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2014年2月15日 (土)

■恋愛編vol.04 「秘密」を使って、「好きになる瞬間」を作ろう!

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「好きになる瞬間」のシーンを作ろう!

 物語で恋愛を描く際に、その発想の素となる二つ目のシーンは「好きになる瞬間」のシーンです。

 人が異性に恋愛感情を抱く場合、必ず何らかの「理由」があります。例えば、優しい、容姿が美しい、性格が合う、一緒にいるとホッとするなど、そんな「人を好きになる理由」が、ラブストーリーを構想していく上では大きなポイントになっていきます。結ばれる二人が、どうのようなときに、何がきっかけで、どのように恋に落ちていくか、相手のどんなところを好きになるのかといった「相手を好きになる理由、その瞬間」が、ラブストーリーを生み出してくれるのです。
 恋愛もののストーリー展開は、この「どのようなことがあって相手を好きになるか」を描いていったものに他ならないのです。
 ラブストーリーを作る場合は、この「好きになる瞬間」のシーンをまず発想し、そこからストーリーを思い浮かべていくようにしましょう。
 この課では、そんな「好きになる瞬間」のシーンの作り方を学んでいきたいと思います。

 
 

恋愛感情に発展するための「三つのプロセス」

 さて、この「好きになる瞬間」を発想していく上で、知っておきたい重要なポイントがあります。それは「二人のキャラクターが恋に落ちる場合、大きく三つのプロセスを経ていく」というものです。

 「好きになる瞬間」のシーンを作るには、この三つのプロセス(段階)を描いていくようにします。
 その三つのプロセスとは、以下の通りです。

 ①二人が知り合う(表面的に相手を知る)。
 ②相手の「内面の深い部分」を知る。
 ③相手の力になる(助ける)。

  では、この三つのプロセスについて、一つひとつ見ていきたいと思います。

 

プロセス①知り合う(表面的に相手を知る)

 まず、出会った二人は、ストーリーの中で様々な機会を通して接していくことで「お互いのことを知って」いきます。物語では、できるだけ二人の接点が生まれるような出来事を作っていくようにします。

 しかし、この段階ではまだ二人は恋に落ちることはありません。「好意や憧れ、片想い」などの感情は芽生えるかもしれませんが、本当の「恋愛」には至りません。
 ここでは相手の「表面的な部分」、見た目や普段の相手、他者からの評判などのレベルで相手を知ることにとどまります。(相手の深い部分は、ちょっと匂わせる程度に描写していきます)
 また、ほとんどのラブストーリーでは、この段階では、互いに何らかの悪感情や嫌悪感を抱いていて、いわゆる「ケンカ状態」であることが多くなっています。
 現実でも物語の中でも、表面的に知り合うだけでは恋愛が生まれることはないのです。

 

プロセス②相手の「内面の深い部分」を知る

 物語において、二人の間に恋愛が生まれるには、一つの「通過儀礼」とも言える過程が必要です。

 それが「相手の内面の深い部分を知る」という過程です。
 この「相手の内面の深い部分」とは、具体的に言うと「相手の秘密」のことです。
 登場人物が相手を好きになるには、相手の「秘密」を知る(知ってしまう)という過程を経ていく必要があります。
 じつは、これが恋物語を作る上での最大のポイントになります。
 恋の相手となるキャラクターは、心の中の深い部分で「誰にも言えない秘密」を抱えています。
 例えば、映画『ローマの休日』のヒロイン・アンは、「じつは某国の王女だった」という秘密を持っています。小説『レインツリーの国』のヒロイン・人見利香は、「難聴であることを隠している」という秘密が設定されています。少女マンガ『こどものおもちゃ』の羽山秋人は、「母親の死が原因で生じている家族の崩壊、虐待」という秘密を抱えており、小説『とらドラ!』の逢坂大河と高須竜児は、互いが互いの「片想いの相手」という秘密を知られてしまいます。
 このように、まず二人が恋に落ちるには、どちらか、または両方の「秘密」を設定していくようにしましょう。
 そして、その秘密を、恋の相手となるキャラクターが知ってしまうようにストーリーを展開させていきましょう。
 そう、恋の相手は、秘密を垣間見てしまうのです。
 これによって、二人は「秘密の共有者」となります。この展開が、ラブストーリー、またストーリー作品に恋愛要素を加えていく上でポイントとなります。秘密を知られ、共有することにより、その人物は「唯一、心を許せる存在」になっていきます。恋の相手となるキャラクターの内面の深い部分を知り、その深い部分に立ち入ることによって、二人の間には、他者との間には決してない「深いつながり」が形成されます。このつながりが、恋愛感情へと変わっていくのです。
 相手が「かっこいい」「かわいい」というのは、「表面的に好き」という「恋愛における初期の段階」です。
 ラブストーリーでは「秘密を知られる」という深いつながりが形成されてはじめて、二人は「内面的に好き」というレベルに達し、恋愛が生まれる「準備」が整っていくのです。

 

プロセス③相手の力になる(助ける)

 恋が生じる最後のプロセスは、「相手の力になる(助ける)」です。

 この「相手を助ける」ことによって、二人は恋に落ちていくのです。
 ……って、なんてベタな、とお思いでしょうが、ラブストーリーで二人が恋に落ちるには、この過程が必要不可欠なのです。ポイントは、いかに「ベタ」だと感じさせないように、この過程を描いていくかです。状況や環境、助け方といった要素で、他の作品にはない独自性を出していくようにしていきましょう。
 ラブストーリーにおいて、プロセス②「相手の内面の深い部分を知る」だけでは、じつは、まだ恋愛には至りません。
 その内面の深い部分に隠された相手の秘密を知り、相手が抱えている悩みや問題を「一緒に解決してあげる、力になって、助けてあげる」という過程を経ることによって、恋愛が生まれていきます。
 助け、助けられることによって、二人の間には感謝、信頼、愛情、敬意、好意などの好感情が生まれ、二人の気持ちのつながりである「絆」が強まっていきます。これらの気持ちが、恋愛へと変換されていくのです。このときに、二人は恋に落ちていきます。
 ライトノベル『文学少女』シリーズでは、主人公・井上心葉には「過去に百万部のベストセラー作家だったこと、そのことが原因で当時付き合っていた彼女が飛び降り自殺未遂をした」という秘密を持っています。そのトラウマが原因で彼は心に苦しみを抱えながら生活しています。そんな彼の心を、部活の先輩・天野遠子が少しずつ解きほぐしていくのです。それによって、二人は絆を育んでいき、やがて二人は惹かれ合っていきます。秘密は先輩天野遠子にもあり、「文学作品を食べる(文字通り本のページを食べてしまう)という秘密を持っています。また、天野遠子にはさらに大きな秘密が隠されています。
 このように、ラブストーリーで二人が恋に落ちるということは、相手の秘密であるその悩み、問題を解決、力になることによって、互いが「特別な存在」になり、そのことを通して絆が強まることにより二人が想い合う「恋愛」が生まれるということなのです。その過程を描写したのがラブストーリーなのです。
 つまり、ラブストーリーとは、強まっていく絆を描く物語なのです。

 これらの三つのプロセスが「恋が生まれるプロセス」、すなわち「好きになる瞬間」です。
 ということで、この「好きになる瞬間」のシーンを思い浮かべていくには、

 (1)相手の「心の秘密」をどんなものにするか
 (2)相手の秘密、問題、悩みを解決していくシーン

 これら二つを考えていくようにしましょう。

 
 

「好きになる瞬間」を作るには、「恋の相手の秘密」を作ろう!

 ラブストーリー作りの要となる「好きになる瞬間」を考える上でのポイントは、相手の内面に隠された誰も知らない「秘密」をどんなものにするかということです。

 ラブストーリーでは、その相手の秘密を知ってしまい、その秘密に踏み込んでいかなければ、恋愛になりません。
 秘密が二人を結びつけてくれるのです。
 そんな「相手の秘密」には、次のような要素があります。

 ①秘密とは「何らかの事情があって周りに隠している事柄」である。
 ②秘密とは「何らかの問題、悩み」である。
 ③秘密とは「誰にも相談できない問題、悩み」である。
 ④秘密とは「読者が同情してしまうような性質を持った問題」である。
 ⑤秘密とは「それが明るみに出ることによって、自分、または誰かが不利益や損害を被るもの」であり「隠さなければいけない理由」があるものである。(だからこそ、秘密にしなければならない。)
 ⑥秘密とは「何らかの欠落、欠乏」である。

 秘密を作るには、これらの要素を参考にして考えていきましょう。
 まず、秘密は、何らかの事情があって隠している事柄です。隠す理由としては「恥である」「誰かが傷つく」「騒ぎになる」「問題を大きくしたくない」といったような理由が多く使われます。そんな、秘密にして隠す理由を考えていきましょう。
 また、恋の相手の秘密は、何らかの問題、悩み、苦しみ、つらい状況というものとして設定していきましょう。自分自身の問題、自分と家族の問題、経済的な問題、身体的な問題、人間関係での問題など、何らかの問題、悩みを持たせていくようにしましょう。さらに、普段見せない一面、本当の人物像、隠している事情、意外な過去、トラウマ、誰にも言えない悩み、苦しみといったことでも秘密を作ることができます。
 秘密は、誰にも相談できない事柄にします。前述の隠す理由と重なりますが、誰にも言えないバイトをしているとか、誰にも言えない生活環境だとか、呪いを受けているなど、相談することができない、片想いの相手とか、相談する相手もいないような事柄、他の人にバレると恥ずかしい事柄、一人で悩まざるをえない、抱え込まざるをえない事柄を設定してみましょう。
 そして、ここが重要なのですが、秘密には「読者が同情するような部分」を持たせるようにしましょう。読者が「かわいそう」「不憫だ」「なんとかしてやりたい」と思うような境遇にある、問題を抱えているというふうに設定していきます。そして、それは読者と同時に、相手キャラクターもその秘密を知って、そういう気持ちを抱いていくものでもあります。この、かわいそう、なんとかしてあげたいという気持ちを感じることが、相手を助けるために行動していく動機となっていきます。そして、それがいつの間にか恋愛感情に変わっていくのです。
 「秘密」の持つ性質としては、秘密にしなければいけない理由をしっかりと設定していきましょう。
 また、秘密を考えるときは何らかの欠落、欠乏を考えていくと、設定しやすくなります。具体的には、普通の一般的な大多数の人が持っているもの、例えば「健康」とか「家庭環境」とか「家族の愛情」などを欠落させていきます。「不治の病に侵されている」とか「血のつながっていない父親から虐待を受けている」など、社会的に多くの人が持っているものをあえて奪っていくことで、「秘密」を作っていくことができます。

 
 

秘密はどちらか片方、もしくは二人両方に設定してもいい

 秘密を作っていく場合、男性女性どちらか片方だけに秘密を設定してもいいですし、男女両方にそれぞれ別の秘密を設定してもかまいません。
 マンガ『彼氏彼女の事情』では、主人公の宮沢雪野と、恋の相手となる有馬総一郎の両方に、人に言えない秘密が設定されています。宮沢雪野は「品行方正なお嬢様のふりをしているが、じつは家ではズボラな普通の少女である」という秘密を持っており、有馬総一朗には「幼児期実の親から受けた虐待、自分も親のような子供を虐待する人間になってしまうのではないかという恐怖感に苛まれている」という秘密を持っています。二人は、互いの秘密を知り、その問題に対して力になっていくことによって、心を通じ合わせていくのです。
 また、助ける場合も主人公が相手の秘密を知ってを助けてもいいですし、相手が主人公の秘密を知って助けてもかまいません。
 少女マンガでは、主人公の女の子に人に言えない秘密があり、それを彼氏となる男の子が知って助けてくれるという展開がよく描かれます。このパターンならば、女性読者は主人公に感情移入しやすく、さらに相手役の男の子のかっこよさを描きやすいというメリットがあります。

 
 

嫌いな相手に対する「対人感情」が変化することで、相手を助けていくようにストーリーを展開させよう

 
 「好きになる瞬間」を描く上でのコツは、相手に対する対人感情、対人評価の「変化」を描いていくという点です。
 嫌なやつ、嫌いだった相手の意外な秘密を目にし、それが同情してしまうようなつらいものだということを知り、それでも健気にがんばる姿を目撃し、相手に対する評価が変化していきます。そして、相手を助けたいと思うようになり、力になっていくというストーリー展開が、基本のパターンとして用いられていきます。
 ラブストーリーでは、この基本パターンを使っていきましょう。そして、このパターンを土台にして、いかに応用、アレンジしていくかで、作品を作っていきます。

 
 

「相手を助けるシーン」は、状況、内容、方法で独自性を出していこう! 

 ラブストーリーでは、相手を助けることにより二人の絆が強められ、やがてそに絆が恋へと変わっていきます。
 ラブストーリーでは、相手を助けるという「行動」を描くことによって、キャラクターの人間性、相手に対する感情、愛情といったものを表現していきます。
 物語で何かを表現する場合は、すべて登場人物の「行動」を通して描写していくのです。
 さて、「相手を助ける」という行動は、ともすればワンパターンになりやすい要素でもあります。
 ラブストーリーで、相手を助けるシーンを思い浮かべていくには、できるだけ多彩なバリエーションで相手を助けていくことがポイントになっていきます。その際のコツは、以下の通りです。

 ①助ける方法は、できるだけ「変な方法」「変わった方法」「バカバカしい方法」「独自の方法」にしていく。
 ②一番ピンチのときに助ける。
 ③相手が一番困っていることを助ける。
 ④意外なタイミングで助けに来る。
 ⑤相手が、自分ではどうすることもできない状況のときに助ける。
 ⑥意外な場所で助ける。

 このような方法で、「相手を助けるシーン」を思い浮かべていきましょう。そうすれば、そのシーンが「好きになる瞬間」になっていきます。

 

 

相手を助ける方法、どんな方法で助けるかでキャラクターを描ける!

 さて、この「相手を助けるシーン」は、キャラクターを魅力的にし、引き立てていく上で非常に有効なシーンです。相手を助けるときに取る方法、その方法がどんな方法か、どんな方法で相手を助けるかで、キャラクターを描いていくことができます。キャラクターの性格、考え方、価値観などに照らし合わせて、そのキャラクターに合った、そのキャラクターの人柄を象徴するような方法で相手を助けていきましょう。

 

「好きになる瞬間」は「愛」を表現したシーンである!

 「好きになる瞬間」である「相手を助けるシーン」は、そのキャラクターの魅力を最大限に引き出していくことができる「読者が主人公を好きになるシーン」でもあります。このシーンは、一言でいえば「愛」を表現したシーンであると言えます。
 つまり、「好きになる瞬間」のシーンを発想していくには、「愛」ということについて、その本質と内容を知っていく必要があります。そうすれば、この「好きになる瞬間」である「相手を助けるシーン」、すなわち「読者が主人公を好きになるシーン」を魅力的で豊かなものにしていくことができます。
 ということで、この「愛」について考えていきたいと思います。
 さて、では「愛」とは、一体何なんでしょうか。
 じつは、キリスト教の『聖書』で、愛について、愛というものの本質と具体的な行動について書かれた部分があります。そこを参考にして見たいと思います。
 まず、愛の行動の本質、その根本について書かれた部分です。これは『新約聖書』の「ヨハネによる福音書」の第一五章の一三節にあります。これは、イエス・キリストの言葉です。

「人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない」

 愛の本質は、「誰かのために何かをしてあげること」、そして「そのために自分の時間、持ち物、財産、機会、地位、ときには自分の命をも犠牲にすること」、これが愛の最も根本的な行動になります。
 物語で愛を描写していく場合は、この「誰かのために何かを犠牲にして行動する」という要素が、手がかりになってきます。
 次に、愛の様々な面での具体的な行動です。これも『新約聖書』に載っている、結婚式などでお馴染みの非常に有名な言葉から見出すことができます。
 じつは、筆者自身の結婚祝賀パーティーで、友人がパンフレットに書いてくれた言葉でもあります。この言葉は『新約聖書』の「コリント人への第一の手紙」の第一三章四~七節に載っています。

「愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない。
無作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。
不義を喜ばないで真理を喜ぶ。
そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。」

 これが、愛の具体的な行動です。
 これらの愛を表す要素を、ストーリーにおける「相手のピンチを助ける」という内容に照らしあわせて考えるときに、様々な行動やセリフが思い浮かんできます。
 例えば、「犠牲」という本質から「寛容」「自分の利益を求めない」という要素を使って発想すれば、「主人公は税務署員、税金を取り立てに行った先の家が非常に貧しいとわかったとき、自分の財布を全部その家族に渡してしまう」といった行動をとるシーンが思い浮かんできます。
 物語では、この「シーン」を思い浮かべることが、構想の第一歩です。
 異性間で、この愛の原則に基づく行動を、相手のために取るところを描けば、二人の間の愛情、互いを思い合う気持ちを表現していくことができるのです。
 その代表的な例が、クリスマスの物語であるO・ヘンリーの小説『賢者の贈り物』です。この物語には、ジムとデラという夫婦が登場します。しかし二人は貧乏で、互いに贈り合うクリスマスプレゼントも買えません。ジムは最も大事にしている父の形見の金の懐中時計を売ってデラのために櫛を買います。デラは、最も大切な自慢の長い髪を売ってジムの懐中時計に付ける金の鎖を買います。そして、クリスマスの日、互いにプレゼントを贈ったら、櫛を贈ったのにデラの髪は短くなっており、鎖を贈ったのにそれを付ける懐中時計はありませんでした。互いが大きな犠牲を払って贈ったプレゼントは、何の意味もなくなってしまったのです。しかし、そのことで二人は、互いをどれだけ大切に思っているかを知り、愛を深めることができたというストーリーが描かれています。
 このストーリーでは、愛という気持ちを、「大切なものを犠牲にして贈り物を買う」という行動で表すことによって表現しています。
 このように、表現したい愛の本質の要素を選び、それを具体的な行動に置き換えて描いていけば、素敵なラブストーリーを作っていくことができるのです。

 

物語で描かれる四つの「愛」

 次は、物語という面で「愛」について考えていきたいと思います。

 物語で描かれる「愛」は、大きく次の四つです。

 ①「友情」
 ②「愛情」
 ③「恋愛」
 ④「復讐」

 ①~③までは、人間の持つ「愛」、そこから生まれるドラマを描いたものであり、④は人間の愛の逆、「憎しみ」やそこから派生するドラマを描いたものになります。
 「友情」は、友人、知人同士での愛情です。おもに同性間、異性間の恋愛感情以外の愛情が友情となります。もちろん、異性間の友情もあります。世代や国家を超えての友情もあります。初対面の者同士に芽生える友情もあります。
 「愛情」は、家族や兄弟、育ての親、親族、師弟、保護者など、友人関係とは違った親しい間柄にある者同士の愛です。これは、対象者を養育、保護する立場の人から受ける愛情という形になります。
 「恋愛」は、異性同士の愛情、結びつきです。結婚というものを意識した、それを目指す男女の関係が恋愛です。
 そして、愛がプラスの感情であるならば、マイナスの感情となるのが「復讐」です。
 復讐は、憎しみなどの負の感情が生み出すものです。相手に対して、うらみや妬みを抱いていて、それを晴らす方法として取られるのが「復讐」です。受けた憎しみを、同じ方法で返し、その報復がまた新たな憎しみを生んでしまう、それが復讐の物語の悲しさです。
 しかし、必ずしも負の感情が原因でない復讐もあります。相手が悪を行った場合、それに対する復讐というものがそれです。
 復讐自体が善か悪かという議論はちょっと置いておきまして、「仇討ち」や「不当な手段によって奪われた正当な権利の奪還」といった物語が、憎悪などの感情からではない復讐のストーリーになります。
 例えば『忠臣蔵』などは、復讐譚ではありますが「主君の仇を討つ」というある種の忠誠心が動機になっています。また、裏切りや謀略、侵略など「何らかの道義に反する方法」で奪われたものを取り戻すために復讐という手段を取るというパターンでは、例えば、幼いころに宰相の悪計によって王位を追われた王子が、成長して宰相に復讐を果たして王位を奪還するという、というようなストーリーがあります。これも憎悪による復讐ではなく、王位を取り戻すという動機がもとの復讐になります。

 これら4つが、物語で描かれる「愛」です。
 愛は、他者に対する感情であり、行動の動機です。
 人間には、①喜びを感じたい、②苦痛を避けたいという二つの行動原理があり、それらは「生存欲求(生き延びたい、死にたくないという気持ち)」の上に発生しているものです。また、その延長として、「損得勘定」があり、経済的に自分の損になることはしない、得になることをするといった行動指針が生まれていきます。
 しかし、「愛」という動機は、それらを超える形で人間を動かしていき、そうして愛によって行動するときに、ドラマが生まれるのです。

 
 

相手を助けるとき、相手の問題は解決しなくてもいい!

 さて、相手を助けるというシーンを作っていく上で、大事なポイントがあります。(大事なポイントばっかりですね……)
 それは、相手を助けるときは「相手の問題が解決しなくてもいい」ということです。
 相手が抱えている秘密は、一筋縄ではいかない、一朝一夕では解決しない問題であることがほとんどです。だからこそ、問題、秘密になるのです。
 もし、それが登場人物一人が何かやっただけで簡単に解決してしまったら、ウソになります。
 だから、このシーンは描く上では、完全に相手の問題を解決しなくてもいいのです。
 ポイントは、相手に何らかの「心の変化がある」ということです。つまり、問題自体は、完全に解決できなくても、内面の問題が解決、変化していけばいいのです。
 それは例えば、問題解決の第一歩を踏み出すということかもしれませんし、それまでとらわれていた価値観を捨てることかもしれません。ちょっとでも前進するだけでいいのです。ちょっと解決、一部解決だけでもいいのです。心が軽くなったり、前向きになるだけでもかまいません。その人物の働きかけ、手助けにより、問題解決に関連する何らかの変化が起きればそれでOKです。根本的な問題は解決できなくても、そのことが原因で起きている事件、トラブルなどが解決していくだけでいいのです。
 大事なのは相手の力になるという展開、それによって相手が変化することなのです。

 

 ということで、これらのコツを参考にして、「相手を好きになる瞬間」である「秘密を知って助けるシーン」を発想していってみましょう。

 
 

では、最後に演習です。

【演習】 

 自分の好きなラブストーリーを選び、その作品の主人公と恋の相手役にどんな秘密が設定されているかを確かめてみましょう。
 また、その秘密である問題をどんなふうに解決しているか、どんな形での解決が描かれているか、そのシーンを確かめてみましょう。

参考:第7章 ラブストーリーをつくろう!

恋愛編■vol.01 作品を面白くするには、「恋愛要素」を加えよう!

恋愛編■vol.02 ラブストーリーを生み出す「三つのシーン」を作ろう!

恋愛編■vol.03 「出会いのシーン」から、すべてがはじまる!

恋愛編■vol.04 「秘密」を使って、「好きになる瞬間」を作ろう!

恋愛編■vol.05 「告白シーン」では、「好き」と言ってはいけない!?

恋愛編■vol.06 第四のシーン「ドキドキを感じるシーン」を思い浮かべていこう!

恋愛編■vol.07 物語の面白さの正体「セントラルクエスチョン」

恋愛編■vol.08 「恋の障害」を作ろう!

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