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2014年5月 8日 (木)

■恋愛編vol.10 【ストーリーパターン②】 「《大嫌いなあいつ》と協力して問題を解決する」

Renaibana010

 

はじめは「天敵」、最後は「恋人」! 嫌いな者同士が協力する「皮肉」のラブストーリー 

 二つ目のラブストーリーのパターンは、「《大嫌いなあいつ》と協力して問題を解決する」です。
 これは、通常のストーリーに恋愛要素を加えていくときに有効なパターンで、「嫌いな人物同士が協力して問題解決に取り組み、その過程で互いのいいところに気づき、だんだん好きになっていく」というストーリーです。
 このパターンの読ませどころ、面白さのポイントは、「大嫌いなヤツと一緒に何かをやらなければいけない」という皮肉の面白さと、「大嫌いなやつを好きになってしまう」という主人公の変化と、その過程の面白さです。また、問題の解決というストーリー部分も、大きな読ませどころになります。
 ストーリー前半は、とにかく嫌なヤツと協力しなければいけない主人公のおかしさ、反目する二人、咬み合わない二人、うまくいかない問題解決、トラブルやアクシデントが二人を襲い、そのドタバタの面白さで読ませていきます。
 ストーリー後半は一転して、相手の異性の隠している秘密や本当の姿を垣間見て、相手の気持を知って同情したり、または相手から助けられて相手の良さを知ったりして、「嫌なヤツ」だったのが「いいヤツかも」に変わっていく二人の感情の変化や、それまでバラバラだった二人が一致し、二人の間に芽生える信頼感によってつながっていく過程で見せていきます。
 クライマックスでは、意外な解決方法による問題の解決、一発逆転の流れで読者にカタルシスを得させていき、ラストシーンでは、そんな二人の間に芽生える恋愛感情の行方で読ませていきます。

    

「大嫌い→好き」 数々の恋愛もので用いられる王道にして、基本のパターン

 この「はじめは大嫌いなヤツが最後には恋人になる」パターンは、ラブストーリーでは王道パターンとして広く用いられている、恋愛ものの基本的なストーリー展開です。
 これはシナリオ的には「アンチ」という技法で、物語の冒頭とラストは対になっており、冒頭の反対の状態がラストになるというものです。冒頭トラストを逆にすることで、二つの対比、ギャップ(落差)によってラストをより強調して描くことができます。落差があればあるほど、よりラストが引き立っていきます。また、物語は変化を描くものなので、冒頭とラストで物事が変化することで、メリハリの効いた豊かなストーリーを作っていきやすくなるのです。
 物語では、「相棒もの」というジャンルがあります。仕事のパートナーとして反対の性格の二人がコンビを組み、反発、対立しながらもだんだんと信頼関係を築いていき、最後には一致して問題を解決するというものです。このパターンの二人が同性同士であれば相棒ものとなり、異性同士で、最後に恋愛感情が芽生えればラブストーリーになるのです。両者は、同じものなのです。
 また、ドラマの作りやすさという面でも、二人の関係性が、「はじめから良好で、そのまま最後には恋人になる」というよりも、「はじめは最悪で、最後に仲直り、和解して恋人になる」という方が、ドラマが作りやすくなります。
 対立は、キャラクターを動かし、キャラクターに命を吹き込んでくれるのです。
 ケンカするほど仲がいい、互いに意識しあっているからこそ、二人は対立するのです。

     

このパターンは、ストーリー作品に恋愛要素を加える場合に最も有効なパターンである

 通常のストーリー作品に恋愛要素を加えていく場合、このパターンを用いるのが最も効率の良い方法です。
 つまり、恋に落ちていく過程が、そのまま問題を解決していく過程とリンクしているので、無理なく恋愛要素を作品にもたらしていくことができます。
 冒険もの、アクションもの、バトルもの、推理もの、部活動もの、職業もの、どんな作品にも応用することのできる汎用性の高いパターンです。
 ただ、その反面、ありがちなよくある展開になりやすいという側面もあるので、独自性のある舞台やモチーフ、状況設定を作るなどして、工夫していきましょう。

       

大変な状況、ピンチが二人を結びつける

 このパターンで、反発する二人を結びつけるものは、ズバリ「大きな問題」です。
 二人の前に、大変な、危機的状況が現れ、その問題に取り組みながら四苦八苦し、何とか解決しようとする「共通の体験」を二人が持つときに、二人の絆は強くなっていくのです。
 言葉を変えれば、これは「戦友」のような関係性です。
 このパターンは、二人が試行錯誤しながら一緒に苦楽を分かち合うことによって、二人が親しくなっていく物語です。対立する二人は、もっと大きな敵や問題に立ち向かうときに、その過程で結ばれていくのです。

     

このパターンを作るときのコツ、ポイント

 このパターンのを作るときには、以下のようなポイント、コツがあります。

◇このパターンに必要な登場人物
 (1)主人公(男性でも女性でもOK)
 (2)嫌い、嫌悪感を感じる異性

◇ストーリー展開の流れ
 ①主人公、とある異性と出会い、トラブルや誤解によってその異性のことを大嫌いになる。怒りを抱く。
 ②そんなときに何らかの問題が起こり、あろうことかその「大嫌いな異性」と一緒に協力して問題を解決しなければいけないハメになる。
 ③主人公と異性が一緒に問題を解決していく中で、普段は見えなかった相手の意外な一面や相手の良いところに気づき、誤解が解け、主人公の相手に対する思いが変わっていく。そして、相手との間に信頼関係が生まれる。
 ④主人公と異性、力を合わせて問題を解決する。
 ⑤最後には、主人公、大嫌いだった異性のことが好きになる。

◇セントラルクエスチョン
 このパターンを描くときは、以下のようなセントラルクエスチョンを描いていくことを心がけてストーリーを構成していきましょう。

 ①「問題は無事に解決するのか」
 ②「どんな方法で問題を解決するのか」
 ③「大嫌いな奴と協力できるのか、協力するのか、どうなっちゃうのか」
 ④「大嫌いな異性は、主人公のことをどう想っているのか」
 ⑤「大嫌いな異性と主人公の間で、恋は芽生えるのか」

 

ポイント① 悪印象を抱くような出会い方をさせる
 二人が出会うときは、できるだけ悪い形で出会わせ、互いに最悪の第一印象を与えるようにしていきます。
 そんな嫌いな相手を、だんだん好きになる変化がドラマとなります。

     

ポイント② 二人が「一緒に協力しなければならない状況」を作る
 嫌なヤツと無理やり協力しなければならないという皮肉の状況こそが、このパターンのいちばんの面白さです。
 そのためには、二人が協力しなければならない状況を作り出す必要があります。当然、二人は反発しているので、理由もなく二人が協力することはありません。二人が協力するためには、何らかのやむを得ない理由が必要になります。
 以下のような方法を参考にして、二人が協力する理由を設定してみてください。

 (1)二人に「共通の利害関係」が生じる。
 (2)二人に共通の「嫌疑」がかかる。(犯人、容疑者扱いされ、濡れ衣をはらさなければいけなくなる)
 (3)その問題を解決するように、二人が依頼、任命される。
 (4)協力できる相手がその相手しかいない。

      

ポイント③ 相手の魅力(意外な一面)に気づく瞬間を作る
 嫌いだった相手の意外な一面を知って、「案外いい奴かも……」と相手の良さに気づく瞬間を考えていきましょう。これによって相手を気に入っていきます。
 はじめに思い浮かべた「相手を好きになる瞬間のシーン」「相手の秘密」をここで描いていくようにしましょう。
 また、嫌いだった相手への感情が、好きに変化していくには、次のようなシーンを描いて、そのきっかけを作っていきましょう。

 (1)自分のことを顧みずに、助けてくれるシーン。
 (2)さりげなく慰め、励まし、元気づけてくれるシーン。
 (3)相手の優しさに気づくシーン。
 (4)傷ついた者同士、励まし合うシーン。

 ラブストーリーでは、相手を救う、助けることによって、二人に恋が芽生えていきます。
 このパターンでは、発生した事件を通して、相手の抱える悩みを解決し、問題から救い、助けていくように、ストーリーを展開させていきましょう。

    

 それでは、これらのパターンをストーリーのテンプレートとして、そこに自分の設定を当てはめて「《大嫌いなあいつ》と協力して問題を解決する」の物語を作ってみましょう。

参考:第8章 ラブストーリーのパターン

■恋愛編vol.09 パターン①「《かわいそうなあの娘》は、幸せになれるのか」

■恋愛編vol.10 パターン②「《大嫌いなあいつ》と協力して問題を解決する

■恋愛編vol.11 パターン③「モテない男が美女と恋仲になる」

■恋愛編vol.12 パターン④「恋人の命と世界の平和、どっちか選べ」

■恋愛編vol.13 パターン⑤「恋人は不治の病」

■恋愛編vol.14 パターン⑥「どっちの相手とくっつくのか? 誰を選ぶのか?」

■恋愛編vol.15パターン⑦「偽物の恋が、本物の恋になっていく」

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