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2014年4月 4日 (金)

■恋愛編vol.05 「告白シーン」では、「好き」と言ってはいけない!?

Renaibana005

 
「告白シーン」を作ろう!

 ラブストーリーを作る上で、はじめに思い浮かべていくべき三つ目のシーンは、「告白シーン」です。
 この告白シーンは、主人公や登場人物が、相手に「想いを伝え」、その結果、相手はその想いを受け入れてくれるのか、それともそうでないのかといった「恋の結末」が相手のリアクション、反応となって示される、ラブストーリーの中でも最も盛り上がるシーンです。
 その意味では、告白シーンは一番重要なシーンだと言えます。
 ここでは、この告白シーンの概要とその作り方のコツについて学び、魅力的な告白シーンを思い浮かべていきたいと思います。
 で、今回注意事項があります。参考作品としていくつかの作品を例にあげていますが、告白シーンの作り方という性質上、作品のクライマックス、ラストに言及している部分が多々あります。引用する際には必ず作品のタイトルを明記してあります。未読、未見の方は、ネタバレにならぬよう、事前に作品をお読みになる、ご覧になるかしてから、本文をお読みいただくことをおすすめします。くれぐれもご注意ください。

 

「告白シーン」は、ラブストーリーのゴールとなる!

 では、まず告白シーンの性質、特徴について見ていきたいと思います。
 物語では、発生した問題が解決することがストーリーのゴールとなりますが、ラブストーリーにおいては、「告白」によって「二人の気持ちが結ばれ、通じ合う」ようになることが物語のゴールとなります。
 つまり、「告白シーンが、ラブストーリーの最終目的、最後のイベント」となるのです。
 ラブストーリーの読者にとっては、キャラクターの想いが伝わる「告白」は最大の関心事です。この「告白シーン」を見たくて、それを見るために読者はラブストーリーを読んでいくのです。そして、告白シーンは一番ドキドキするシーンでもあります。その意味では、読者にとってこの告白シーンは、一番のごちそうなのです。だから、ラブストーリーには必ず、想いを伝える告白シーンがなければいけません。また、そのシーンが印象的で、魅力的でなければならないのです。
 そして、告白は必ず物語のクライマックスの終わりからラストシーンで行われ、決してストーリーの途中では行われません。なぜなら、ラブストーリーは告白した段階で終わってしまうからです。その後に続くのは、後日談ぐらいしかありません。ですから、ストーリーの途中では、告白によって二人の気持ちを通じ合わせてはいけません。
 物語の途中では、お互いに嫌悪感を抱く、ケンカするぐらいの描き方をして、二人が気持ちを通じ合わせるのを阻んだり、遅らせていきましょう。
 そして、最後の最後、物語のクライマックスからラストシーンで告白させ、その想いを伝えていくようにしましょう。
 ここまでのポイントをまとめますと、

 ①告白シーンは、登場人物が、相手に想いを伝えるシーンであり、はじめて二人の心が通じ合うシーンである。

 ②告白シーンでは、二人の恋の結末、結果が示される。

 ③告白シーンは、ラブストーリーのクライマックスからラストシーンに位置する。(物語の最後に描かれる)

 ④告白シーンは、ラブストーリーのゴール(到達地点)である。

ということが言えます。これが告白シーンの特徴です。
 告白シーンを考えていく上では、このようなポイントを踏まえて作っていくようにしましょう。

 

きっかけとしての告白と、本当の告白

 例外として、告白シーンから物語がはじまる場合があります。
 これは、「告白して見事にフラれた」、または「告白してうまくいった……のは一年前で、今は全然冷め切ってしまった」といった感じに、告白シーンを、物語がはじまる「きっかけ」に使っていく場合です。
 このように告白をきっかけとして使う場合は、物語の冒頭などで描かれることもあります。しかし、この告白シーンは本当の告白シーンではなく、この場合、ストーリーのクライマックス部分でもう一度、本当の相手と、本当の告白シーンが描かれていきます。

 

告白シーンは、「ストーリーとつなげて」作っていこう!

 それでは、告白シーンを作っていきましょう。
 さて、告白シーンはラブストーリーで最も重要なシーンであり、物語での最大の見せ場です。だから、できるだけ印象的で魅力的な「告白シーン」を作ろうとするわけなのですが、これがなかなかうまくいきません。一生懸命考えても、何だか、取って付けたような告白シーンしかできません。いろんな作品の告白シーンを参考にしますが、読者の心に残るような満足の行く告白シーンはどうしても作れません。なぜなのでしょうか。
その理由は、告白シーンを「単独で考えていっている」からなのです。
 告白シーンを考えていく上では、告白シーンだけを作ろうとしてもうまくいきません。告白シーンを作るには、ストーリー、そしてクライマックスと絡めて考えていかなければいけないのです。つまり、「告白シーンはストーリーと密接につながっている、ストーリーから告白シーンが生まれていく」ということです。
 告白シーンは、それまでのストーリー、そこで起こる出来事、発生する問題、障害、その解決などと密接に関わって描いていくものなのです。そこまでのストーリーがどのようなものか、それまでどのような出来事があったか、そのクライマックスの「状況、シチュエーション」と連動させて、ストーリーの流れを受け、生かすよう告白シーンを考えてくようにしましょう。
 告白シーンで登場人物が発するセリフを考える場合も、その告白の方法を考える場合も、それらを生かしていく鍵は、それまでのストーリー、クライマックスの状況が握っているのです。
 例えば、ライトノベル『とらドラ!』第一巻のラストシーンで、主人公の高須竜児が、ヒロインの逢坂大河に思いを伝えていきます。(この時点では、まだ厳密には愛の告白ではないのですが、竜児には本命の好きな娘もいるのですが、)それでも竜児は大河に「大事にしたい、そばに居てやりたい」という純粋に相手を思いやる気持ちを伝えます。ここで言う有名な名ゼリフが、次の言葉です。

「俺は、竜だ。おまえは、虎だ。――虎と並び立つものは、昔から竜と決まってる。だから俺は、竜になる。おまえの傍らに居続ける」

このセリフも単独で機能しているのではなく、「互いの『本命の相手との恋愛』を応援し合う」という特殊な関係性があり、「逢坂の本命の相手・北村の前で誤解され、しかも失恋してしまった、その一部始終を高須が見守っていた」というシチュエーションがあって、はじめて生きてくるセリフなのです。それまでの流れ、そしてクライマックスでの誤解、失恋があったからこそ、この想いを伝える告白シーンがあるのです。
 同じくライトノベル『半分の月がのぼる空』第一巻も同様です。主人公戎崎裕一は、入院した病院で、命にかかわる重い心臓の病気で入院している秋庭里香と知り合います。里香は、自分の死を予感していて、手術をする覚悟ができないでいます。そんなとき、裕一は一大決心をし、里香と夜の病院を抜け出し、里香の父親との思い出の場所「砲台山」へ里香を連れて行きます。そして、そこで里香は「死ぬ覚悟」を決めていくのです。
 その後、二人は病院に連れ戻され、裕一は無茶がたたって病状が悪化し、入院期間が伸びてしまいます。そんな状況があって、裕一は、里香の病室へ行き言葉を交わします。
(※以下、本文からセリフのみを抜粋して引用します)

「ねえ、裕一」「あんたも大変よねえ」
「なんだよ」
「あたしの面倒なんて見なくていいのに」
「お、おい、どういうことだよ」
「だって、あたし、いつまで生きるかわかんないよ。明日、ふいっていなくなっちゃうかもしれないよ。ほんとにほんとにそうなるかもしれないんだよ。はっきり言っておくけどね、あたしのそばにいてもいいことなんてなにもないからね。辛いばっかりだから」
「それでもいいよ……」

「あたし、手術受けるかもしれない」
「え、だけど、大丈夫なのか? すごく難しいんだろ?」
「でも、手術しないと、だんだん命が短くなるだけだから」
「…………」
「手術をすれば、まだ可能性はあるんだって」

「覚悟、できたから」

 里香は、砲台山で「死ぬ覚悟ができた」と裕一に言います。しかし、砲台山から帰ってきた後で言った「覚悟」は、手術を受ける覚悟、すなわち「生きる覚悟」でした。そして里香は、「裕一のおかげで」覚悟ができたと、顔を真っ赤ににしながら言います。里香は裕一と出会って、ともに時間を過ごして「覚悟」の意味が変わったのです。もっと生きたい、一緒にいたいと。
 この感動的な告白シーンは、やはりそれまでのストーリー、状況があるからこそ生み出されていったものであり、生きてくるものなのです。
 告白シーンを考えていくには、そこまでのおおまかなストーリーの流れ、また前の課で学んだ「好きになる瞬間」、「相手の秘密、事情、問題」とそれを助け力になるシーンを思い浮かべ、そこから、最後に想いを伝える「告白シーン」を発想していくようにしましょう。もちろん、この段階でストーリーの詳細を決める必要はありません。ただ、その想いを伝える時の二人の「状況」がどんなものかをイメージしていきましょう。そして、その二人の置かれた「状況」、それまでにあった問題とその解決と結末を鑑みながら、告白シーンを考えていってみてください。
 また、ラブストーリーから通常の物語を組み立てていく場合、ストーリーにおいて「問題の解決」がまずあり、そこがクライマックスになります。そして、その後で「告白シーン」があり、そこがラストシーンになります。
 または、問題解決の前に告白する場合もあったりしますが、その場合は、告白に対する相手の「返事」をすぐに描かず、またハッキリとは描かず、問題解決の後に改めて返事をするシーンを描いていくようにしましょう。
 告白シーンは、ある意味「ケジメ」のようなものです。結婚する前にプロポーズがあります。サスペンスドラマでは、犯人を逮捕する前には崖の上での自供のシーンがあります。それと同じように、恋人になる前、二人の気持ちが通じ合い、結ばれる前には、必ず告白という過程を経ていくのです。たとえ互いに好きだとわかっていても、しっかりとその想いを、愛を伝える場面を作っていく必要があります。
 告白シーンの無いラブストーリーは、あんこの入ってないたい焼きみたいなものです。クライマックスの状況、二人の状況を踏まえながら、最良の告白シーンを思い浮かべてみましょう。

 

告白シーンを作るコツ 「好き」と言わないで、「好きであることを表現」していこう!

 告白シーンは、ラブストーリーのラストシーンを決めていく重要なシーンです。だから、ラブストーリーの作者は、できるだけ良い告白シーンを作っていきたいと思います。
 では、どうすれば魅力的で、読者を引きつけるような「より良い告白シーン」を作ることができるのでしょうか。そもそも、良い告白シーンとは、どんなものなのでしょうか。
 良い告白シーンの条件、そしてその作り方の最大のポイントは、「告白シーンで『好き』と言わせない」ということです。
 皆さまは、ラブストーリーにおいての「禁句」をご存知でしょうか。
 ラブストーリーでの禁句は、ズバリ、「好き」なのです。
 えっ、ラブストーリーなのに好きと言ってはいけないってどういうことなの? と思われた方も多いかもしれませんが、主人公や登場人物が相手キャラクターに想いを伝える大事な「告白のシーン」で、「好き」というありがちなセリフ、方法で想いを伝えては、あまりに芸がない、つまらないではありませんか。「好き」というセリフだけでは、読者の心に残りません。読者は好き以外の、そのキャラクターならではのセリフ、方法で愛が伝わるところを期待しているのです。だから、「好き」と言ってはいけないのです。
 TVの「旅、グルメ番組」などでは、料理の味をリポートする際に言ってはいけない言葉、それは「おいしい」という言葉です。
 なぜかというと、「おいしい」だけでは、視聴者に「どんな味なのか」が伝わらないからです。映像とリポートする人物の表情や声の調子から「おいしい」のはわかります。しかし、視聴者は「どうおいしいのか」が知りたいのです。映像では、味は伝わりません。だから、甘いのか、しょっぱいのか、あっさりなのか、こってりなのか、どんな食材が、どう調理されていて、どんな食感なのか、食べたらどんな気持ちになるのかを視聴者に「説明」していかなければいけないのです。または、なにか「喩え」を使って味を表現して、視聴者に料理の味をイメージさせていかなければならないのです。
 告白シーンも同様に、恋する想いを「好き」というありきたりな誰もが使うような言葉では表現せずに、どう好きなのか、どのように好きなのか、どこが好きなのか、なぜ好きなのか、相手のことをどう想っているのか、どんなことを感じているのか、どんな覚悟があるのかといった「恋心の内容」を、好き以外の別の言葉で表現していくようにしましょう。
 では、具体的に、どのように「好き」以外の言葉で「好き」であることを表現していけばいいのでしょうか。
 次のような方法を使ってみてください。

 

方法①セリフで「嫌い」と言いながら、行動で「好き」であることを表してみる!

 方法②ツンデレ、「逆説的な言い方」そして「素直な言い方」で好きであることを表してみる!

 方法③恋愛とは直接関係ない「違う言葉」に想いを込めてみよう!

 方法④告白の「方法」を変え、相手の気持を「間接的に」知るようにしてみよう!

 方法⑤好き以外の「気持ち」を描写して、主人公の「好きな気持ち」を描いていこう!

 方法⑥「時間の流れ」を感じさせていこう!

 それでは、一つひとつの方法について、詳しく見ていきましょう。

 

▶方法①セリフで「嫌い」と言いながら、行動で「好き」であることを表してみる!

 「好き」だと言わないで、「好きであることを表現」していく一つの方法は、『セリフと行動を「逆」にして、セリフでは「嫌い」と言いながら、行動では「好き」であることを表していく』というものです。
 この方法は、ライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』のラストシーンで、非常に有効に使われています。
ヒロインのハルヒは、主人公のキョンのことが好きなのに、素直になれません。そんな中、クライマックスでハルヒは、キョンが「ポニーテール」の髪型が好みであることを知ります。次の日、ハルヒは学校で、普段通り「悪夢を見た、今日ほど休みたかった日はなかった」と不機嫌そうにつぶやくのですが、その髪型は、キョンの好みの髪型であるポニーテールにしてくるのです。
 恋愛感情を表に出さないハルヒならではの「好意の表現方法」です。セリフでは不機嫌に「休みたかった、会いたくない」と言いながらも、行動ではキョンの好みに合わせて髪型をポニーテールにしてくることで、ストレートにセリフで好きだと言うよりもより強い、深い好意、恋愛感情を表現することができます。
 この方法は、素直に好意を伝えられないキャラクター、とくに「ツンデレ」系のキャラクターが恋愛感情を表現方法するときにとても有効な方法です。
 また、この方法は、クライマックスの告白シーン以外でも、「本人も自覚していない恋愛感情を表す手段」として効果を発揮していきます。
 この方法は物語において、人の「本音」を表現する方法でもあります。
 キャラクターに二つの気持ち、立場、損得勘定などがある場合、そのキャラのセリフで言っていることは建前、外面であり、本音は「行動に現れて」いきます。つまり、その行動を描けば、そのキャラクターの心の中の本当の思いを表現することができるのです。
 このように、セリフでは嫌いと言いながら行動で好きであることを表現することによって、ありがちな告白シーンを盛り上げていきましょう。

 

方法②「逆説的な言い方」、「ツンデレ」、最後に「素直な言い方」で好きであることを表してみる!

 もう一つの方法は、好きという気持ちを「逆説的に表現してみる」というやり方です。これは、おもに相手が何か言った際の「返答、リアクション」の際に用いるとうまくいく方法です。
 その一番代表的なものは「ジェラシー」です。他の異性と仲良くしている姿に嫉妬、ヤキモチを焼いているところを描いていけば、その異性を好きであることが表現できます。
 また、相手が「怒る」ことでも好意を表すことができます。たとえば、ある男子が危険で無茶なことをして、それを女子が思いっきり怒るという場合です。何かあったりでもしたらどうするのよ、と怒るわけです。相手の危険な行動にキレるのは、その相手が心配であるからに他なりません。怒れば怒るほど、相手のことを心配している=好意があることの証明になっていきます。
 いわゆる「ツンデレ」も、逆説的に好意を表現できる有効な方法です。ツンデレは「普段はツンツンしているが、彼氏と二人だけのときにはデレデレする」という他に、「ツンツンして怒っているが、本当はその相手が好きで、照れ隠しで怒っている」という場合もあります。いわゆる「あんたのためにお弁当作ってきたんじゃないんだからね、おかずが余っただけなんだからね」とか「あんたが心配で来たんじゃないんだからね、ただ先生に様子を見てこいって言われただけなんだからね」といった感じで、本当は心配なのに、またはうれしいのに「そうじゃないない素振り」を見せることで、そういう素振りを見せれば見せるほど、逆にそんなに照れるくらいうれしいという気持ちを表現できます。
 そして、ここからが重要なのですが、最後の最後の告白シーンで、「素直な気持ち」を言わせるのです。恥じらいながら、照れながらも、はじめて隠さずにそのままの気持ちを表現するとき、それまでのすべての逆説的な好意が、大きな恋愛感情に変化していくのです。
 マンガ『今日のユイコさん』では、素直になれないいわゆる「ツンデレ」のヒロイン・ユイコさんが登場します。周りの目を気にしたり、一般論、固定観念、照れやはずかしさから、彼氏のトモヤに心ないことを言ったり、拒否したり叱責したりしてしまいます。でも、最後の最後でユイコさんは、照れながらも「デートしたい」とか「いつも一緒にいてくれて……ありがとう……」といった「素直な気持ち、本心」を打ち明けるのです。
 この方法を使う際には、まず一回ケンカさせることがポイントになります。
 何か失礼なことや怒らせるようなこと、無神経なことを言うなどして相手との関係がすごく悪くなった状態で、すかさず本当の気持ち、相手が好きだからやった、相手のことを想うがために言った言葉だということがわかる「素直な気持ち」をストレートに伝えていくようにすると、破壊力のある告白シーン、想いを伝えるシーンを作っていくことができます。
 ケンカの後の飾らない素直な気持ち、それは何にも増して力強い愛の告白となっていくのです。

 
方法③恋愛とは直接関係ない「違う言葉」に想いを込めてみよう!

 この方法は、「愛や想いを伝える言葉」以外の言葉を使って「好きであること」を表現していくやり方です。直接的には好きと言わずに、例えば「会いたい」とか「待っててね」とか、「〇〇くんと一緒にいると何だか楽しい」など、何とか好き以外の言葉で好きとしかいえないような言葉を使って、告白させていきましょう。
 また、恋愛とは全く関係ない言葉でも、告白の言葉になりえます。ライトノベル『千の剣の舞う空に』で登場する、相手に想いを伝える言葉はなんと、

「闘おう」

です。主人公・速見真一とヒロイン・真山明日美は、オンライン対戦ゲームの中で知り合い、互いに腕を磨きながら親しくなっていった経緯があります。そして二人は、ゲームのランキング一位の最強の対戦相手「闇」を倒して、頂点に上り詰めます。そんな二人だからこそ、「闘おう」なのです。

「最強を、目指したんでしょう。だったら彼にはまだあと一人、闘わなきゃいけない相手がいる」
「闘おう、速見君。ううん――タカヒロ。最後は闘って、別れよう」

 アメリカへの引っ越しが決まっていた明日美は、恋愛とは最も遠い「闘おう」という言葉に、速見への想いを込めていきます。そして、二人の勝負の行方は、意外な結末を迎えるのです。
 この方法を使う場合、登場人物が恋愛以外の何かの出来事、行動に携わっている状況が必要となります。

 また、この方法は、二人の間の会話での何らかの変化を描くことでも、好意を表現できます。この方法で広く用いられているパターンが、「相手に対する呼び名が変わる」というものです。それまで苗字で呼んでいたのが、はじめて名前で呼ぶ、というやつです。名前で呼ぶことで相手との距離が縮まった、好きだということを表現できます。
 筆者の経験なのですが、妻と最初に出会った時からしばらくは、恥ずかしながら「敬語」で話していました。でも、敬語のままではなんか他人行儀な感じがして、二人の距離は縮まらないと思い、意識して「タメ語」で話すようにしました。そんな言葉の変化でも、二人の間の関係性、好意を表現していくことができるのです。
 今だったら、会話以外でも、メールなんかを使って「呼び名の変化」を描いてもいいと思います。はじめて名前が入っている文面が送られてくるという感じでも、好意を表すことができるでしょう。

 

方法④告白の「方法」を変え、相手の気持を「間接的に」知るようにしてみよう!

 告白の方法を変えるのも一つの方法です。つまり、通常は面と向かって「言葉、会話」を通して告白をしていくわけなのですが、それをやらずに、あえて「面と向かってセリフで言う」以外の方法で相手の好意を知るように描写していくのです。
 一つの方法としては、相手の想い、好意を、「別の誰かから間接的に聞く」というものです。
 または、間接的に相手の気持を知ってしまうという方法もあります。例えば、「相手がやっているブログに「好きな女性のタイプ」が書いてあるのを目撃し、それが自分のことを言っているとしか思えない内容だった」という感じにです。この方法の利点は、直接好きと言われるよりも、間接的に自分に対する相手の好意を知っていくほうが、より相手の好意を表現できます。まさか、あいつの好きな人って私なの? というようにです。
 この方法を使うときは、事前にその特長を絡めた「エピソード」を描いておくことが大切です。例えば、「友だちのためにがんばっている」ところを男性キャラが目撃し、他の子から「〇〇君って、どんな子がタイプなの?」と聞かれて「好きなタイプは、誰かのために一生懸命になる子かな」と答えさせるのです。こうすれば、読者は、このキャラはヒロインのことが好きなんだなとわかります。それをヒロインが知ることによって、告白シーンとして印象に残るシーンを描いていくことができるのです。
 ライトノベル『とらドラ!』第一巻では、ヒロインの大河が、本命の相手である北村に告白をします。しかし、北村から、(主人公の)高須竜児と付き合ってるんじゃないのかと問われて、当然否定して誤解を解かなければいけないところを、大河はあろうことか大好きな北村の前で竜児に対して抱く想いを思わずしゃべりだしてしまうのです。それが次のセリフです。(以下、本文から引用)

「でも、その、別に、高須くんのことが嫌いなんじゃない! 全然、嫌いなんかじゃないの! 一緒にいると、息が苦しくないの! いつも苦しいのに……そう思ってたのに……でも高須くんは……竜児は、私においしいチャーハン作ってくれたの! 傍にいてほしい時に、竜児だけが傍にいてくれたの! 嘘をついてでも、私を元気付けてくれたの! ……一緒にいたいって、いつも、そう思うの! ……今も、そう思っているの! ちぎれそうで、なんだか痛くて、私、竜児を……いつだって、いつだって……今、だって! 竜児が、いてくれたからっ! いてくれたから、私はこうやって……っ!」

 そして、言った後で大河は自分がやらかしてしまったことに気づきます。
 しかも、男子トイレ横で繰り広げられていたその一部始終を、トイレで用を足していた竜児に聞こえてしまっていたのです。
 そう、この告白シーンは、大河が北村にではなく、大河が竜児に想いを伝える(伝わってしまう)告白シーンなのです。
 普通の作品では、このようなセリフは面と向かって相手に伝えていくべきセリフですが、この作品のスゴイところは、このセリフを別な相手に向けた発言の中で言わせ、しかも、それを直接ではなく間接的に当事者の彼が聞いてしまうというところです。このような状況でこのような形をとることにより、大河の本当に大切な相手は竜児なんだ、本命の彼氏の前でも熱弁してしまうぐらい大きな存在になっているのだということを描けます。直接告白するのでは出せない効果が、このシーンにはあるのです。
 もう一つの方法としては、セリフではなく、「それ以外の方法」で相手に想いを伝えていくというものです。例えば手紙、メール、日記、歌、相手のために作ったもの(絵、料理、手作りのマフラー他)、横断幕で告白なんかをしても面白いと思います。そのキャラクターに合った方法を考えていきましょう。
 手紙や日記などの「書かれたもの」を使う場合は、そのまま渡すのではなく、その物の特性を利用した形で相手に伝わるようにしてみましょう。
 ネットで紹介されていた記事に、優しい彼から突然、ひどい言葉でフられた話が載っていました。なぜ彼がそんなことをしたのかというと、彼は病気で余命がほとんどなかったのです。だから、自分が死んだ後の彼女の幸せを願って、自分のことを早く忘れて新しい恋に踏み出せるようにわざとひどい言葉で一方的にフッたのです。そのことを彼女は、彼が亡くなった後の彼の病室のゴミ箱の中にあった彼の「日記」から知ります。そこには彼の、彼女に対する想いが書かれていたのです。
 この例のように、亡くなってから相手への思いが伝わる、偶然その「物」を手に入れるなど、ただ単に相手がそのことを知るというのではない方法で、相手に気持ちが伝わるように工夫してみましょう。また、この「物」に想いを込める方法は、ストーリーと関連させやすいという利点があります。キーアイテム、キーとなる出来事を設定し、それにちなんだ物や作品、方法を告白シーンに登場させることで、印象的な告白シーンを作っていきましょう。
 一方で、「行動」に想いを込めていっても告白シーンになります。相手のために何かをする、または何かしてくれた相手に恩返し、感謝を表す行動をさせることで、ありきたりではない、そのキャラクターならではの告白シーン作っていくことができるでしょう。

 

方法⑤好き以外の「気持ち」を描写して、主人公の「好きな気持ち」を描いていこう!

 告白シーンは、もちろん「相手を好き」という気持ちを表現し、また伝えていくシーンですが、好きという恋愛感情を、それ以外の感情を使って表していくことで、魅力的な告白シーンを作っていくことができます。
 好き以外の感情、たとえば「寂しい」「悲しい」「楽しい」「怒り」「悩み」「苦しみ」などの感情を描いても、描きようによっては、相手に対する好意、恋心を描いていくことができます。
 この別の感情で最も多く描かれるのが「照れ」の感情です。なんでもないような顔で、興味が無いふりをしていても、顔を赤らめて必死に照れているところを隠そうとしているところを描けば、じつは好きであるという好意を描いていくことができます。このように告白シーンで、直接的に好意を表現しなくても、照れて、恥ずかしがるところを描いていくならば、相手が好きであることをこれでもかというほど表現していくことができるのです。
 また、好きとは真逆の感情である「嫌い」の感情を使っても、相手を好きであることを表現することができます。
 ネットで紹介されていた実際にあった出来事なのですが、彼氏は、交際して三年経ったとき彼女から突然「好きな人ができた」と、詳しい理由も告げられずに一方的にフラれてしまいます。納得出来ないやら、悲しいやらで、彼氏は不幸のどん底に落ちていたのですが、ある日かかってきた彼女の妹からの電話によって事態は一変します。なんと彼女は、白血病にかかっていたのです。彼女は、彼氏と別れた直後に入院しました。彼の幸せを思うからこそ、治るかどうかもわからない、最悪死んでしまう自分と交際を続けさせないために、「男ができた」というウソの理由で彼をフッたのです。相手をフるという「嫌い」の感情を描き、嫌いという感情を描けば描くほど、相手の幸せを思う「好き」の感情を表現できるのです。
 このように、好きという感情を描かなくても、いや、好きという感情を描かない方が好きであることを表現できる場合が多くあるのです。「この感情を感じている、表しているのは、相手が好きだからだ」という告白シチュエーションをうまく設定して、一味違った告白シーンを作っていってみてください。

 

方法⑥「時間の流れ」を感じさせていこう!

 告白シーンを盛り上げる一つの手段として、長い時間の流れを感じさせる要素を入れ、その「長期間の出来事の結果、総決算が告白シーンで描かれる」というふうに構成していけば、大いに盛り上げていくことができます。
 実際にあった経験を小説化した『消しゴムをくれた女子を好きになった。』では、最後に告白するシーンでは、ラブレターを渡して告白する方法がとられていきますが、そのラブレターはただのラブレターではなく、中学生の時に主人公がヒロインに渡そうとしてヒロインの引っ越しのために渡せなかったラブレターなのです。主人公は、その時のラブレターをずっと取ってあったのです。この作品では、ヒロインの引っ越しによって中学生のときに離れ離れになった二人が、奇跡とも言える偶然で、高校時代、大学時代、社会人になってからと三回も運命的な再会を果たしていきます。そして、就職した会社での部下の姉がヒロインだったという最後の奇跡の再会したときに、主人公はその想いをヒロインに伝えていきます。そんな告白シーンで、中学生の時に書かれたラブレターを登場させることで、想いの強さ、ずっと想い続けていた時の流れを読者に感じさせることができ、告白シーンをドラマチックにしていくことができるのです。

 こんな感じで、単純にセリフで「好き」という以外の手段で想いが伝わるように工夫していけば、ありがちではない、印象的で魅力的な、読者の心にいつまでも残る素敵な告白シーンを作っていくことができるでしょう。

 

「奇跡」を起こして、告白シーンをドラマチックにしていこう!

 拙著『シーン書き込み式物語発想ノート』の126頁にもあるように、そのシーンをドラマチックにすることによって、そのシーンを何倍にも盛り上げていくことができます。
 具体的には場所、時間、状況をドラマチックにしていきます。
 またもう一つ、「奇跡」を使うと、告白シーンをドラマチックにすることができます。奇跡とは、「偶然」のことです。タイミングの良すぎる出来事を起こしていきます。偶然再会するとか、偶然うまくいくとか、偶然ドナーが見つかるなど「非常に稀な確率で起こる出来事」を描くことで、運命的、二人が恋に落ち、結ばれるのが必然、運命であるかのようなシーンの効果を出して、盛り上げていくことができるのです。

   
告白のシーンは、キャラクターを引き立たせる最良のシーン

 さて、告白シーンを思い浮かべていく上で忘れてはならないことは、告白シーンはキャラクターを「立てる」ためのシーンだということです。告白シーンのためにキャラクターがあるのではなく、キャラクターのために告白シーンがあるのです。告白シーンを考えていく場合、まずキャラクターがあり、そのキャラクターを引き立てるような告白シーンを考えていくようにします。
 その場合、キャラクターを引き立てる要素は、「独自性」と「意外性」の二つの要素です。
 まず、そのキャラクターならではの告白の仕方、セリフ、方法を、キャラクターの人柄、考え方、置かれた状況と照らし合わせながら考えていくようにします。
 その際に、とくに重要な要素が意外性です。意外性を出すには、次の二つのポイントがあります。

 ①ターゲットの読者層の常識、一般論から遠く離れた方法にする。

 ②キャラクターの人物像からは想像できないようなギャップを持つ方法にする。

 まず、意外性は、読者の考える一般的なイメージ、常識とは違う、かけ離れたものにすることによって作り出していくことができます。意外性が出れば出るほど、告白シーンは読者の心に残るものになっていきます。
 また、「告白シーンでそれまで隠されてきた要素を明らかにする」ことで意外性を出していくことができます。例えば、主人公の謎の行動があり、なぜそんなことをしたのか、何のためにしたのかがわからなかったのが、告白シーンでその真相が明らかになり、「それは実はヒロインのためだった」ということが明らかになれば、読者は物語の謎の解決と主人公のヒロインを想う気持ちをダブルで知っていき、魅力的な告白シーンを演出していくことができます。
 また、キャラクターの性格、人物像とは真逆の告白方法、セリフをとらせることによって、やはり印象的な告白シーンを作っていくことができます。
 この二つの要素は、読者に「驚き」を与える方法です。良い告白シーンには、この「驚き」の要素が不可欠です。読者を驚かせるような要素を描き、より良い魅力的な告白シーンを作っていってみましょう。


 では、最後に演習です。

【演習】

 自分の好きなラブストーリーの「告白シーン」を分析し、どのような方法で告白しているのかを調べてみましょう。
 また、好きな作品の告白シーンのセリフを書き出し、ストーリーとの関連性を探っていってみましょう。

参考:第7章 ラブストーリーをつくろう!

恋愛編■vol.01 作品を面白くするには、「恋愛要素」を加えよう!

恋愛編■vol.02 ラブストーリーを生み出す「三つのシーン」を作ろう!

恋愛編■vol.03 「出会いのシーン」から、すべてがはじまる!

恋愛編■vol.04 「秘密」を使って、「好きになる瞬間」を作ろう!

恋愛編■vol.05 「告白シーン」では、「好き」と言ってはいけない!?

恋愛編■vol.06 第四のシーン「ドキドキを感じるシーン」を思い浮かべていこう!

恋愛編■vol.07 物語の面白さの正体「セントラルクエスチョン」

恋愛編■vol.08 「恋の障害」を作ろう!

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