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2014年5月20日 (火)

■実践編vol.06 【創作コラム】 「独自性」があるということ

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意識して作品に「独自性」を持たせよう!

 デビューへの一番の近道は、作品に「独自性」を持たせるということです。
 独自性とは、「他と違う要素」「他の誰もやっていないこと」です。これが作品にあれば、その作品はクオリティ以上の評価を得ることができます。
 では、独自性をどう作り出し、どのように他と違う要素を作品に加えていけばいいのか、それに関しては、拙著『シーン書き込み式物語発想ノート』で詳しく解説してありますので、そちらを参照していただきたいのですが、
今回は、作品に独自性を持たせることの大切さについて、二つの興味深い例をご紹介したいと思います。

     

独自性の大切さを物語る例①『未来工業』

 岐阜県に「未来工業」という会社があります。
 この会社は工業製品を製造する工場なのですが、非常に珍しい、人によっては常識外れともいえるような経営方針を持ち、その経営方針によって同業他社の追随を許さないほどの利益を上げている会社として知られています。
 その経営方針の中でもとくに驚くのが、

 「日本ではじめての製品を作る」
 「他社と同じ製品はつくらない」
 「必ず他社の製品と差別化する」

 というものです。未来工業は、これらのことに徹底的にこだわって、大きな利益を上げています。
 未来工業の社長さんは、著書『日本一社員がしあわせな会社のヘンな〝きまり〟』の中で、

 「よそと同じものしかつくれないなら、それがどんなに儲かる製品とわかっていても発売しない」

 とまで言い切っています。
 さらに、

 「どんな条件下でも必ず差別化はできる」
 「技術のあるなしも関係ない、工夫できる余地はある」

 ということを貫き、その「他にはない」独自の工夫によって、未来工業はトップシェアを獲得し、今も大きな利益を上げ続けています。
 物語作りにおいても、これらの考え方は非常に役に立つものです。同じジャンルの他の作品と同じものは作らない、同じジャンルで勝負するときは、必ず自分の作品独自の要素を持たせる、必ず差別化できる、工夫できるという信念のもとに作品を作っていくならば、必ず独自の作品ができあがっていくでしょう。

独自性の持つ強さを物語る例②『四角家餃子本舗』

 また、独自性があるということは、非常に「強い」です。
 次の例は、独自性があることの強さを物語っています。
 香川県にある「四角家餃子本舗」は、誰も作ったことがない「四角い餃子」というものを売り出しました。
 通常丸い餃子の形を四角くしたもので、味自体はそんなに大きく、革新的というほどは変わっていません。(もちろん、おいしいですが)
 人によっては「なんだ、四角くしただけじゃないか」という方もいるかもしれません。
 しかし、餃子を四角くするという試みは、当時誰もやったことがなかったのです。考えた人はいるかもしれませんが、実際に商品として発売したのは、この「四角家餃子本舗」なのです。
 この四角い餃子は、形が四角いだけでも大きな注目を浴び、マスコミにも取り上げられ売上を伸ばしました。
 形が「四角い」から売上が伸びたのではなく、「他の誰もやったことがないことをやった」から売上が伸びたのです。
 「独自性がある」「他とは違う要素がある」ということは、それだけで圧倒的に「強い」のです。
 だからぜひ、この「独自性を持たせる」「他と差別化する」という二つの部分にぜひ強くこだわってください。
 はじめは難しいかもしれません。でも、いつもこれらを心に留め、取り組んでいくならば、後々この二つの要素はあなたの大きな力になってくれます。
 遠回りに見えても、デビューへのいちばんの近道は「誰も描いたことのない題材を描き、また他の作品との差別化する要素を入れる」ということなのです。

参考:第8章 作品をつくろう!

■実践編vol.06 創作コラム「独自性」があるということ

■実践編vol.07 「読者が主人公を好きになるシーン」からキャラクターを作るコツ

■実践編vol.08 「皮肉」のログラインから、シーンを発想していこう!

■実践編vol.09 「25の皮肉のパターン」と「皮肉のログラインPart2」

■実践編vol.10 ログラインは「主人公について書かれたもの」である!

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■実践編vol.12 クライマックスの面白さを生み出す「22の問題解決方法のパターン」

■実践編vol.13 創作コラム:人は「偶然」に憧れ、それを味わいたいと思っている

■実践編vol.14 「主人公の感情の変遷」こそがストーリー構成のカギを握る!

■実践編vol.15 『シン・ゴジラ』と『涼宮ハルヒ』の作り方は全く同じ!?  魅力的なキャラクターは、「登場する前」に立っている!

 

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コメント

興味深く拝見しております。
趣味の範囲ですが物語を書いている者です。
今回、独自性と王道についてお伺いしたくコメントしました。

私は奇抜なサスペンスが好きなので、よくネガティブなどんでん返しをストーリーに入れこみます。
しかしそれを家人に読んでもらうと、まさに「ココが嫌だ」と言われてしまいます。
特に副主人公的なキャラクターが死んでしまう展開を作ることが多く、そのたびに「なんで殺すの」と言われてしまいます。

ある日家人を満足させてやろうと、俗に言う「死亡フラグ」を3つくらい立てて物語を作ってみました。
すると家人のツッコミは入らない、どころか珍しく好評で「感動した」と言われました。

私も映画を観ていると「裏切られる気持ちよさ」と同じく「思ったとおりになる気持ちよさ」があることは知っているので、家人の気持ちも解らなくもないのですが・・
自分がありきたりな演出に逃げてしまったようでモヤモヤしています。

そこで、独自性の中の王道的要素について、特にキャラクターの死なせ方についてご教示いただけたらと思います。

項目の内容とズレているかもしれませんが・・
素人のレベルで大変恐縮ですが、
お時間のある時にでもお答えいただければ幸いです。

投稿: toyosaka | 2016年2月 6日 (土) 15時57分

コメントありがとうございます☆

「キャラクターの死なせ方」についてのご質問ということで、斬新なご質問に、さまざまなことを考える機会となりました。ありがとうございます。

でも、ご質問の件はとても難しいことですよね。キャラクターの「死」というのは、物語を作る上でとても複雑な事柄をはらんでいます。また、いざ殺せば「安易に殺すな!」と読者に怒られ、殺さないで「実は生きてました~」とやれば「ご都合主義だ!」とまた怒られちゃったり……、ほんと、難しいですよね。

そんなわけで、お答えになるかどうかわかりませんが、あくまで今現在ワタクシが思っていること、感じていることを書かせていただけたらと思います。

たとえば、なんの前触れも、前置きもなく、ただただラストを盛り上げるという意味だけで主要キャラが死ぬと、読者は拒否反応を示すかもしれません。その時の感想は、驚きではなく「だまされた」「裏切られた」に近いものなのかもしれません。

一方、そのキャラの死を予感させるような伏線、あるいは「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ」というようないわゆる死亡フラグを描いていくと、読者はその後の展開に対して、ありのままにその驚きや情感を味わい、物語を楽しんでいくことができるから不思議です。

要は「いかに殺すか」ではなく、伏線などを駆使してそのキャラの「死までのストーリーをどのように描いていくか」がポイントになるのかなと思います。

主要キャラクターの死を描く場合は、一度最後までストーリーのプロットやシナリオを書き上げたら、ストーリーを遡って、その死を予感させたり引き立てるようなセリフや行動、象徴的な出来事を入れた伏線を加えていくようにすると、うまくいくのではないかと思います。
そのキャラが死ぬシーンから逆算して、事前にどんなシーンを入れていけば効果的にストーリーを引き立てていけるかを考えていけばいいのではないでしょうか。

意外性を出すためのどんでん返し、サプライズ要素といえども、それを活かすには伏線が必要不可欠です。伏線があるからこそ、どんでんが機能するのです。読者を誤誘導させるミスリードと、読者に予感、ヒントを与える伏線の両方が揃って、はじめてどんでん返しでサプライズを演出していくことができるのです。

ちなみに、伏線があると、読者はストーリーにのめり込んでいくという効果があります。(逆を言うと、後の展開を予感させるような描写がまったくない作品というのは、のめり込めないのです)死亡フラグなども含めて伏線はありきたりな手法ではなく、面白い物語にはなくてはならない必須のテクニックなのです。

ところで、キャラクターの死を描く上で「この世の無常」「人生の悲しい皮肉」というものを描くうえで、突然の死はとても大きな効果があります。運命のいたずらといいますか、人生そんなうまくいくとは限らないよというような、そのような味わいです。
『鳥人戦隊ジェットマン』という作品の最終回をご存知でしょうか。くわしくはネットを見ていただきたいのですが、最終回で、悪者もやっつけて平和を取り戻したあと、意外な出来事、まさかというような出来事が起こります。共に戦った戦隊メンバーの仲間の結婚式に向かう戦隊メンバーの一人が、その途中でひったくり犯を捕まえるのですが、その際にひったくり犯からナイフで刺されて死んでしまうのです。どんな強敵たちにも負けなかったヒーローが、ナイフで刺されてあっけなく死んでしまうのです。
手塚治虫の名作『ブラックジャックの「ダーティー・ジャック」というエピソードでは、トンネルの崩落事故で瓦礫に閉じ込められてしまったブラックジャックと幼稚園バスに乗っていた保母さんと園児たちが、なんとか外部との連絡を取ることに成功し、医療器具や薬を得て、ついにみんなの命が助かる状況になるのですが、もうすぐ全員が助かるというところで、不意の火災から薬を守るために保母さんが命を犠牲にして亡くなってしまうのです。
現実にも、終戦の数日前に特攻隊として出撃して命を落とした若者が何人もいます。
ベトナム戦争をなんとか生き延びて帰ってきた兵士が、自分の家族が反戦運動を行っていて、すべてを犠牲にして戦ってきた自分は何だったのかと絶望し、自ら命を断ってしまった事例もあります。
人生とは、ときとしてこのような報われない、残酷なことがあこります。
こんな人生の無常、皮肉というものを描き、キャラクターの死を通して、大きな余韻と味わいを読後もたらすことができれば、そのキャラクターの死は読者の心にいつまでも残るものになるのではないでしょうか。
そんな物語を描けたらいいですね~。

投稿: 谷口剛司 | 2016年2月 6日 (土) 23時06分

迅速丁寧にご回答いただき本当にありがとうございます。
なんだか身がひきしまる思いでした。

>ミスリードと、読者に予感、ヒントを与える伏線の両方が揃って、はじめてどんでん返しでサプライズを演出していくことができるのです。

とのお言葉、自分がいざ書き手にまわると、難しいだけにおろそかになる部分です。
とくに「予感させる描写」についてはもっと研究が必要のように思います。

ジェットマンのような終わり方は客としてはとても好きな演出です。
が、「世の無常をあらわす死」というのはかなりハイレベルな手法のように思えて、今まで挑戦したことはありませんでした。
もっと勉強していつか描いてみたいです。

確かに、作品を通してお客さんに余韻と味わいを残したいですね・・
タイトルと同時に主要キャラクターの死が思い浮かぶような、そんなビックタイトルに匹敵するような物語をいつか描いてみたいです^^

重ね重ね、この度は誠にありがとうございました。

投稿: toyosaka | 2016年2月 8日 (月) 10時14分

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