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2016年2月16日 (火)

■実践編vol.13 【創作コラム】人は「偶然」に憧れ、それを味わいたいと思っている

 

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あなたの物語に「偶然」は足りてますか?

 自分の作っている物語がいまいち盛り上がらない、キャラクターもちゃんと作り、しっかりプロットも考えたのになんだか面白くない、というかなんかワクワクしない、高揚しない……、そんなことを感じたことはありませんか。もしかしたらその原因は、物語に「偶然」が足りないせいかもしれません。
 物語、とくにフィクションの醍醐味の一つは、なんといっても奇跡的なタイミングで起きる「偶然」です。いつもの生活が、偶然出会った人、偶然起こった出来事によって一変していく、毎日代わり映えしない生活を送っていると感じている多くの読者は、そのような「偶然性」を物語に求めています。読者は、ストーリーの中でトントントンと次から次へと繰り広げられていく「偶然」に心を踊らせ、「素敵な偶然」「意外な偶然」、そんな「非日常」を味わいたいと思っています。
 もし、ストーリーがいまいち盛り上がらないと感じているなら、この「偶然性」の要素を加え、強化してみてください。

 

フィクションが盛り上がるかは「ライブ感」で決まる!

 フィクションを描く上でのコツは、いかに「ライブ感」を出せるかにかかっています。ライブ感とは台本ではなく、「アドリブ満載の生放送」だということです。
 そのストーリーの出来事があたかも台本にそっているかのごとく進行していると感じるストーリーほど、興ざめしてしまうものはありません。一瞬でも作りものであることを読者に感じさせてしまったら、どんなにがんばっても読者を作品に没頭させることは難しくなってしまいます。だからこそ、「偶然」がポイントになってきます。ストーリーの中でほとんど多くの出来事が突発的に、偶然に起き、あたかも全く予定していなかった出来事に登場人物が翻弄され、アドリブで対応していかなければいけなくなる、といったようにその場その場で当意即妙、臨機応変に対処していっている様を描くようにすると、台本ではなく、ライブ感あふれる「生のドラマ」を演出していくことができるのです。
 そんなライブ感を出す意味でも、「偶然」は物語において大きな効果を発揮してくれることでしょう。

 

読者は「偶然」に憧れを持ち、「偶然」が起こる物語を読みたいと思っている

 平凡な生活をしている人でも、非凡な環境(大金持ちとか有名人とか)で生活している人でも、私たち人間はいつもと違うことが起きると、なんだかワクワクしてきます。しかも、それがすごいタイミングで起きた場合、ワクワクは頂点に達していきます。さらに、それが素敵な異性との出会いだったりなんかしたらもう大変です。「この人こそ私の(僕の)運命の人なんだ……」と思ってしまいます。ただ「偶然出会った」というだけで。そのくらい、偶然というものは、日常生活における非日常、つまり「特別なもの」を感じさせてくれる要素なのです。
 私たちは人生において、この奇跡的な偶然を何度か経験します。たとえば、何の気なしに本屋に入って、たまたま手にとった本に今自分が思い悩んでいた問題の答えとなる記述があったり、北海道に住んでる人と沖縄に住んでる人がたまたま東京に来た時に出会って恋に落ちたり、難病に苦しんでいる友達を元気づけようとたまたまその日に電話をしたら、まさにそのときその友達が自ら命を絶とうとしていて、電話に出て話すことでその自殺を思いとどまった……というような、まさに「偶然」としか思えないようなことが起こります。また、そのような特別なことでなくても、私たちが毎日すれ違う人々は、そのタイミングでしか合うことができない人々です。たとえ平凡であれ、つまらない日常であれ、今日という一日はもう永遠に戻ってこない特別な一日だといえます。それを考えると、月並みですが「この世では偶然はない、すべてが必然なのだ」ということを静かに実感します。
 物語では、この「偶然」に意味を持たせることによって、その偶然のできごとによって、こんな出会いがあった、こんないいことがあった、こんなことに気づけたというような形で偶然を演出していくことによって、ストーリーを盛り上げていくことができます。偶然に意味を持たせるとは、その偶然起きた出来事によって、問題が解決するきっかけになったり、人生が大きく変わったり、いい結果につながったりといったようなその偶然の出来事がその後に大きな影響をもたらすようにしていくということです。

 

あり得ない奇跡的なタイミングで出来事を起こしてみよう

 偶然をストーリーに取り入れる手段としては、
 「あり得ないくらいの稀な、奇跡的なタイミング」で何かを起こしてみてください。その時、その場所、その時のその人の状態、そのタイミングで出来事を起こしていくと、この偶然を描くことができます。とくに偶然は、

 ・ファーストシーン
 ・キャラクターの出会い
 ・事件、問題の発生
 ・問題の解決

といったシーンにおいて描いていくと、物語を盛り上げる効果が働いていきます。たとえば、

 「たまたま出会った」
 「たまたま居合わせた」
 「たまたまやったことが大事件を引き起こしてしまった」
 「たまたまうまくいった」
 「たまたまタイミングが合った」
 「偶然目にした、まったく関係ないことから解決のヒントを得る」

……など、後から「そのタイミングでしか成立しなかった」ということがわかっていくと、なおのこと物語を盛り上げていくことができます。
 また、偶然の一種として「失敗」を描いても盛り上がっていきます。しかも、「その失敗があったおかげで、結果うまくいった」「予定していたことをたまたま、またはやむを得ない事情で変更したら、結果それが大正解だった、みんなを救うことになった」というように偶然性を演出すれば、より一層物語を盛り上げていくことができます。ストーリーでは、登場キャラクターたちが予定、想定していたことから離れていけばいくほど面白さは増していきます。それが物語を盛り上げていくポイントです。
 これらのシーン以外でも、物語のほとんどのシーンで偶然の要素を描いてみましょう。すべてのできごとを偶然で構成していきます。何気ない出来事、シーンでも、予定されていたことが起きる変化のない想定されていた展開ではなく、偶然によって引き起こされた様々なことが主人公の「日常」をちょっとずつちょっとずつ変えていき、予定が変わり、進路が変わり、アドリブで、出たとこ勝負で展開していくように描いていくことで、皆さんのストーリーはワクワク、ドキドキ、緊張感、高揚感あふれる作品になっていくことでしょう。

 

参考:第8章 作品をつくろう!

■実践編vol.06 創作コラム「独自性」があるということ

■実践編vol.07 「読者が主人公を好きになるシーン」からキャラクターを作るコツ

■実践編vol.08 「皮肉」のログラインから、シーンを発想していこう!

■実践編vol.09 「25の皮肉のパターン」と「皮肉のログラインPart2」

■実践編vol.10 ログラインは「主人公について書かれたもの」である!

■実践編vol.11 物語はどこから作る!? ①キャラクターの「職業と目的」が決まれば、ストーリーも設定も自動的に決まる!

■実践編vol.12 クライマックスの面白さを生み出す「22の問題解決方法のパターン」

■実践編vol.13 創作コラム:人は「偶然」に憧れ、それを味わいたいと思っている

■実践編vol.14 「主人公の感情の変遷」こそがストーリー構成のカギを握る!

■実践編vol.15 『シン・ゴジラ』と『涼宮ハルヒ』の作り方は全く同じ!?  魅力的なキャラクターは、「登場する前」に立っている!

 

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コメント

偶然を多用もしくはいくつか使用して物語を展開すると、どうにもご都合主義あるいは作者本意の予定調和に感じてしまうのですが、そこの補い方はありませんか?
例えば、「冤罪で警察に捕まってしまった。何とかして逃げ出さなければ彼女とのデートの時間に間に合わない」というストーリーの流れがあったとします。
このとき「交番に電話が掛かってきたことで警察に隙ができ、それを突いて逃げ出した」と展開させます。
この電話がただどこかから掛かってきただけだと都合が良いだけに思えてしまうので、「警察に捕まったことを知った彼女が彼を助けるために掛けた」「この電話が物語の後半で大きな意味を持ってくる」といった偶然そのものに意味を持たせるべきなのか、偶然は偶然のままで良いのか気になります。

投稿: ふぇれってぃ | 2016年4月23日 (土) 17時31分

コメントありがとうございます☆
偶然をうまく使うと非常にドラマチックになる反面、あまりに都合良すぎるとご都合主義だとお客さんに感じさせてしまうことにもなりかねないですよね。
もし、作品を書いていて「これって、ご都合主義かも……」と感じられたら、ぜひ「伏線」を張ってみてください。伏線とは、後の展開を予感させる出来事、予兆です。
今回の例で言えば、ご都合主義だと思わせずに「交番に都合よく電話がかかってくる」というふうに展開させたい場合には、それよりも前のシーンで、「交番の電話番号によく間違い電話がかかってくる、で警官が出て『うちは蕎麦屋じゃないよ!』などと言って電話を切ってから、最近間違い電話が多いとブツブツ文句を言う」といった出来事を事前に描いておくと、電話がかかってきても間違い電話が多いという事前情報(伏線)によって、読者はそんなに違和感なく偶然都合がいい展開を楽しんでくれると思います。
また、書いていただいた偶然の出来事が後で別の意味を持ってくる、または偶然だと思われていたことがじつは仕組まれたことだった、といった展開も面白くてありだと思います!
ご都合主義が気になるときは、ゼヒ伏線を張ってみてくださいネ!

投稿: 谷口剛司 | 2016年4月23日 (土) 22時01分

お返事ありがとうございます!
後に繋げることしか頭になかったのですが、事前の出来事を利用する手もありましたね、ありがとうございます!

投稿: ふぇれってぃ | 2016年4月27日 (水) 10時47分

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