており、登場人物の恋の行方を、ストーリーとともに楽しんでいきます。

「恋愛要素」は、魅力的で面白い物語を作る上で、大きな武器になってくれる要素なのです。
 まさに、「恋愛を制する者は、エンタメを制す」ことができるのです。
 ということで、面白いエンタメ系作品を作るために、まずはラブストーリー、恋愛要素の仕組みと特徴を学んでいきたいと思います。


ラブストーリーの「魅力」

 昔から現代に至るまで、世の多くの人は、ラブストーリー、恋物語に惹きつけられてきました。
 今もラブストーリーは、たくさんの読者の心を動かし、魅了し続けています。
 さて、では、そんなラブストーリーの魅力とは、一体何なのでしょうか。
 なぜ、人はこんなにもラブストーリーに魅力を感じるのでしょうか。
 どんな人が、ラブストーリーをどう楽しみ、読むことでどんなことが読者にもたらされるのでしょうか。
 何がラブストーリーの面白さ、魅力を生み出しているのでしょうか。

 

ラブストーリーの持つ「5つの魅力」

 小説でもマンガでも、映画でも、人は物語を読み、観るとき、その物語から《楽しみ》を得たくて読んでいきます。
 読者は、《楽しみ》を得るために物語を読み、またその《楽しみ》にお金を払ってくれるのです。
 これは、ラブストーリーも同じです。読者はラブストーリーが与えてくれる《楽しみ》を得たくて、ラブストーリーを読んでいくのです。
 つまり、読者にその《ラブストーリーの楽しみ》を感じさせることができれば、面白いラブストーリーを作ることができるのです。
 では、《ラブストーリーの楽しみ》とは、一体何でしょうか。
 ラブストーリーには、次の大きく「5つの楽しみ」があります。

 ①読者はラブストーリーで「恋のドキドキ」を楽しむ。
 ②読者は主人公やヒロインに感情移入して、「恋愛体験」を味わう。
 ③物語の中なら、どんな相手とでも、どんな場所の、どんなシチュエーションの恋愛でも体験することができる。
 ④読者は登場人物の恋愛の過程、結末を楽しむ。
 ⑤読者は「失恋の切なさ」を味わう。

 一つひとつ、見ていきたいと思います。

 

①読者はラブストーリーで「恋のドキドキ」を楽しむ
 ラブストーリーのいちばんの楽しみは、読者が「恋のドキドキを感じられる」というものです。
 「恋のドキドキ」とは、人が恋をするときに感じる、あの特有のドキドキ感、のぼせるような高揚感、期待感、幸福感、強い興味、うれしさのことです。この感覚は、体内で分泌されるホルモンの働きによるものだと言われており、人間には異性と愛を育み、家庭を築いて子孫が繁栄していくのを助けてくれるこのような特有の身体機能が備わっています。
 この「恋のドキドキ」は、ラブストーリーを読んでいるときにも感じているのです。
 ラブストーリーを通して脳内で「擬似的な恋愛状態」を体験することにより、ドキドキを生み出すホルモンが分泌され、読者は「恋する感覚」を味わっていきます。その感覚は、あたかも恋の最中にあるようなものです。読者はこの感覚を味わうために、ラブストーリーを読むのです。この感覚が、ラブストーリーを読む醍醐味なのです。

 ラブストーリーを作るには、この「恋のドキドキ」を読者がより多く感じられるようなセリフ、シチュエーション、ストーリーなどを工夫していくことがポイントとなっていきます。また、しっかりと「ドキドキを感じられるシーン」を作品の中で描いていくことが大事になってきます。
 ラブストーリーとは、「恋のドキドキ」を読者に味あわせてくれる物語なのです。


②読者は主人公やヒロインに感情移入して、「恋愛体験」を味わう

 読者は、主人公やヒロインに感情移入してそのキャラクターになりきることによって、あたかも「自分がその相手と恋愛をしている」かのような感覚で物語を楽しんでいくことができます。
 かっこいい男子や、魅力的な美女が愛をささやくとき、読者はまるで自分がその言葉を言われたような錯覚を受け、ドキドキし、顔を赤くしたり、舞い上がってしまうのです。
 ラブストーリーは、素敵な恋愛に憧れる若い読者たちにとって、その「憧れを満たしてくれる物語」となり、恋の最中にある読者にとっては「多くの共感を与え、恋することの素晴らしさを再認識させてくれる物語」となります。

 ラブストーリーを作る上では、読者が「恋愛を体験」できるように、ストーリーや構成、見せ方を考え、また主観カット(主人公の見た目がそのまま画面になっているもの)などをうまく使いながらを描いていくことが大切になってきます。

 ラブストーリーとは、読者に「恋愛を体験をさせてくれる物語」なのです。

 

③物語の中なら、どんな相手とでも、どんな場所のどんなシチュエーションの恋愛でも体験することができる
 ②と関係があるのですが、読者はキャラクターの体を借りれば、どんな相手とでも、どんな場所で、どんなシチュエーションの恋愛でも体験することができます。
 たとえば、「超イケメンの大人気トップアイドルと恋人」になったり、どこかの「大国の美しいお姫様と恋愛をする」ことだってできます。ふつうではありえないような相手と、ありえないような状況での恋愛も自由に体験することができるのです。シチュエーションもさまざま、国内外、どんな時代のどんな場所、どんな状況の恋愛でも、読者は体験し、楽しむことができます。

ラブストーリーを作る上で最も大事なことの一つは、「読者の願望を叶える」ということです。読者の「こんな恋愛してみたい」「あんな恋愛してみたい」という、理想の相手との、理想のシチュエーションでの、理想の恋愛をしてみたい! という願望を、作品を通して叶えていくのです。

「理想の恋愛」は、読者の数だけあります。読者の年齢、好みなどをよく分析して、読者の望むような恋愛を体験できる物語を描いていきましょう。

 ラブストーリーとは、「さまざまな恋愛、理想の恋愛」を体験させてくれる物語なのです。

 

④読者は登場人物の恋愛の過程、結末を楽しむ
 人間は「惚れた腫れたの色恋沙汰」に非常に大きな興味を示します。なぜなら、それは「恋愛」という人間の持つ原初的、根源的な欲求、願望に訴えかけるものだからです。
 前述の通り、読者は「男性キャラと女性キャラ」が登場すれば、二人の恋愛を期待するものなのです。そして、恋愛の過程で二人がどうなるのかに一喜一憂し、二人の気持ちに共感し、最後には二人がどうなるのかという恋の行方に強い興味を抱いて、読者は物語を最後まで楽しんでくれるのです。つまり、「二人の恋の結末」を物語の最後に持ってくるようにすれば、短編はもちろん、長編でも、連載、複数巻に渡る長い物語でも、読者の興味をその最後まで惹きつけることができるのです。

また、ラブストーリーは結末が決まっている物語です。「恋の成就」か「失恋」の二つです。(詳しくはもっとあります。これについては、後の課で解説したいと思います)。

 ですから、ラブストーリーの面白さの大部分は「結末」ではなく、「途中経過」の部分にあります。

 二人がどう出会い、どう親しくなり、愛し合うのか、その二人の恋愛を妨げる要素が二人を襲うとき、二人はどうなるのか。そんな、「途中過程」をいかに面白くしていくか、読者の興味を引くどのような要素をどのように配置し、構成していくか、それが面白いラブストーリーをつくるためのポイントとなってくるのです。
 ラブストーリーは、「他者の恋の行方がどうなるのか、その結末と過程の両方を楽しむ物語」なのです。


⑤読者は「失恋の切なさ」を味わう

 驚くことに、ラブストーリーには「失恋のラブストーリー」というものがあります。そして、これが結構人気があるのです。どうして、恋が叶わない、ハッピーエンドじゃない「失恋」が読者を惹きつけるのでしょうか。
 ラブストーリーは、共感の物語です。そして、現実の恋はうまくいくことばかりとは限らず、恋に敗れ失恋してしまうことも多くあります。そんな読者が、自分と同じ失恋した主人公を見て、慰めや励ましを感じ、自分と同じ辛さを感じながらも懸命に前へ進もうとする主人公に強く共感していくのです。
 また、今失恋していなくても、過去に失恋の経験がある読者は、失恋のラブストーリーの持つ独特の「切なさ」を味わっていくのです。
 失恋の状況でしか描けないキャラクターの一面、出せない雰囲気というものがあります。じつは、これが失恋のラブストーリーを描くことの一番の理由です。

 つまり、失恋のラブストーリーを描く上で最も重要なことは、「失恋という状況を使ってキャラクターを立てていく」ことなのです。
 失恋のラブストーリーは、「失恋した読者が共感し、切なさを味わい、失恋によって新たな魅力を描き出されるキャラクターを楽しんでいく物語」なのです。

 魅力的な恋愛ものを描くには、これら5つの楽しみを読者に与えるような、それをよりいっそう感じさせるような作品を作っていくようにしましょう。

 

恋愛ものでも「シーン」と「セントラルクエスチョン」が大事!

 著者は、物語を作る方法として「シーンから作る」ということをおすすめしています。
 また著者は、ストーリーを作る方法として、「セントラルクエスチョンから作る」ということをおすすめしています。本講座の創作法を一言でいえば、「シーンから作る」「セントラルクエスチョンから作る」というこれら二つに集約していきます。
 恋愛もの、ラブストーリーを作る上でも、この原則は変わりません。

 

キャラから作ると難しい、だから「シーン」から発想してみよう

 創作講座基礎編や拙著にも詳しく書きましたが、物語を構成する「ストーリー」「キャラクター」「設定」の三つの要素のうち最も重要なものが「キャラクター」であり、すべての物語は「キャラクターを魅力的に描いていく」という目的のためにあります。物語は、キャラクターを魅力的に描くための「器」なのです。ストーリーや設定は、キャラクターを魅力的に見せるための道具であり、キャラクターが魅力的に見えるようなストーリー、設定を作っていかなければいけません。
 なぜなら、読者は「大好きなキャラクターに会う」という、ただ一つの目的のために物語を読むからです。
 だから、まずはキャラクターを作ることから物語作りは、はじまるべきです。
 しかし、キャラクター作りは、物語作りの工程の中で最も難しい作業です。そこから作りはじめると、多くの人が行き詰まってしまいます。そこで、まずシーンを思い浮かべることからはじめ、「読者が主人公を好きになるシーン」を作って、そのシーンからキャラクターの人物像を作るようにすると、キャラクターを比較的簡単に発想していくことができます。
 恋愛ものの場合は、以下のようなシーンをまず思い浮かべていくようにします。

 ①「出会いのシーン」……二人の出会いのきっかけ。
 ②「相手を好きになる瞬間」……相手の何らかのセリフや行動を見て相手を好きになるシーン。相手のどんな行動、言動によって好きになるのかをイメージしてみる。(このシーンは、ストーリー作品を作る場合の「読者が主人公を好きになるシーン」と同じものであると考えても良い。事実、同一である場合も多い。)
 ③「告白、想いを伝える(伝わる)シーン」……ラブストーリーのクライマックスで、想いを伝えるシーン。どのように伝えるか、伝える方法、伝わる状況などをイメージしてみる。

 ラブストーリーは、これらの三つのシーンをはじめに考え、そのシーンを考えながら、そこからキャラクター、ストーリー、設定を作っていくようにしましょう。
 これらのシーンについて、詳しくは後の課で解説していきたいと思います。


「謎」がストーリーを作る!

 読者がストーリーを読み進めていく一番の動機は「謎の答えを知りたいから」です。
 読者は、物語の中に登場する「謎」「疑問」の答えを知りたくて、ページをめくっていきます。物語を読むということは、「謎の答えを探していく」ということなのです。
 謎とは、「まだ明らかにされていない不明なこと」です。
 たとえば、「なぜ、こんなことをしたのか?」「だれが、やったのか?」「あの人物の正体は誰なのか?」「どうすれば、その問題を解決できるのか?」「主人公は勇気を出して行動するのか、傷つくことを恐れて行動しないのか?」「どうなるのか?」……などなど、こういった疑問、読者に対する問いかけが「謎」になります。通常その謎の答え、真相は、物語の最後で明らかにされます。こうすることで、謎の答えを知りたい読者は、最後まで物語を読んでいくのです。
 これらの作品全体を貫いて存在する謎を「セントラルクエスチョン」と呼びます。
 ストーリーを作るには、このセントラルクエスチョンを作っていくということが鍵となります。セントラルクエスチョンをまず決め、それをもとにしてストーリーを考えていきます。セントラルクエスチョンが、ストーリーの形を決めていきます。
 ストーリーの基本構造は、「問題の発生→解決」です。

謎、セントラルクエスチョンは、その問題の解決という物語をどのように読者に見せていくか、どのように読者の興味を引っぱっていくか、その「見せ方」を決めてくれます。言い方を変えれば、「もったいのつけ方、もったいぶり方」を決めていく要素がセントラルクエスチョンなのです。それによって「なんで?」「どうして?」「どうなっちゃうの?」という読者の興味をワシ摑みにしていくのです。
 ラブストーリーでは、セントラルクエスチョンから派生した代表的な15のストーリーのパターンが存在します。それは以下のとおりです。

 

 パターン①「かわいそうなあの娘は、幸せになれるのか」
 パターン②「大嫌いなあいつと協力して問題を解決する」
 パターン③「モテない男が美女と恋仲になる」
 パターン④「恋人の命と世界の平和、どっちか選べ」
 パターン⑤「恋人は不治の病」
 パターン⑥「どっちの相手とくっつくのか? 誰を選ぶのか?」
 パターン⑦「偽物の恋が、本物の恋になっていく」
 パターン⑧「身分違いの恋、許されない恋、愛し合ってはいけない二人」
 パターン⑨「《三角関係》 友人をとるか、恋人をとるか」
 パターン⑩「恋人の《秘密》 実は相手のためだった」
 パターン⑪「雨降って地固まる、ケンカして仲直り」
 パターン⑫「離れ離れになった二人は再会できるのか?」
 パターン⑬「あの人のことが忘れられない……」
 パターン⑭「一番大切な人は、一番近くにいた」
 パターン⑮「失恋、破局、運命のいたずら、全てを失って……」
 パターン⑯「夫婦、恋人が互いの愛を確認する」

 ラブストーリーは、これらのパターンをひな形、たたき台にして考えていけば、ストーリーを作っていくことができます。
 これらのパターンは、後の課でしっかりと詳しく解説していきます。

 ということで、これ以降の課では、

 (1)「5つのラブストーリーの楽しみをどう充実させていくか」
 (2)「三つのシーンからいかに物語を構想していくか」
 (3)15のストーリーのパターンの詳細と応用法

 これらのことについて、詳しくその具体的な方法を、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。

 

 では、最後に演習です。

【演習】 

 自分の好きなラブストーリーを選び、その作品の「ラブストーリーの五つの楽しみ」、「三つのシーン」が、それぞれどのように描かれているかを確認してみましょう。
 また、その作品を読んでいるときに、続きが読みたい、先はどうなるんだろうと思わせる要素が何なのかを分析してみましょう。

参考:第7章 ラブストーリーをつくろう!

恋愛編■vol.01 作品を面白くするには、「恋愛要素」を加えよう!

恋愛編■vol.02 ラブストーリーを生み出す「三つのシーン」を作ろう!

恋愛編■vol.03 「出会いのシーン」から、すべてがはじまる!

恋愛編■vol.04 「秘密」を使って、「好きになる瞬間」を作ろう!

恋愛編■vol.05 「告白シーン」では、「好き」と言ってはいけない!?

恋愛編■vol.06 第四のシーン「ドキドキを感じるシーン」を思い浮かべていこう!

恋愛編■vol.07 物語の面白さの正体「セントラルクエスチョン」

恋愛編■vol.08 「恋の障害」を作ろう!

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