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2014年6月 6日 (金)

■恋愛編vol.15 【ストーリーパターン⑦】 「偽物の恋が、本物の恋になっていく」

Renaibana015     

恋人のふりを「しなければいけない」、皮肉からはじまるドタバタラブコメストーリー

 このパターンは、「好きでも何でもない相手と、何らかの事情で《偽物の恋人関係》を演じなければならなくなり、その過程でだんだんと二人が惹かれていき、いつしかその仮の恋愛関係が本当の恋に変わっていく」というストーリーです。
 このパターンは、「好きでもない相手と恋人のふりをする」という皮肉の面白さによって読ませていく物語です。
 互いに反発しながら他人の前では仲良くしなければいけない、二人の恋が偽物であることを周囲に悟られてはいけないというドタバタが、このパターンのいちばんの魅力となります。
 また、読者は、「はじめは偽物だった恋が、本物の恋に変わっていく」という二人の心の変化、その過程を楽しんでいきます。

          

「偽物の恋人関係」を作ろう!

 このパターンを考えていく上で最も大切なことは、「偽物の恋人関係」をどのように設定していくかです。
 この設定は、何らかの事情があって「恋人のふり」をしなければいけないという「理由」を考えていくことからはじめていきましょう。以下のような状況をヒントに考えてみてください。

 ①二人が恋人のふりをしないと「何かが失われる」。(それを失わないためには、二人は恋人のふりをしなければいけない)
 ②他者(親や会社など)が結んだ契約や取引により、二人が恋人にならなければいけない。(会社が融資を受けるには、先方の社長の息子(会ったこともない人物)の恋人にならなければいけない)
 ③縁談、交際を断る理由として、恋人のふりをする。
 ④見栄を張って、恋人がいないのに「いる!」と言ってしまい、そのつじつま合わせのために恋人役を頼まれる。
 ⑤親が勝手に決めた許嫁同士。
 ⑥無理やりさせられた政略結婚のお見合い。
 ⑦弱みを握られ、むりやり恋人にさせられる。
 ⑧「期間限定」で恋人になる。

 ……などです。こんな感じで、事情により恋人のふりをしていた二人が、最後には本当の恋人になっていきます。
 ということで、これらのパターンを利用、応用してバリエーションを変えてさまざまな「恋人のふりをしなければいけない理由」を考えていってみてください。

     

このパターンで作られている参考作品『ニセコイ』『サマーウォーズ』

 このパターンで作られた作品で最もわかりやすいものは、作品のタイトルにもなっている『ニセコイ』です。『ニセコイ』は、ヤクザの家に生まれた主人公とギャングの家に生まれたヒロインが、「互いの家同士の抗争を防ぐために恋人のふりをしていく」という作品です。
 最初はしょうがなくはじめた偽物の恋愛関係でしたが、頻発するさまざまな問題を二人で協力して乗り切っていくとき、そのときに示される「打算なきやさしさ」によって、ヒロインはいつしか主人公に惹かれていき、本当の恋に変わっていきます。
 さらに、この作品では、次々に現れる「恋のライバル」にヤキモチを焼くヒロイン、自覚していない恋愛感情、ドキドキなど、偽物の恋が本物に変わっていく過程を楽しむことができます。
 また、ラブストーリーではありませんが、映画『サマーウォーズ』では、主人公が、女子の先輩の彼氏のふりをするところから物語がはじまっていきます。このように、ストーリー作品に恋愛要素を加えていく際に用いていくこともできるパターンです。

     

「バレちゃいけない!」偽物の恋人関係という「二人だけの秘密」が二人の距離を近づける!

 このパターンならではの面白さとして「二人の偽の恋人関係は周囲にバレてはいけない」という要素があります。二人は、何らかの問題を起こさないために恋人を演じているので、それがバレたら問題が起きてしまうので、絶対に周囲にバレてはいけません。このことは、周囲の誰も知らない「二人だけの秘密」となり、二人はその「秘密を共有する関係」となります。このような「共闘、協力関係」は「二人の距離を縮めていく」効果があります。二人だけしかわからない悩み、苦しみ、事情、そして二人だけの喜びを感じ、分かち合っていくときに、本当の恋愛感情が芽生えていきます。
 また、この「周囲にはバレてはいけない」というシチュエーションは、ドタバタのコメディー要素を生み出してくれる働きもあります。バレるかばれないかのきわどさ、一生懸命好きでもない二人が恋人のふりをしなければいけないおかしさ、皮肉がこのパターンの面白さの一番のポイントになります。

     

このパターンを作るときのコツ、ポイント

 このパターンのを作るときには、以下のようなポイント、コツがあります。

◇このパターンに必要な登場人物
 (1)主人公(男性、女性どちらでも)
 (2)偽物の恋人関係を結ぶ異性   

◇ストーリー展開の流れ
 ①主人公と異性、恋人のふりをしなければいけなくなる。
 ②主人公と異性、人の前で恋人を演じていく。
 ③異性、主人公が困っているときや悩んでいるときに助けてくれて、それによって二人の間に信頼関係が生じていき、だんだんと惹かれ合っていく。
 ④主人公と異性、最後には恋人のふりが、本当の恋愛に変わる。
 ※恋人のふりの期間が限定されている場合は、期間が終わるときに告白がなされ、本当の恋人関係に移行する。 

◇セントラルクエスチョン
 このパターンを描くときは、以下のようなセントラルクエスチョンを描いていくことを心がけてストーリーを構成していきましょう。
 ①「主人公は、どうなるのか」
 ②「主人公と異性の偽物の恋人関係はバレるか、バレないか」
 ②「主人公と異性の仮の恋は、本物の恋になるのか」

ポイント① 好きになる瞬間は「やさしさ」で!
 このパターンは、「無理やりさせられる仮、ウソの恋愛」から「本当に好きになってしまう」ことへ変化していくラブストーリーです。このパターンで注意することは、何の理由もなく本物の恋人関係に移行させてはいけないということです。なんとなく好きになっていっては、このパターンの面白さを生かしていくことはできません。必ず、本当の恋に変わっていく「きっかけ」が必要となります。
 では、どのように変化していくのでしょうか。
 その変化のきっかけは、意外な一面として垣間見える「相手のやさしさ」です。
 恋人のふりをするのは大変です。当然、一筋縄ではいかないことが起きたり、落ち込んだりするようなことも起きていきます。ヤバいピンチももちろん発生します。そんな問題が起きたときに、無理やり恋人をやらされているはずの、好きでもなんでもない相手が自分を思いやってくれ、自らを犠牲にして助けてくれたり、本当の恋人以上に尽くしてくれるのを見るときに、偽物の恋は本物の恋に変わっていくのです。
 偽物の恋人だからこそ、そこで示されるやさしさは、計算でも打算でもなく、下心もない純粋なやさしさなのです。

     
ポイント② はじめは、あくまで「好きではない」という体で!

 このパターンのラブストーリーをはじめるにあたって、最も避けなければいけないことは「相思相愛」であることをおおっぴらに描くということです。
 このパターンで偽物の恋人関係を演じるにあたっては、以下のような2つのバリエーションがあります。

 ①お互いまったく知らない、好きでも何でもない者同士による恋人のふり。
 ②片方が恋愛感情を持つ、恋人のふり。
 ③両方が好きであるにもかかわらず、それを表に出せない状況での恋人のふり。

 ①はもちろんですが、②、③であっても、ストレートに相手のことが好きであることを描写しないように注意していきましょう。
 ②の場合は、好きな相手にあえてキツくあたったり、冷たくあしらったりするなどして恋愛感情を隠していきましょう。
 ③の場合も、好きなのに素直になれず反発してしまうというように描写していきましょう。相手がどう思っているかは、不明、もしくは嫌い、敵対しているというようなところからはじめていくようにしましょう。

     

ポイント③ 「もしかしたら好き……なの?」という、好きであることを匂わせる描写を入れていこう
 このパターンは、まずは二人が嫌い、または互いに無関心な状態から恋人のふりをはじめていくわけですが、途中で、「もしかしたら好きなの?」と思ってしまうような、好きであることを匂わせる描写を入れていくことがポイントです。
 恋人のふり、ということで恋愛感情はないという状況の中で示される好きかもしれない描写は、ラブストーリーを大いに盛り上げてくれます..
 また、互いに好きなのに恋人のふりをする場合は、「相手の好意が判明する機会」というものを作って、そこで互いに好きだったということがわかっていくようにしていきましょう。

 

 それでは、これらのパターンをストーリーのテンプレートとして、またはメインのストーリーを持つ物語を盛り上げる恋愛要素として、そこに自分の設定を当てはめて「偽物の恋が、本物の恋になっていく」の物語を作ってみましょう。

参考:第8章 ラブストーリーのパターン

■恋愛編vol.09 パターン①「《かわいそうなあの娘》は、幸せになれるのか」

■恋愛編vol.10 パターン②「《大嫌いなあいつ》と協力して問題を解決する

■恋愛編vol.11 パターン③「モテない男が美女と恋仲になる」

■恋愛編vol.12 パターン④「恋人の命と世界の平和、どっちか選べ」

■恋愛編vol.13 パターン⑤「恋人は不治の病」

■恋愛編vol.14 パターン⑥「どっちの相手とくっつくのか? 誰を選ぶのか?」

■恋愛編vol.15パターン⑦「偽物の恋が、本物の恋になっていく」

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