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2014年6月 6日 (金)

■恋愛編vol.14 【ストーリーパターン⑥】 「どっちの相手とくっつくのか? 誰を選ぶのか?」

Renaibana014     

主人公が「二人の異性の間で揺れ動く」葛藤のラブストーリー

 次のパターンは、「どっちの相手とくっつくのか? 誰を選ぶのか?」です。
 これは非常にオーソドックスなラブストーリーのパターンであり、「主人公が二人の異性から好意を持たれ、最終的にどちらの相手と恋が実るのか」という展開で見せていく物語です。
 このパターンのポイントは、主人公にアプローチしてくる二人の異性は、タイプは違えど「同じぐらい魅力的である」という点です。
 二人のうち、どちらかが魅力の面で勝っていれば、主人公はその勝っている方を選んでいくのですが、二人の異性はそれぞれに魅力的なところがあり、それぞれの良さがあり、甲乙つけがたいぐらいどちらも素敵なので、主人公は悩み、二人の異性の間で揺れ動いていくのです。このパターンの読ませどころは、その二人の間で揺れ動く主人公なのです。
 そんな状況を読者は、「はたして主人公はどちらの異性を選ぶのか」と興味津々で見守っていくのです。
 その意味では、このパターンも「葛藤」を軸にしたストーリーということになります。

    

「本命」と「恋のライバル」、多くの物語に応用できる汎用度の高い優れた基本パターン

 このパターンは、どんなジャンルのストーリーにも組み込んでいける汎用度の高い優れたストーリーパターンです。ファンタジーでも、SFでも、職業ものでも、宇宙戦艦ものであっても、二人の異性を登場させ、主人公がその二人から好意を持たれれば、「どちらとくっつくのか」というセントラルクエスチョンで物語を引っぱっていくことができます。このパターンは、単独で使うよりも普通のストーリーを盛り上げる手段として組み合わせて使っていくほうが効果を発揮する方法です。
 ストーリー作品に組み込む場合は、一方を「本命」、もう一方をその「恋のライバル」としていくと、より主人公がどちらを選ぶのかという興味を盛り上げていくことができます。主人公は本命の相手がいながら、別の魅力的な異性からも好意を持たれ、心が傾いていくという展開は、恋愛ものでの定番のシチュエーションです。また、明確に「本命」という形で描かなくても、古くからの馴染みと、新しいクラスで出会った異性という形で、恋のライバル関係を形成することができます。
 多くの作品に恋愛要素が組み込まれているライトノベルでは、このパターンが作品を盛り上げる手段として広く活用されています。主人公に対して、二人の異性を配置するという形でこのパターンが使われています。
 たとえば『〝文学少女〟シリーズ』でも主人公・井上心葉に対して、同じ部活の一年先輩のヒロイン①・天野遠子、部活は別だが同じ学年、クラスのヒロイン②・琴吹ななせの二人が配置されています。この作品では、読者は、シリーズの最後まで主人公・心葉が「遠子先輩」か「ななせ」のどちらとくっつくのかということについてドギマギさせられていました。(最終的にどちらとくっついたのかは、ぜひ本編を読んで確かめてみてください)
 また、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』では、主人公・比企谷八幡に対して、同じ部活で似たもの同士、同学年でクラスが別のヒロイン①・雪ノ下雪乃と、同じく部活のメンバーで学年もクラスも同じヒロイン②・由比ヶ浜結衣の二人のヒロインが配置されています。この作品は、シリーズがまだ中盤ですが、主人公がどちらのヒロインとくっつくのか、それともどちらともくっつかず「ぼっち」のままなのかと、読者をヤキモキさせてくれます。
 このように、シリーズものでも、メインのストーリーに加えて、「どちらのヒロインとくっつくのか」というセントラルクエスチョンがあれば、長く、シリーズの最後まで読者の興味を引っぱっていくことができます。
 別の例として、ゲーム『ドラゴンクエストⅤ天空の花嫁』では、主人公が冒険の途中で「結婚をする」というイベントが存在しています。その際も、相手は二人、主人公が小さい頃から一緒に遊び、冒険してきた幼馴染みのビアンカと、お金持ちの娘で結婚すると様々なアイテムをもらえたり特典がある素敵な女性フローラです。また、リメイクされた最新版では、もう一人、高飛車な女王様タイプのデボラが花嫁候補として加わります。主人公であるプレヤーは、この中から悩みながら一人を選んでいくのです。
 一人の主人公に対して、二人以上の複数の異性を配置して主人公に好意を寄せさせれば、どんなジャンルの、どんなストーリーでも、このパターンを作っていくことができます。
 さらに、このパターンの作品の特徴として、読者が次のような傾向を持つことが多いということを申し添えておきます。それは、

 (1)読者は、主人公が「『本命』の異性を選ぶ」ことを望むことが多い。
 (2)恋のライバルは、単なる「おじゃま虫」として捉えられることが多い。

 読者の感情として、当然ながらやはり馴染みの深い本命の相手とうまくいってほしいと思うものなのです。そして、もう一人の異性である恋のライバルの立ち位置のヒロインは「おじゃま虫」であり、主人公がそいつとどうかくっつかないようにと祈るような気持ちで作品を読んでいくことが多いのです。
 ただ、恋のライバルの人間性を魅力的なものとして、勝ち目の薄い恋でも果敢にチャレンジする人物として描いていくことで、読者が共感できるキャラクターとして成長させていくことができます。それに加えて、主人公と接する機会を増やし、一緒に危機を乗り越えるなどの体験をさせていけば、主人公と一緒に読者の心も揺れ動いていき、「どちらとくっついてもふさわしい、さて主人公はどちらを選ぶ?」というセントラルクエスチョンを強固なものにしていくことができるのです。
 その意味では、このパターンは、より長編やシリーズものに適したパターンであると言えます。

     

このパターンを作るときのコツ、ポイント

 このパターンのを作るときには、以下のようなポイント、コツがあります。

◇このパターンに必要な登場人物
 (1)主人公(男性、女性どちらでも)
 (2)素敵な異性1
 (3)素敵な異性2

◇ストーリー展開の流れ
 ①主人公、一人の異性と出会い、親しくなる。
 ②そんなとき、主人公、もう一人の別の異性と出会い、親しくなる。
 ③主人公、二人の異性から恋のアプローチを受ける。
 ④主人公、あるときはあちらに、あるときはそちらにと二人の異性の間を揺れ動く。
 ⑤主人公、最終的にどちらか一方の異性を選ぶ。

◇セントラルクエスチョン
 このパターンを描くときは、以下のようなセントラルクエスチョンを描いていくことを心がけてストーリーを構成していきましょう。
 ①「主人公は、どちらの異性を選ぶのか」
 または、
 ②「主人公はちゃんと『本命』とくっつくよね、まさか『ライバル』の方とくっつかないよね」

 

ポイント① 二人の異性の描き方「正反対の魅力を持つ二人」
 はじめにも書きましたが、このパターにおいて主人公に好意を寄せる二人の異性を描く際には、「二人とも同じぐらい魅力的に描いていく」ということが大きなポイントになっていきます。
 その場合、二人には「正反対の魅力」を持たせるとうまくいきます。たとえば、一方はワイルドで男らしいスポーツマン、もう一方は優しく知的な男性、あるいは一方はクールな知的キャラ、もう一方はおバカだけど純粋で素直な憎めないキャラ、といった感じです。そして主人公は、それぞれ別な魅力を持つ二人のことを「両方好き」になるのです。だから迷い、葛藤するのです。このように、葛藤がなければこのパターンは面白くなりません。
 また、「二人の異性の関係性」も、このパターンを面白くしていくポイントになります。
 対立させてもいいですが、二人が親しいほうがより面白くなる場合が多いです。友達同士とか、チームメイト同士とか、先輩後輩同士など、対立していない相手と恋のライバル関係になる方が、「三角関係」によって異性側にも葛藤が生まれて、面白くなっていきます。
 関係性に関連して、異性を登場させ、主人公と出会わせるときには、次のような様々なパターンが考えられます。

 (1)主人公と本命の異性が親しくしている(まだ恋人ではない)中で、もう一人素敵な異性が現れ、恋のアプローチを受ける。
 (2)主人公と二人の異性、また「友だち」の関係だったのが、二人から恋のアプローチを受けはじめる。
 (3)主人公と異性は恋人同士、そこに素敵な別の異性が現れ、主人公の心が別な異性に傾いていく。

 このような感じで、それぞれのキャラクターや見せ方、メインのストーリーとの絡み方を考慮しながら、二人の異性の魅力とその関係性、主人公と二人の出会い方を設定していってみてください。

    

ポイント② 最後まで勝負をつけない! 「もしや……」という可能性を残しておこう
 このパターンを描く場合、作者が「こっちとくっつける」という明確な考えを持っている場合でも、作中では最後まで、その明確な結論を急がないようにしましょう。「どちらとくっつくかわからない」という状態に読者を置いておくことが、このパターンを書いていくポイントです。
 そのためには、一方のみと親しくするシーンを書くだけでなく、もう一方の異性とも親しくするシーンを同じくらいの比率で加えていくようにしましょう。
 勝負がすでに決まっている中で、二人の異性との恋を描いていくのは、読者にも飽きられてしまいますし、キャラクター的にもかわいそうです。
 しかし、最後に大逆転して、まさかの「恋のライバルと主人公がくっつく」というラストの場合のみ、明確に恋の決着がついている状態でストーリーを進めた方が、面白くなります。
 でも、それ以外、「どちらとくっつくのか」で読者を引っぱりたい場合は、「もしや……」という可能性を残したまま、主人公のその都度心変わりをする様を描写していくようにしましょう。

 

 それでは、これらのパターンをストーリーのテンプレートとして、またはメインのストーリーを持つ物語を盛り上げる恋愛要素として、そこに自分の設定を当てはめて「どっちの相手とくっつくのか? 誰を選ぶのか?」の物語を作ってみましょう。

参考:第8章 ラブストーリーのパターン

■恋愛編vol.09 パターン①「《かわいそうなあの娘》は、幸せになれるのか」

■恋愛編vol.10 パターン②「《大嫌いなあいつ》と協力して問題を解決する

■恋愛編vol.11 パターン③「モテない男が美女と恋仲になる」

■恋愛編vol.12 パターン④「恋人の命と世界の平和、どっちか選べ」

■恋愛編vol.13 パターン⑤「恋人は不治の病」

■恋愛編vol.14 パターン⑥「どっちの相手とくっつくのか? 誰を選ぶのか?」

■恋愛編vol.15パターン⑦「偽物の恋が、本物の恋になっていく」

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