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2014年6月 6日 (金)

■実践編vol.07 「読者が主人公を好きになるシーン」からキャラクターを作るコツ

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「読者が主人公を好きになるシーン」からキャラをつくろうとすると、「善人」しかできない!?

 本ブログで筆者が提唱している物語創作法には、「シーンから作る」と「セントラルクエスチョンから作る」という二つの方法があります。
 物語で最も 重要な要素はキャラクターなのですが、キャラクターから物語を作ろうとすると多くの人が挫折します。そこで用いるのが「シーンから作る」方法です。まず シーンを思い浮かべて、そのシーンの人物の行動やセリフを「きっかけ」として、その人物の性格、人となりを想像していくことから、キャラクターを作ってい きます。そうすると、比較的容易にキャラクターが生まれてきます。
 そして、主人公を作る際には、「読者が主人公を好きになってしまうような行動を主人公がしているシーン」を思い浮かべて、そのシーンから主人公のキャラクター、人間性を想像していくと、必ず「読者が好きになってくれるキャラクター」ができあがるという寸法です。
  では「読者が主人公を好きになってしまうような行動を主人公がしているシーン」とはどんなシーンなのか、その答えは、ざっくりと申し上げると「誰かのために、何かをやっているシーン」というこ とになります。

(詳しくは拙著『シーン書き込み式物語発想 ノート』の中で、そのシーンの概要と作り方などを解説しているのでそちらを参照してください。)

 誰かのために何かをやっていれば、読者の共感も得られ、主人公の人間性の魅力も生れ、「こいつイイヤツだな」と読者が好きになってくれる キャラクターができていきます。
 しかし、ここで人によっては、次のような一つの疑問が生じます。

「確かに、その方法なら読者が共感してくれるようなキャラクターが作れるだろう。でも、この方法だと、『善人』しかつくれなくない? ワンパターンなキャラしか作れなくない?」

 今回は、この疑問について答えていきたいと思います。
 「読者が主人公を好きになるシーン」から、様々なキャラクターを作るコツについて、ともに学んでいきましょう。

     

「読者が主人公を好きになるシーン」とは、ズバリ「ギャップ要素」である!

 ここで、さきほどの疑問の答えを申し上げます。
 この「読者が主人公を好きになるシーン」とは、キャラクターの「意外な一面として表れるキャラクターのギャップ要素」なのです。
 このシーンから、そのままストレートに人間性を想像していけば、善人、聖人君子という性格、人柄のキャラクターしか生れません。当然です、そういうシーンなのですから。また、そういうキャラクターを作りたい場合は、そのままストレートに作っていきましょう。
  しかし、このシーンをキャラクターの持つ普段は見せない意外な一面、いざっていうときに見せる行動、セリフ、「じつはこんなヤツなんだ」という面が表れた 「ギャップのシーン」なんだと考えていけば、そのシーンとは逆の普段の姿、「そんなことを全くしなさそうな人物像」が浮かんできます。シーンとは逆の人物 を想像していくのです。
 たとえば、「ごく普通の人」とか「チャラ男」、「ずる賢いヤツ」、極端な例だと「ヤンキー」、「悪人」、「ギャング」などです。こんな人物が、「誰かのために、何かをやる」のです。たとえば、「チャラ男が、地味でモテない女の子の恋の成就のために一肌脱ぐ」とか、「暴走族たちが、急に産気づいて倒れている妊婦さんを発見し、改造車両で病院まで送り届ける」というように、意外な人がそれをやるからいいのです。だからこそ、キャラクターが面白くなり、魅力的なるのです。
 まとめると、

 ①「読者が主人公を好きになるシーン」を意外な一面として思い浮かべる。
 ②「読者が主人公を好きになるシーン」から、それとは反対の、そんなことしそうもない人物を思い浮かべる。その人物の普段の生活を思い浮かべる。

 このような手順で、発想していくと、善人ではないキャラクターを作っていくことができます。

 繰り返しますが、「読者が主人公を好きになるシーン」とは、意外な一面なのです。普段の姿ではない、いざってときの姿なのです。いざってときに、 誰もできないようなことをするからこそ、自分を捨てて誰かのために尽くすからこそ、読者はそのキャラクターを好きになってくれるのです。普段の、全く逆の 姿があるからこそ、このシーンが効いてくるのです。
 読者は「普段の姿」と「読者が主人公を好きになるシーン」の姿をセットで好きになっていくのです。
 このようにギャップとして捉えれば、悪人だろうが、極悪人だろうが人間性豊かな、幅広い、様々なキャラクターを作っていくことができるのです。

     

「弱さ」こそ人間である証拠、「不完全さ」こそ人間である証、人はそれらを乗り越えようとするときに成長していく

 キャラクターに人間味を与える要素、キャラクターを人間たらしめている要素は「弱さ、不完全さ」です。
 完全無欠のキャラクターは、全く面白味がないばかりか、読者が感情移入するのが難しくなります。
 主人公というと、何でもできるスーパーマンのようなキャラクターを思い浮かべるかもしれませんが、「読者が主人公を好きになるシーン」を通してそのようなキャラクターを作ろうとするかもしれませんが、それだけでは主人公は魅力的にはならないのです。
 主人公を魅力的にし、親しみを与えるのは「弱さ、不完全さ」なのです。
  魅力的で、多くのファンに愛されている主人公には、かならず弱さや不完全さ、悩みや苦しみといった要素が加えられています。マンガ『るろうに剣心』で、作 中で最強の強さを誇る主人公・緋村剣心でさえ、「人斬り」だった過去、拭い去れない罪の意識という悩み、苦しみを抱えているのです。
 そして読者は、そこに感情移入するのです。
 誰もできないようなことを成し遂げるすごさと、人間としての弱さ、不完全さの両方が揃うとき、真に魅力的な、愛されるキャラクターが生れるのです。
 弱さや苦しみ、悩みを持ちながらも精一杯前へ進み、苦しむ人のために尽くす主人公を見るときに、読者はその主人公の生き様に魅了されていくでしょう。

参考:第8章 作品をつくろう!

■実践編vol.06 創作コラム「独自性」があるということ

■実践編vol.07 「読者が主人公を好きになるシーン」からキャラクターを作るコツ

■実践編vol.08 「皮肉」のログラインから、シーンを発想していこう!

■実践編vol.09 「25の皮肉のパターン」と「皮肉のログラインPart2」

■実践編vol.10 ログラインは「主人公について書かれたもの」である!

■実践編vol.11 物語はどこから作る!? キャラクターの「職業と目的」が決まれば、ストーリーも設定も自動的に決まる!

■実践編vol.12 クライマックスの面白さを生み出す「22の問題解決方法のパターン」

■実践編vol.13 創作コラム:人は「偶然」に憧れ、それを味わいたいと思っている

■実践編vol.14 「主人公の感情の変遷」こそがストーリー構成のカギを握る!

■実践編vol.15 『シン・ゴジラ』と『涼宮ハルヒ』の作り方は全く同じ!?  魅力的なキャラクターは、「登場する前」に立っている!

 

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