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2014年4月23日 (水)

■恋愛編vol.06 第四のシーン「ドキドキを感じるシーン」を思い浮かべていこう!

Renaibana006

    

ラブストーリーの魅力を高める「第四のシーン」

 前の課までで、ラブストーリーを構想するときは、以下のような三つのシーンを思い浮かべていくところから作りはじめていくと作りやすいことがわかりました。その三つとは、以下のシーンです。

 ・「出会いのシーン」
 ・「相手を好きになる瞬間」
 ・「告白、想いを伝える(伝わる)シーン」

ラブストーリーは、これら三つのシーンをつなげていくことで、ある程度のストーリーの流れを作っていくことができます。
 これら三つのシーンはラブストーリーにとっての屋台骨となる不可欠の要素ですが、これら以外にも、じつはもう一つ、ラブストーリーにとってなくてはならないシーンがあります。
 それは「ドキドキを感じるシーン」です。

 

「恋のドキドキ」こそラブストーリーの醍醐味

 前の課で書いたとおり、ラブストーリーの持つ大きな魅力の一つに、「作品を読むことで恋愛のドキドキを感じることができる」というものがあります。
 ラブストーリーは、読者が主人公に感情移入することで、読者を疑似恋愛状態にする働きがあります。それによって、恋をしているときに出るホルモンの分泌を促し、読者はあの特有の「ドキドキ」を感じていくのです。このドキドキこそが、ラブストーリーを読む楽しみであり、醍醐味なのです。
 「ドキドキを感じるシーン」とは、そんな「ドキドキ」を読者に感じさせて、恋愛のホルモンを分泌させるシーンのことです。
 そのシーンが作中に含まれていれば、読者は恋のドキドキを感じ、擬似恋愛を楽しんでいくことができます。
 ここでは、そんなドキドキを感じるシーンについて学んでいきたいと思います。   

 

読者はどんなシーンにドキドキを感じるか

 恋愛もの、ラブストーリーを読んでいて、読者はどんなシーンにドキドキを感じるのでしょうか。
 読者がドキドキを感じやすいシーンには、以下のような、大きく三つの特徴があります。

 ①主人公、または相手キャラが「恥ずかしがる」シーン
 ②主人公、または相手キャラが「照れる」シーン
 ③「自分でも気づいていない相手への恋愛感情」が表れるシーン

 読者は主人公に感情移入して、主人公と感情を共有、リンクさせて物語を楽しんでいきます。そして、主人公や相手キャラが「恥ずかしさ」や「照れ」の感情を感じるときに、読者も同様の感情を経験し、それによって読者に「恋のドキドキ」を感じさせていくことができます。
 恥ずかしさを感じたり、照れたりするシーンとは、具体的に「相手から好意を受けた」、または「相手の好意に気づいた」シーンのことです。
 また、自分では気づいていない相手への好意、恋愛感情」が無意識に出てしまうときに、読者はホントは好きなんじゃないのというニヤニヤ、ドキドキを感じていきます。
 つまり、ラブストーリーでドキドキを生み出していくには、主人公、もしくは相手キャラが、何らかの形で気になる相手から好意を受けて「恥ずかしがったり」「照れたり」するシーン、または「自分でも気づいていない相手への恋愛感情が何らかの形で表に出る」シーンを物語の中に意識して含めていくようにするのです。
 ラブストーリーの中で最もドキドキを感じるのは、とうぜん「告白シーン」です。
 しかし、それ以外にも、物語の途中で描くことのできる、ドキドキを感じる、「恥ずかしがったり」「照れたり」するシーンを工夫していくようにしましょう。
 ドキドキを感じるシーンの一例として、次のようなものがあります。

 

(1)意識的、無意識的にかかわらず、不意に「相手の好意」を感じるシーン

 相手が意識して、または無意識的にかかわらず、主人公に対しての「好意」を表すような、それを感じさせるようなセリフ、行動をとり、「えっ、それってどういう意味? もしかして、私のこと好きなの?」と思ってしまうようなシーンを入れることによって、ドキドキを生み出していくことができます。
 その際、不意に、予期せぬときにその好意を感じたほうが、よりドキドキを生み出すことができます。
 たとえば、現実でも、美人のクラスメイトから「一緒のグループになれてうれしい」と言われたり、かっこいい部活の先輩が「間接キスで自分の飲み物を取って飲んじゃう」などの行動があれば、「もしかして自分に気があるのかな?」と思ってドキドキしてしまいます。物語も同じで、こうした無意識の好意を感じさせるような出来事、セリフ、行動を含めいくようにしましょう。
 また、この無意識の好意の最大のポイントは、主人公が「相手のことを意識し出すきっかけになる」という点です。
 好きでもない相手から告白や、何らかのアプローチを受けると、その人のことがなぜか気になってしまうという経験はありませんか。じつは、これは「好意の返報性」といって、人間は、相手から受けた好意に対して、「同じような好意をお返しをしなければいけない」と思ってしまう心理が働くのです。それによって、好きだと言われれば、その人物は相手のことも好きになってしまうような気持ちを感じていきます。この心理状態を作中でうまく描いていけば、無理なく自然に、相手のことを気になる、意識してしまうという「恋愛のきっかけ」を描いていくことができるのです。

 

(2)相手と「罵り合う」「ケンカする」シーン

 いわゆる「ケンカをするほど仲がいい」というシーンです。
 とくに、二人が出会った直後、出会って間もないくらいでは、積極的にお互いをけなし合い、いがみ合い、罵り合わせて、ケンカをさせていくようにしましょう。
 ケンカをするとドキドキするというのは、一見矛盾しているようにも思えますが、じつは、読者も二人が最後にはくっつきそうだという予感を持っている場合、ケンカをさせればさせるほど、仲がいい証拠というドキドキを生み出していくことができるのです。
 喧嘩の原因となる「誤解、勘違い、失言、アクシデント」などを利用して、二人を対立させていきましょう。
 この方法で注意しなければいけない点は、二人のケンカを描く際は、決して深刻な理由やマジな動機でケンカをさせないようにするということです。そのためのコツは、「幼稚な原因、くだらないことで言い争いになる」というように描いていくことです。どこか滑稽な、ユーモラスな、バカバカしい、くだらなさを感じるような争いにしていくことがポイントになります。

 

(3)相手が、主人公への「好意を否定する」シーン

 これも、ケンカをすることと関連しているシーンですが、相手に対してあまり良い感情を持っていないときに、相手に対する恋愛感情を自分で否定する、「あんたのことなんかなんとも思ってないんだから」とわざわざ否定することによって、気になっている、好意がある、ホントは好きだということを表現していくことができます。
 人間、全く興味がなければ、とくに相手とのことをわざわざ否定したりしません。それを、わざわざ言うということは、逆説的に相手のことが気になっている証明なのです。否定すれば否定するほど、相手に気があるということを強く描けます。
 二人が出会って間もないくらいの様々なシーンで、相手に対する好意、恋愛感情を否定するようなシーンを入れていきましょう。

 

(4)相手の「ギャップ」を感じるシーン

 物語作りにおいては鉄板ですが、相手の意外な一面、普段の相手とギャップのある一面を垣間見るときに、ドキドキを生み出していくことができます。
 その際は、普段は隠れていて見えない相手の「良い面」が見えるように描いていくとよいでしょう。
 ギャップは、キャラクターの「行動」、もしくは「セリフ」を通して描いていくことができます。意外な一面が垣間見えるような相手の行動、セリフ、リアクションなどをストーリーに含めていきましょう。

 

(5)相手が「助けてくれる」シーン

 「秘密」のシーンにも関係がありますが、相手が何らかの「助け」をくれるときに、ドキドキを生み出せます。
 実際の恋愛でも、仕事で夜遅く残業しているときに、一緒に残って手伝ってくれるなんていう場合は、その相手のことが好きでもなんでもなくても、感謝し、頼もしさを感じ、相手が魅力的に映り、ドキドキしてしまうものです。で、後で「お礼に食事でも」みたいな話になり、そこから恋愛が生まれていくなんていうのはごく自然な展開としてあります。
 主人公を困った状況に置いて、悩み、苦しんでいるときに相手が助ける、というようなシーンを効果的に描いていきましょう。

 

(6)周囲に「冷やかされる」シーン

 このシーンは、もはやラブストーリーでは、お約束のシーンです。
 恥ずかしさを感じさせる最も簡単な方法は、この周囲のキャラクターたちから冷やかされ、からかられるというものです。
 二人がケンカをしたり、いがみ合ったり、相手のことを悪く言ったりした後に、冷やかしていくと効果絶大です。冷やかされた方は、顔を真っ赤にして恥ずかしがったり、否定したりすることで、読者にドキドキを感じさせていくことができます。

 

(7)一緒に居られてうれしいということを「悟られないようにする、自分の気持を隠す」シーン

 好きだという気持ちを相手に隠している、悟られないようにしているという描写によって、ドキドキを生み出していくことができます。興味のないふりをしているんだけど、実際には相手のことが気になってしょうがない、相手のことが頭から離れないなどの描写です。
 このシーンを描くには、前の課で学んだ「セリフでは嫌いと言いながら、行動で好きを表現する」という方法が使えます。言葉では興味ない、嫌いと言っておきながら、行動の面で相手に対して恋愛感情があるというところを描いていきます。
 たとえば、全く興味ないと言っておきながら、その人物と食事にいく時には、ものすごく「おめかし」していくとか、同じ部活に入るとか、何かと世話を焼くという感じです。

 

(8)「ヤキモチを焼く」シーン

 これも、ラブストーリーでは鉄板の描写です。(7)の方法で、一番の強く相手に対する想いが表れる描写でもあります。
 興味ないと言っておきながら、相手が自分以外の異性と親しくしていると気になる、いてもたってもいられなくなる、不安になる、心配になる、相手を責めるなどの反応を描いていくことにより、読者のドキドキを生み出していくことができます。
 ヤキモチを焼けば焼くほど、相手のことが好きだということを表せます。

 

(9)照れながらも、恥ずかしがりながらも相手への想いを垣間見せる、間接的に表現するシーン

 これも(7)に関連する方法で、直接相手への恋愛感情を表すのではなく、間接的に、何らかの「別の形を通して」表していくシーンです。しかも、間接的とはいえ、恋愛感情を表現するわけですから、当然、大きな「照れ」「恥ずかしさ」の感情がキャラクターを襲います。読者に対しても、ドキドキを感じさせることができます。
 最もわかりやすい例が「ツンデレ」です。たとえば、相手をほめるときなども、ストレートに褒めるのではなくて、わざと興味なさそうに「まあ、よかったと言えるんじゃない」とか「悪くはないんじゃない」など、素直に褒めなかったり、他人行儀な言い方をさせながら、顔を赤面させ照れていることを表現することで、ドキドキを生み出していくことができます。

 このような「恋のドキドキ」を感じるシーンを発想のきっかけにしながら、ストーリーの中にこのシーンを意識して盛り込んでいき、読者に恋のドキドキを感じさせるようにしていきましょう。

参考:第7章 ラブストーリーをつくろう!

恋愛編■vol.01 作品を面白くするには、「恋愛要素」を加えよう!

恋愛編■vol.02 ラブストーリーを生み出す「三つのシーン」を作ろう!

恋愛編■vol.03 「出会いのシーン」から、すべてがはじまる!

恋愛編■vol.04 「秘密」を使って、「好きになる瞬間」を作ろう!

恋愛編■vol.05 「告白シーン」では、「好き」と言ってはいけない!?

恋愛編■vol.06 第四のシーン「ドキドキを感じるシーン」を思い浮かべていこう!

恋愛編■vol.07 物語の面白さの正体「セントラルクエスチョン」

恋愛編■vol.08 「恋の障害」を作ろう!

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